イルマ くん。 アニメ「魔入りました!入間くん」動画はNHKオンデマンドしか見られない?

漫画「魔入りました!入間くん」146話のネタバレと無料読み放題

イルマ くん

魔入りました!入間くん【第144話】のネタバレ イルマのおねだり 「欲しいものがある……?」 サリバンはイルマの初おねだりに、滂沱の涙を流した。 オペラは姿が変るぐらい感動している、サリバンにハンカチを差し出す。 サリバンにとって赤飯を炊くくらいにめでたいことだ。 イルマは食べ物に事欠く、極貧生活を送ってきたので、 欲しいものをねだったことなどこれまで一度もなかった。 リードとゲーム イルマがねだったものは……ポケットゲーム機でリードと遊ぶものだったのだ。 リードの住む団地へ行き、二人並んで、ゲームをする。 ソーダで乾杯して、ゲームを開始する。 ゲーム初心者のイルマは、設定方法をリードから一から教えてもらう。 ペルソナの名前もイルマで全く自分と同じにした。 名乗り方も僕にしようとしたが、シャックの提案で俺に変更した。 若王になったんだから、それくらい強めでいいのではという意見だ。 僕から俺に変えるタイミングは難しい。 次は相棒選び。 イルマは頼りになる念子を選んだ。 ゲームの中では結婚もできる。 リードはどういうタイプか聞いてくる。 男同士のエロい話題に入っていき、リードはエロ雑誌を出してくる。 リードはエロ雑誌をイルマに見せようとするが、イルマは拒否。 男だったら、興味がないわけがないと押し問答になった。 ジャッキーの誘惑 そこへリードの姉ジャッキーがうるさいと怒鳴り込んできた! 出会いに失敗した姉はやけ酒を飲んで二日酔いで機嫌が悪かった。 同級生が来ていると知ると、急に女性らしい服に着替えてアプローチ。 リードは止めてくれと、姉を追い出す。 イルマが理事長の孫だと気がついたジャッキーは、玉の輿狙い? でイルマに猛アプローチをした。 リードはジャッキーを縛って、部屋に入って来れないようにする。 ジャッキーの毒牙からイルマを守るためだ。 リードにとってイルマは弟のような存在だ。 ジャッキーは前は1人でいるのが好きだったリードの変わりように驚いた。 リードの屈託のない笑顔にジャッキーも「昔はつまんなーい」が口癖だったのにと感慨深い。 イルマはリードのおかげでゲームの設定が完了した。 イルマは収穫祭で優勝できたのは、クラスの仲間の助けがあったからだと思っていた。 特にリードには同じチームで助けてもらい感謝していた。 イルマもリードのことをすごく頼りになる弟みたいに思っていたのだった。 頼りになるのだったら兄ではないかと思うのだが…… リードはイルマの方が弟だと譲らない。 その論争がいつまでも団地に鳴り響いた。 姉ジャッキーが叫ぶ。 「おうどん食べたーい」 チャンピオンのネタバレ記事 — —• 月額1,990円 税別 が 31日間無料!解約も簡単!• 無料体験で 600円分の漫画が読める!• 映画やアニメ・ドラマが見放題!さらに、 人気雑誌も読み放題• 月額会員になると毎月1,200P付与!さらに、 全作品購入費用最大40%ポイントバック!• 4人までアカウントシェア可能!1人あたり実質500円 U-NEXTは、国内最大級の動画配信サービスです。 無料トライアルで31日間無料で動画を見ることができます。 登録時に600ポイントもらえるので、 魔入りました!入間くんを1巻無料で読めちゃいます。 31日経過すると、月額1,990円かかってしまいますが、解約すればもちろん料金はかかりません。 解約はわずか1分でできるのも手間がなく魅力。 また、動画配信サービスであるため、 映画やアニメが見放題なのも評価ポイントです!• 月額1,922円 税込 が 30日間無料!• 無料期間で 600円分の書籍&1,000円分の映画を楽しめる!• お得なクーポンが毎月もらえる! 100%OFFも!• スポーツや音楽の専門チャンネルも見放題!• ダウンロード可能でどこでも作品を楽しめる! music. jpは、国内最大級の総合エンタメサービスです、音楽だけでなく、動画やマンガも楽しむことができます。

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魔入りました!入間くん

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瓦礫の崩れる音がした。 くるりと翻ると白いコートの裾が身体に合わせて流れていく。 カツンと踵を打ち鳴らし、次のステップを踏む。 灰が細かく舞い上がる中、もう一体、新たな獲物が物陰に見えた。 なんだアイツ、逃げろ、遠くで悲鳴のような声が聴こえた気がした。 恐怖に塗れたものを壊すのもまた一興。 斜めに崩れていたコンクリートに足を置く。 ぐ、と膝を屈め、次の瞬間に飛びかかる。 足場に小さく生んだ爆炎で最大速度まで引き上げ、一瞬のうちに敵の真横に並走した。 目を点にして驚き、みるみる青ざめるその顔にうっそりと微笑んだ。 小気味良い音を奏でた首を頭ごと掴んで振り回す。 遠くに投げ捨てて次の獲物を探す。 その間に炎で残骸を焼くことも忘れない。 尽く火炎に呑まれる様はあまりに一方的で、退廃的で、そして美しい。 やめろ! 誰かの声が届く。 振り向くと、また新たな獲物が都合よくこちらに向かって走ってきているではないか。 ちょうど良い、その速度ならば《愉しめる》。 にたりと満面の笑みを向ける。 愉しいことをしようか。 そう、にこにこと笑いながら、指を揃え、肘を地面と水平に曲げ、 ほどなく距離がなくなった相手に向けて突き出した。 特に障害もなく貫通していった腕に、それが呆然と目を見開いた。 え、と声を上げ、そして完全に足を止めたので、崩れる前に背中を支えてあげた。 完全に壊れるのがまだだろう。 そう思い、同じように炎にくべようとして……生ぬるい感触が頬に当たった。 何だと見下ろすと、それが両手で自分の頬を包んでいる。 随分死にかけの様子だが、それに何か意味があるのだろうか。 私への賞賛のつもりか。 本気で分からず眺める。 初めて動きが止まった。 赤い血が流れている。 「アズくん」 頭に響いた言葉が引っかかった。 「アズくん?」 土気色に変わっていく顔を苦笑に歪めて、それが笑っている。 仕方ないな、という表情に似ている。 「あ……」 「……あー、よかった。 戻ってきたね」 全身から血の気が引いていく。 がたがたと震える中、「彼の」背中に回した手を近付ける。 自分の腕が貫いている場所を。 「イ、ルマ、さま」 [newpage] 鈴木入間が瀕死の状態で運ばれてから丸一日が経過した。 主要の臓器を傷めていると瞬時に判断したカルエゴが、即座に判断して学園長を呼び出した。 「これは、なるほどね」 一瞬で現れたサリバンが、どうやったか止血を施して一命を取り留め、本格的な治療を施すため何処かへ連れて行った。 それで戻ってきたのが一晩空けた今頃であり、本当にどういう訳か完全完治しているらしき入間と共に登校してきたのである。 普通に自分の足で歩いている、いつも通りの健康そうな状態に唖然となって全員ガン見した。 いやあ、と後頭部を掻きながら、照れたように彼は笑った。 「うっかり。 ごめん」 「ごめんで済むかー!!」 「アホなの!?」 「入間ぢ〜っ」 あまりの能天気振りに堪忍袋の緒が切れた音がした。 病み上がりなのもすっかり忘れたクラスの全員から一回ずつ拳骨を施した。 ウァラク・クララに至っては涙で床をぐしゃぐしゃにしながら全身で彼の制服の前側にしがみついていた。 そして後ろ側には二人より身長のある男が、腕を回して頑として離さないでいる。 「……それ、どうすんの?」 「僕も思ってた……どうしよう……」 「知るか!」 ジャズと共に手でツッコミを入れる。 リードはその図体はでかいくせに萎びた菜っ葉のように湿っている男を眺めた。 といっても顔は入間の背後に隠れてしまっていて見えないが。 何だったか。 事の発端は、誰かが入間のことを貶したのだとか。 ただ、自分達には関わりのない場所での出来事で、かつ学園の外での出来事だったので詳細は杳として知れない。 まあそこが問題ではないので気にしすぎることもないだろう。 そして、それを聞いて駆け付けた入間が、体を張って彼を止めようとして、刺されたのだそうだ。 もう一度言う。 「アホなの?」 「ごめんて……」 「何でそこで『ごめんて』とか軽く流せるのイルマくん? 腹に穴あいたんでしょ君?」 「ええ……僕も必死でよく覚えてないし」 「そりゃいつか本気で殺されるな。 悪ぃけど、流石に今回は甘やかしたら駄目だろ」 幾分か厳しい語調で言うジャズの言葉にうんうんと腕を組んだ。 理解しているのかいないのか、俯いた彼は唸りながら何か考えているようだ。 その様子にこちらもそれ以上言うべきことが思いつかず、二人で肩を竦め合う。 入間が体を傾けて生じた隙間を埋めるように、アスモデウス・アリスは顔を彼の髪に擦り寄せた。 流石に三日も経てばクララも立ち直り、一週間が経っても復活しない彼の様子に呆れていた。 担任のカルエゴも入間の体調を気にかけていたようだったが、こんな状態なので初日で気遣うのを放棄したらしい。 それ以来なるべく視界に収めないように努力している様子が伺える。 自分達だって見たくはないんだけどなあと、リードは彼らのじめっとした空気に辟易しながら教科書を衝立代わりにして視界からシャットアウトした。 「アズアズー、謝ればいいじゃん。 酷いことしてごめんなさいって。 そしたら入間ちも許してくれるよ?」 腰に腕を当ててそう言ったのにも無反応を示す。 入間を抱えるようにして椅子に座っている彼に、同じく教室にいて眺めていた他の面々もやれやれと溜息を吐くばかり。 手に負えない、と顔を見合わせる。 頼みの綱はやはり彼らだが、クララの声をこうもまるっと無視するとなると、あとは彼に頑張ってもらうしかないのだが。 流石にもう見たくないなという気持ちが高まってきたので、久しぶりに、嫌々ながら三人に近付いた。 ちょん、と男の背中をつついてみたが無反応……指先に火が灯った。 「あっづぁ!?」 「リードくん!? アズくん、駄目じゃないか!」 背後を振り向こうとした入間をより強く引き寄せ、首元に顔を埋める。 ぼそりと何かを言ったようだが、こちらには聞こえない。 ふうふうと指に息を吹きかけていると、あー、と入間の言いにくそうな声が聞こえて顔を上げた。 離れなければと思うが、離れたくないと心が訴える。 二度と見失いたくない。 離れれば、すぐさま悪周期に入る確信がある。 「だそうだよ」 「どうしろと」 ぽんぽんと仕方なさそうに頭を撫でてあげている入間が何だか聖人に見えてきた。 悪魔なのに。 だあもう、と頭を掻き毟る。 正直、アリスよりも入間の方が仲も良いし気を許しているのだ、この男がうだうだと悩んでいる内容よりも、はやく入間を解放させてあげたいという気持ちの方が強い。 しかし悪周期に入るのは勘弁して欲しい。 元の木阿弥も良いところだ。 離れただけで、心の葛藤だけで悪周期に入るとか。 「お前、どんだけ……」 その先の言葉を上手く見つけられず宙に掻き消えた。 彼の様子は褒められたものではない。 仲間として早くいつもの調子に戻って欲しいと思う。 だが、その純粋さを前に何も言えなくなる。 どうしても、その間に口を挟む資格が自分にはないような、そんな気持ちにさせられる何かが。 クララは女子会があり先に教室を出て行った。 クラスメイトらもばらばらと退室していき、残ったのは入間とアスモデウスのみ。 はあ、とため息が落ちる。 このまま今日も彼に抱えられて家まで運ばれるのだろう。 何を言っても聞かないのだ。 段々と慣れてきてしまった自分が怖い。 しかしそうも言っていられなくなった。 クラスメイトの、リードの本気で心配そうな目や、ジャズの気を遣った言葉に、いつまでもこうしてはいられないと気付いたのだ。 暫く、誰も見ていない教室で目を閉じる。 逡巡し、どうすべきかと悩み、そしてようやく踏ん切りがついた。 ぐるりと、無理に上半身を捻って後ろを振り返る。 動いたのが気になったのか、彼がこちらを見た。 クラスには知られていないが、酷い顔だ。 何を思い詰めたらこんな表情になるのかと思う。 そんなに気を病む必要なんか、自分にはないんだと気付かせるために、入間は優しく、諭すように囁いた。 「じゃあ、こうしようアズくん。 君があまり悩まなくて済むように」 こつん、と額を合わせて。 「約束をしよう」 [newpage] 翌日。 「入間様のために道を開けろ三下共」 威勢よく先陣を切って登校してきた男を校門の近くで見かけ、眠気もどこかへ吹っ飛んだリードは思考が停止して固まった。 その後ろから、自分と同じような反応をしたクララと、くたびれた様子の入間……これはいつも通りだ……何があった。 「何があった?」 教室に着いて早々に切り出した。 だが他の皆と台詞が被ってしまった。 あはは、とこれまたいつもの反応を返しながら入間が笑う。 「今後同じことがないように、ちょっと約束を」 「うっそだあ、そんなので直るわけないじゃん」 「何でお前そんな素知らぬ顔で登校できるんだ? 少しは恥ずかしいとかないの?」 「何の話だ」 入間と、それから元に戻ったらしいアスモデウスに質問が殺到するが、二人ともまともな返事をしない。 よく分かっていない、といった反応にも見える。 「じゃあどんな話をしたのよ」 「それは僕が死ぬほど恥ずかしいから黙秘でお願いします」 「何でイルマくんが恥ずかしがるの?」 「おい、入間様の嫌がることはするな」 「あああこの感じ! 戻って嬉しいけど面倒い!」 ぎゃあぎゃあと賑わいでいたら教室の扉を勢いよく開けたカルエゴに怒鳴られて蹴散らされた。 「粛に! 朝からなんだこの騒ぎ、は」 じろりと睨み合うこと数拍。 問題の種であった人物が彼にへばりつくことなく立ちながら、それでいて入間を扉から庇える位置に陣取っているのを理解したカルエゴは、様々な言葉を飲み込んでゆっくりと教卓……の前に置いたソファへ腰掛けた。 ふう、と重苦しい溜息を吐く。 「さ、出欠を取るぞ」 「諦めた」 「問題放棄」 「突っ込み疲れた?」 「黙れ」 口々に投げられる棘を言葉一つで一蹴し、この件はまるで何も無かったかのように流されたのだが、それで良いなら構わないのだが。 これまで通り二人に挟まれて座っている入間を後ろの席で眺めながら、釈然としないものを感じて目を細めた。 そんなことが果たして可能なのかと噂が立つ。 これについては教師陣の間でも研究が必要だと囁かれていた。 真偽はともかく、あの男ならそれくらいできて当然と納得する者もいる。 その納得した者のうち一人が、たまたま一人でいたところの入間を見かけて声をかけた。 「何をしている?」 「あ」 中庭でぽつんと景色を眺めていた入間が顔を上げる。 「サブノックくん」 「聞いたぞ。 アイツが完全に悪周期を制御したとな」 「え? あー、うん」 「何だ、喜ばんのか。 てっきり主が一番に広めてるかと思ったのだが」 「いや、だってあれ」 ぱし、と口元を手で覆った。 頬が僅かに赤らんでいるのを不思議そうに眺める。 「どうした」 「……んでもない」 「誤魔化すにしても下手過ぎだろう」 というか隠すのが遅すぎる。 そう指摘すると無言で唸っていた。 他の面子がいるときはもう少し上手い対応をしている気がするのだが、何故か自分の時だと常にこんな感じだ。 だって僕の悩み事も真剣に聞いてくれるし、その割に何言っても気にしないじゃんか、と以前言われたことがある。 まあライバルだと思っている奴に相談を持ちかけられて無碍にできるほど男を捨てたつもりはないが、気にしないのは持ち込まれる悩みが本当に下らないことばかりだからだ。 というわけで今回のこれも「ああまたか」程度の気分で問い質した。 どうせアズくんがどうの、クララがどうのと小さい問題に違いないと思っていた。 半分当たっており、残り半分は思っていたより意外であった。 暫し顔を覆い、言い出そうとしたり唸っているのを辛抱強く待った。 誰かがこの状況を知れば、結構親切だよねと思わず言いたくなる光景である。 しかし普段よりは悩んでいる時間が長いか? と思い始めた辺りで、ようやく名前を呼ばれた。 「あのう、呆れない?」 「呆れる」 「まだ言ってもないのに断言されたよ」 「そう言うからには絶対に呆れる。 間違いない」 経験則だからなと腕を組んで断言する。 がくりと項垂れた彼が、片手で額に触れながら庭先の植込みを眺めた。 反論がないということは認めたということだ。 「サブノックくんはあまり突っ込まなかったけど、皆に心配されたからさ」 「ああ、あの七面倒な病み具合な」 「……言い方がもっとあると思……いや別に良いけど……。 クララの言うことも聞かないし、先生も言わないけど気にしてたし、僕がしっかりしなきゃって思って」 「おお。 で?」 「で、……」 そう前置きされて聞かされた内容に。 「…………」 同じく庭先を眺めながら、聞いたことを理解するために時間を要した。 無駄だった。 十分な空白の時間ができたあと。 「何でそうなる?」 「効果があるかなって思ったから」 「あるだろうよ。 主こそ言い方ってのがあると思うがな!」 「だって甘やかしたら駄目だって、なるほどそうだよなあって思ったからさあ」 「どういう思考実験をすればそんな頓狂な答えになるというのだ!」 処置なしと捨て置くべきか、一瞬のうちに逡巡した脳が「付き合いきれん」と判決を下した。 自身の判断を信じ帰ろうとすると、がしっと背中に重みがかかった。 見るまでもない、こいつが半泣きでしがみついてきたのである。 「呆れないで!」 「呆れとらん。 聞かなかったことにしたからな」 「放置宣言もしないで! 何かあったらサブノックくんに任せるって言っちゃったから……あ」 「おい待てやコラ」 見事火に油を注がれ、相談という名の口喧嘩が暫く紛糾したのだった。 もはや名物となっている入間一行の奇行もいつも通りであり、あれから彼、アスモデウス・アリスが暴走したという話もない。 この時期になると授業も殆ど大詰めになり、実技が増える。 矛として無様な成績は晒せないと発奮する彼の様子もいつも通りである。 使い魔と連携してチームに別れての戦闘で、華麗に炎の幕を使って相手を寄せ付けず、一網打尽にしていく手際に、いつもながら外野の歓声が上がる。 対する男の反応はなく冷たいものだが、彼の視線はある一点、観戦用の敷地に向けられて離れない。 目立つのを避けたい思いを抱きつつ、諦めて手を振ると、さっきの冷淡さはどうしたと目を疑うほどの花を散らして微笑んだ。 こんどの歓声には黄色い声が幾分か多かった。 流れるように一礼したあと、その間に放置させられていた敵の攻撃も炎が塞ぎ、そのまま反撃に出た。 彼の攻撃は威力が均一で強く、容赦がない。 その成長に合わせて強くなっていく使い魔の姿も、今や全長何メートルなのか分からないほど伸びていた。 下される評価は常に高得点。 教師らもこれ以上教える必要がないと太鼓判を押すほどだ。 そんな彼だが、入間に対してだけは相変わらず気の抜けた表情を向けていたのだが、最近はそれが少し変わったとの評判だ。 常に傍に侍り嬉しそうに笑っているのだが、ふとした拍子になりを潜め、静かに見守るようになったとか。 以前のように後先考えず「入間様第一」と全肯定するのではなく、落ち着きを見せるようになった。 側近としての自覚が深まったのではないか、とは誰かの言だ。 入間も、それに関しては良い事だと思っている。 なんでも「はいそうですね」で片付けられるよりは意見がある方が嬉しいに決まっている。 それは良い。 問題はこれだ。 試合を終えて襟元を正しながら使い魔を解除する。 転がる生徒達には一瞥もくれず、終了の合図とともにスタスタとこちら目掛けて直進してくる。 「入間様、如何でしたでしょうか」 「えっ、そうだね。 凄くかっこよかったよ」 「光栄です」 この試合の前に自分のチーム戦は終わっており、次は他のチーム戦が始まる。 自分達の分は終わったのであとは好きなように過ごして良いことになっていた。 彼の試合を見たかっただけなので、もうここには用はない。 その様子を察したらしい彼が、とても自然に、流れるように、自分の右手を掬い上げた。 「お疲れでしょう。 私が先に食事の手配をして参りますので、ごゆっくりいらして下さい」 「あ、ありがとう」 礼を言うと、にこ、と目元だけで微笑まれた。 指先に唇を落としてから手を離し、ではと離れていくその背中を視線で何となく追いかける。 その歩みに迷いはない。 生徒どころか教師達の視線すら全身にぐさぐさと感じる中、一部始終をずっと斜め後ろで見ていたはずの男へ話しかける。 「あれは根に持たれてるよね」 「完全に根に持たれているな」 阿吽の呼吸で会話を交わす。 「どうすんだアレ」 腕を組んで微妙な顔をしているサブノックに、アレと言われてこちらも微妙な顔をせざるを得ない。 「どうするって言われても……」 どうしようもなくないか、と遠い目になる。 何とも情けないライバルの姿に長く溜息を吐き出し、男は冷めた目を向けた。 「言っておくが。 己も主のその言い分を認めた訳では無いぞ」 込み入った話をしだしたらしい二人を置いて他の生徒たちもいそいそと教室へ戻っていった。 取り残された二人だけが、要点をぼかして話に暮れる。 渋い顔のまま口付けされた指を眺めていた入間が振り返る。 その顔にもう一度男は言う。 「主の言葉は残酷だ。 悪魔らしくなさすぎて、却って奴にトラウマを与えたと言っていい」 「反省はしてるよ」 「そら、反省だけで意見は変えんのだろう? 昔からここぞという所で頑固だからなァ」 ぐうの音も出ない、といった様子で口を真横に引き結んだ。 ぐぐぐと悔しそうな横面に、嫌そうにサブノックは眉を顰める。 「己だって御免だぞ。 主が死んだ後釜に魔王になるなんぞ」 そう言って顔を背けた男に、そう言われた彼がちらりと見遣った。 実習や実技が増える高学年の授業。 それが終われば卒業も間近だ。 再び、アスモデウスが去って行った方角を眺めた。 「……それでも、君達にしか頼めないんだよ、こんなの」 他の誰でもなく、この二人にしか言えないことがある。 それが入間なりの心の開き方なのを理解しているサブノックは、その言葉を聞いて、何も答えなかった。 彼の入間以外への素っ気なさは今も昔も変わらない。 冷たい態度にも慣れている問題児クラスは特に気にした様子もなく彼に話しかける。 「なんか最近スキンシップ多くない?」 「……」 それが誰とのことを指しているのか、アスモデウスに分からない訳が無い。 ちょうど昼時だ、同じく食堂へ向かうため並んで歩きながら、そう言ってきた相手を彼は睥睨した。 歩幅の広い彼に尻尾で飛び跳ねながらリードは必死に追いかける。 「なあんかさあ、こう、手とか肩とか? 見てるこっちが目のやり場に困るというか……ぶっちゃけ恋人みたいなやりとりっての?」 「主と家臣と言え」 「あっはい。 そこはブレないのね……」 気圧されつつもどこかほっとし、しかしそれならと怪訝そうに首を傾げて唸った。 「どうしてそんなに? 前はそんな触り方しなかったよね? イルマくんと何かあった?」 「いや、私の個人的な感傷だ。 やっぱり何かあったのか、と驚いて口が開く。 鎌をかけてもどうせ教えてくれないだろうと踏んでいたせいで、その後に何を聞けばいいのかが分からない。 そしてその隙を許す程、この男は入間以外にやさしくはない。 止まった彼を置いて歩きながら、途中で後ろに声をかける。 「入間様に迷惑はかけん。 貴様も気にするな。 その代わり、邪魔立てもするな」 肩越しに振り返ったその目が、硬直するクラスメイトの姿を映す。 「いいな」 ぞっとするほど底冷えした低音に、有無を言わさぬ語気。 そこに反発心を抱くような度胸は残念ながらリードは持ち合わせていなかった。 しかし、少なくとも理解したものはある。 この男は、側近としての風格が出てきたなどと噂されているが。 思い詰める何かがあるせいで、他のことに気を遣う余裕がなくなっただけなのではないか。 廊下に置いていかれたまま、考えるように口元に手を運ぶ。 思考は未だ、答えを導き出せてはいないが、それに近いとは感じる。 「しっかし、イルマくんが言うわけないしなあ」 僕らには気遣って肝心な事は打ち明けないだろうなあ。 友達として気にかけてはいてもその一線を越えられるのは、彼や、サブノック辺りくらいしか思いつかなかった。 ウァラク・クララはあれでも女子だし。 自分も先程のように釘も刺されたことだ、この辺りが引き際だろう。 それにしても。 「イルマくん……あのアスモデウス相手に何を言ったんだろうなあ」 実習の試合後、手を取った彼の、入間を見つめる……烈火のごとく煮え滾る目。 その視線に込められた熱に、本当に彼は気が付いていないのか。 それとも、黙っているだけなのか。 あんな表情を引き出してしまう友達に空恐ろしさすら感じ、事情は分からないまま、その身を案じるのであった。 イルマくんと何かあった? あったと言えばあった。 だが、喧嘩をした訳では無い。 ただ、解決できなかっただけだ。 今この瞬間、自分の動きは最善か、彼の側近としての責務を果たしているか。 常に念頭に置きながら立ち回る。 あの時、彼を貫いた自分がどうしても許せなかった。 己を燃やそうとしたのを止めたのは入間様だ。 それは許さないと、強い語調で止められた。 故に自害は不可能となった。 そうすると不安で仕方がなかった。 また悪周期を抑えられず暴走してしまう可能性。 そして、破壊衝動を根幹に秘めている自分自身の本能に怯えた。 たとえ今は落ち着いていても、本心では? 本当は今にも壊したくてどうしようもないのではないか。 誰がそれは違うと否定できる。 自分に対する不信感と、刻一刻と失われていった彼の体温を腕に感じていたときの恐怖。 あの時は衝撃で正気に戻ったが悪周期からは抜けきれておらず、しかし暴れることも精神的にできないほどダメージを負ってしまっていた。 一命を取り留めた彼を見て文字通り膝から崩れ落ちた。 安堵に涙した。 それを手で拭い、やさしく頭を撫でたのも彼だった。 それが決め手だった。 離せない。 目を離した隙にまた死にかけていたら。 否、殺そうとしたのは自分だ。 だが彼から今離れれば発狂してしまう。 そうなってはもう、自分でも止まれるかどうか分かったものではなかった。 何だかんだと苦情を言いつつも抱きしめることを許してくれる彼に甘えていたのだろう。 だが、彼はこう言った。 「約束をしよう。 アズくん。 アスモデウス・アリス」 フルネームで呼ばれて弾かれたように顔を上げた。 教室にはいつの間にか自分と彼しかいなかった。 彼は仕方なさそうに苦笑している。 恐怖が足を竦ませるのなら。 そう前置きし、彼は吐露した。 君の心の平穏のためなら、僕の夢のことくらい、打ち明けてもいいよ。 そう言った。 そう言いながら、あの時と同じように優しく頬を包まれる。 「君が悩む必要なんてないよ。 食堂には彼のために用意されていく食事が次々に運ばれてくる。 あと少しすれば彼も戻ってくる。 それまでには完璧に準備は整いそうだ。 浄化魔術で衣服についた砂埃は全て取り払い、室内の汚れも消した。 彼の今日の予定をひとつずつ確かめながら次にするべきことへ備える。 全ては彼のために。 アスモデウス・アリスは彼に対してのみ完璧であろうとする。 それはただ一点だけ許せない事に対する、自戒でもある。 [newpage]「悪周期のときの君の姿は、とても綺麗だ」 うっとりと、どこか輝かしいものを羨望するような目をして自分を見つめる。 「あの時も僕の勝手で飛び出しちゃったけど、君が自由に暴れているのは、本当はずっと見ていたいくらい好きなんだ」 そして、へらりとくだけた笑顔を見せる。 「だって本能なんでしょ。 心から愉しいんだなあって、見てるだけでも伝わってきてたよ。 ああ、悪魔なんだなあ……いいなあって」 本当は今までもそう思っていたんだけど、言えなかったんだと、その指がやさしく頬をさする。 「入間様?」 意図が見えず、彼の指に自分の手を重ねた。 自分の悪周期に嫌悪ではなく好意を抱いていたとして、それがどのように約束に繋がるのだろう。 どこか不穏な気配を感じ取り、思わず名前を呼ぶ。 頬を包む力が強まった。 「僕ら、もうすぐ卒業するね。 そうしたら僕は魔王か」 それは分かっている。 このクラスの者なら皆承知していることだ。 誰もが彼に着いていくと心に既に決めている。 「そうなる前に僕なりの意見も言っておこう。 魔王になってからじゃ遅い気がするから」 ふ、と柔らかく目尻を和らげる。 本当に、ここまで優しげな面持ちをするのは、今までにも無かったのではなかろうか。 「僕だって自由でいたい。 けど前魔王もそうだったように、その椅子に座れば本当の自由はなくなるだろうね。 半永久的に『魔王』のままだ。 君はその配下か」 「ええ、その通りです」 その様子を思い描いたことはこれまで何度もあった。 まさに夢のような光景だ。 それを誰より望んでいるのはこの自分で、恐らく魔界中も彼が魔王となり君臨する日を心待ちにしているだろう。 彼にはそれだけの器があると、この在学中に何度も教えてきたのだから。 「魔王の仕事も楽しそうだけどね。 悪いけど、僕はさすがに永遠にそれをするのは無理だと思う」 「……何を仰るのですか」 彼の手首を掴み反論する。 だが、すぐに彼の言葉で遮られた。 「本当は君みたいになりたいんだ」 その言葉に、身体が縫い付けられる。 照れているのか、僅かに赤らんだ頬のまま彼はそう言って少し視線を外す。 それに、呆然と聞き返す。 「私、ですか」 「ああ、うん。 いつも真っ直ぐで、正直で、欲望に忠実な君の本心……自由に生きるってそういうことかなあって。 ……憧れだよ」 言う度に恥ずかしそうに言葉をぼかす。 何言っているんだか、とぼやいているが、それに言葉を失いつつ首を左右に振った。 憧れているのは、自分の方なのだから。 私こそ、貴方のように。 何にもブレない、揺るぎない、それでいて深い海原のような寛大さに憧れているのだと。 そう言うと、彼は恥ずかしげに声を上げた。 じゃあ僕と君の理想は真逆だねと笑い、そして、 「僕は君の欲が好きだ。 本当に美しい生き物だと思ったよ。 だからその時は」 何もかも壊したいと。 もう終わりにしたいと。 僕がそう望んだ時は。 そのためなら悪周期に狂っていても構わないよ……そう、そっと耳元で囁かれる。 それはまさしく、悪魔の誘惑だ。 「君の好きなようにしていい。 僕のことも好きにしてしまって、一向に構わない。 僕が許す」 びくりと肩を揺らす。 これは、毒だ。 「その対価に『僕の命令を破らないこと』を契約しろ」 どこにも逃げ場がなく、有無を言わせない口調で、命じられる。 「約束じゃない。 契約だ。 アスモデウス・アリス」 悪周期なのか。 そうではないが、そうとしか見えない苛烈な気配を纏わせている。 いつの間にか、彼は平時であっても悪周期と同じような気配を表に出せるようになっていた。 それはそれだけ、彼の奥底の本心が現れている証左でもある。 つまり、これは口先だけの約束事ではないのだと、動揺した頭でも理解は可能だ。 だが、それでも、それだけは。 「承服しかね、ます」 どういう意図でもってこのような命令をするのか、理解したくなくても分かってしまった以上、誰かに打ち明ける訳にも、自分の肩代わりをしてもらう訳にもいかないが。 しかし頷くことも、できるはずがない。 何故なら、その命令を受け入れてしまえば。 彼の命令で彼を殺すことさえできてしまうのだから。 考えただけでも……ぞっとする。 「決して、私は、それだけは」 苦しげに奥歯を噛み締めながら、再び首を振り、彼の腰に腕を回して抱き締める。 そのように哀しい最期を描かないでくれと、言うことも出来ずにただ身体を寄せる。 仮にいつか暴走の果て、戻れなくなるとしても。 その可能性自体を考える事こそ許し難い。 その瞬間、己は自身の何もかもを投げ打って己を殺すだろう。 ましてや彼を、ただ欲のままに手にかける、など。 「考えるだけでも、気が狂い、そうだ」 駄目だと、息を整える。 思考するだけでも、尋常ではない負荷がかかる。 結局、了承を得ることが叶わなかった彼は、辛そうに俯いている配下の男を眺め、ひとつ息を吐いた。 暗くなっていく窓の外を何気なく眺める。 「永劫を約束される魔王の、もしもの時の保険だったんだけどね」 ぽつりと、聞いている相手が一人しかいない教室で、最後に告げた。 もう君くらいにしか、言えないんだよ、僕も。 だが、誰かが彼の願いを代わりに叶えるのは真っ平御免だ。 考えてみればそうだ。 どういう仕組みか知らないが魔王になれば寿命の枷からほとんど解放される。 魔界を管理する上で、短命では話にならないからだろう。 そのいつ終わるとも分からない悠久を良しとするかは、その者の価値観によるはずだ。 入間様はそれを望んではいらっしゃらない。 だが、魔王になること自体を拒んでいる訳でもない。 彼にとって魔王になるのは憧れのひとつだ。 むしろ積極的になりたいと望み、勝ち得た席である。 自分もそれを手放しで喜んでいた。 だが、これからどうすればいい。 私には貴方さえ輝いていれば、道に迷うことなどないのに。 油断をすれば彼の言葉が蘇りそうになる。 震えそうになった唇を隠すように手を添える。 通路から、騒がしくも馴染みのある彼らの声が聞こえてきた。 考えているうちに時間が経っていたらしい。 彼の真の願いを許せそうにないまま、それ以外の全てで彼に尽くす。 最期がどうかは、今はまだ考えたくはない。 否定するように彼に触れ、その温かさを確かめなくては、気が狂う。 だがいざとなれば、躊躇わず彼は私に命じるだろう。 「アズくん、準備ありがとう!」 にこにこと、褒めるように笑いかけてくる彼を見る。 ああ、今、その情景が、見えた。

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魔入りました!入間くん最新の18巻発売日はいつ?17巻を無料で読める。感想

イルマ くん

見たい。 見たい見たい見たい見たい。 イルマくんの絶望した表情を。 どんな表情してくれるんやろ。 泣く?叫ぶ?それとも声も表情も無くしてしまうんやろか。 楽しみやわぁ。 ああ……イルマくん。 僕の、僕の……… 人間!? はぁ…イルマくんはほんま僕を驚かせて、楽しませてくるんやなぁ。 どこまで僕を喜ばせてくれるん?面白がらしてくれるん?ああ、楽しい。 ほんま楽しい。 胸が熱うなるほど楽しいわぁ。 せや、イルマくんには僕の赤ちゃん生んでもらおうか。 僕に食べられて絶望する表情も早う見たいけれど、何度も何度もイルマくんの絶望の表情が見たい。 おトモダチから引き離された時の表情。 僕に犯された時の表情。 そして僕の子を身籠った時の表情。 生む時は何もしてあげへん。 男が生む時はそれは相当な魔力と相応な魔術がなければ死ぬことが多いらしいけどな、僕はそんな魔術知らへんし、人間は魔力あらへんしな。 苦しみの中で、憎くて憎くて堪らない僕の子を生む時、イルマくんはどんな表情してくれるんやろ?奇跡的に子供が無事に生まれたら、その子を君の目の前で僕がバリバリ食べてあげるわ。 そしたら君は、ゾクゾクするような絶望の表情を見せてくれるんやろなぁ。 ああ……見たい。 早く見たい。 イルマくん、待っといてなぁ。 僕のイルマくん。 君は笑うんやな。 君の大事な大事なおトモダチを仰山傷付けた僕に、君はどうしてそんな嬉しそうに笑えるん?僕に再会えたことがそんなに嬉しい?バカって何?それで怒ってるつもりなん? ………アホや。 アホや、イルマくん。 君、これからどうなるかわかってる? 絶望に打ちひしがれるんやで。 僕が最強で最高で最悪の絶望を与えたるんや。 あまい。 あまい。 どこもかしこも何もかも甘くて、匂いだけで酔いしれる。 涙も唾液も汗も、一舐め一滴で身体中に力と恍惚が駆け巡る。 吐息すら飲み込めば魔力が漲り、その眼差し一つで血を滾らせる。 イルマくん、君どない身体しとるん。 よくもまあ今まで無事でいられたもんや。 君の守護者たちはほんま優秀やなぁ。 でも、見てみい。 君らのかわいい大事なイルマくんはあられもない姿で僕に組み敷かれて、もうぐちゃぐちゃに汚されてしもうたよ。 ああ、あの人らの絶望した表情、きっと傑作やろなぁ。 見たかったわぁ。 なに?イルマくん。 なにしてくれとるん。 何で君からキスしてくるん。 それもなんや拙いキス。 ……イルマくんは見かけによらず淫乱なんやねぇ。 からかうように耳元で囁いたら、顔赤うして潤んだ目で僕に縋ってくる。 ええ表情しとるよ、イルマくん。 もっと僕の劣情を煽りぃ。 もっともっと君を見るも無残に犯し尽くしてあげるわ。 僕の下で、僕の名前を何度も何度も必死に呼ぶ君の声は、どんな絶望の悲鳴にも勝ってる。 嬉しそうやなぁ。 それ僕の子や。 これから君の胎内で君の命を吸い込んで育つ、君を犯した元祖返りとの得体の知れぬ化け物なんよ。 なのに何でそんなにやる気出してるん。 元気な赤ちゃん生むねって何言うてるん。 まだ膨らみもしない薄いお腹を何でやさしい目で見つめながら撫でてるん? ほんまイルマくんはアホなんやね。 兄さん!早よ、もう産気付いてるんよ!違うわ、楽しみにしとるんやない。 利用価値がある子やからや。 イルマくんの絶望に必要不可欠やから、だから、いいから早く魔術出来る悪魔寄越してえや。 大丈夫って、なに言うとるん、イルマくん。 何笑っとるん。 僕の手握る力こんなになってんのに。 僕の手砕くつもりなん? 痛い? 苦しい? このまま赤ちゃん死んでしまうかもしれへんな。 大丈夫だよって、またどこからその自信がくるんかな。 はあ?イルマくん、目ぇ開けえ、何しとる、ちぃとも大丈夫やないやない!早よ!兄さん、早く! ぷくぷくしとて美味しそうやねぇ。 頭から丸かじりにピッタリや。 見てみぃ、ちっちゃいお手手にもあんよにも更に小さい指があるんやで。 しかもちゃんと動くんやなぁ。 何笑うとるん?キスやない。 味見や、味見。 食べてまうで。 ほんまや。 ほらこうして歯を立てて牙で切り裂いて…… 遊んでるんやないわ! 何でおチビまで笑っとるん。 堪忍してぇな、ほんま。 ほんま堪忍して。 ぱあ? 誰がパーやて?パーパーうるさいおチビやなぁ。 ちょっと喋れるようになったらこれなん? はあ? はあ!?はあ!! パパ!! パパ。 パパ………違う。 照れてるんやない。 顔赤いんは怒ってるからや。 パパって何?父様やろ。 パパなんて呼んだことないわ。 全く何なん。 嬉しそうやな、イルマくん。 はいって素直やし。 言うておくけど、僕はいつでも君を絶望の淵に叩き落とすことができるんやで。 ほら、こうして君のお腹引き裂いて、中の赤ちゃん取り出してやろか? ちょっとまだ早いって、僕に産婆させる気なん?魔術覚えてくれたって、誰から聞いたん?違うで。 イルマくんと赤ちゃんの生死を握ってるのが僕であるためや。 イルマくんの絶望した表情を見るためや。 今に最高の絶望の表情が手に入る。 なんやひだまりのような場所に居るけど、このあたたかさが増せば増すほど、続けば続くほど、さいごの時の表情は最高や。 だから言うわ。 好きや。 イルマくん、君のことが大好きやで。 ああ…ゾクゾクする。 僕もなんて手ぇ握られて。 おチビたちの楽しそうな声に包まれて。 このやさしい時間を味わえば味わうほど訪れるその絶望の破壊力。 想像しただけで涎が垂れる。 鼻血が出る。 ほんま待ち遠しいわぁ。 きっと誰も敵わないほどの最高の表情がそこにある。 そう最高や、 イルマくんを失う時の、僕の表情。 終わり.

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