コンプトン 効果。 コンプトン効果(1922年)と相対論的力学

コンプトン効果 ■わかりやすい高校物理の部屋■

コンプトン 効果

.コンプトン散乱(1)() 2.()()() 3.()()()()() 4. コンプトン効果(1922年)と相対論的力学 コンプトン効果は 光の粒子性を証明する実験として有名ですが、これは 相対論的な力学方程式の正しさを証明する実験でもあります。 この点も考慮してコンプトン効果を説明します。 をご覧下さい。 1.コンプトン散乱とは何か まず最初にコンプトン効果発見以前の状況を振り返ります。 ()二次X線の発見とX線散乱 レントゲンによるX線の発見(1895年)以後、X線を原子の塊に当てたとき、それから新たなX線が生じる事が知られていました。 一つは入射X線と同じ波長のX線であり、他の一つは入射X線の波長とは異なり標的原子に特有なX線です。 もちろん当時はLaueの結晶によるX線回折発見(1912年)より以前ですから波長を直接測定する方法は在りません。 X線の波長の見積には様々な工夫が必要でした。 この当たりについて、で引用したを参照されたし。 このとき、この二種類を、で説明した1907年にバークラが見つけた二次X線中の二種類と混同しないでください。 そこで言う二種類はこんにちK-X線とL-X線と呼ばれるもので、後にモーズリーによって対陰極物質から直接出て来ることが発見(1913年)される二種類の特性X線と同じものです。 これも二種類の二次X線としても検出されますが、ここでの二種類の意味とは違います。 .蛍光X線 二次X線の一つの種類は、以下のメカニズムで発生する。 1次X線によって標的原子のK,L,・・・殻から電子が 光電効果によってたたき出されイオン化します。 そのとき空席となった電子軌道に外殻から電子が落ち込むときBohrの理論に従って放出されるX線です。 これは本質的には上記のモーズリーが発見したものと同じもので、次に述べる散乱X線ではありません。 もちろん、1903年当時はLaueの理論もBohrの理論も在りませんし、X線の波長を直接測定する方法も在りませんでしたから、バークラは様々な工夫をして、その特徴を特定したのです。 これは標的原子の外殻の電子が入射X線により揺り動かされて、新たに入射X線と同じ振動数のX線を二次放射線として放出するものです。 この散乱X線は1903年にバークラが見つけていますが、この現象を最初に取り上げて理論的に説明したのはJ. Thomsonです。 そのメカニズムは別稿で説明しました。 これは、Bohrの原子構造論が出る前の古典的見地から論ぜられたもので以下の様なものです。 X線を電磁波とみて、これが原子に当たると原子中の電子に周期的な電場が作用して強制振動を誘起するとする。 マックスウェル・ローレンツの電子論によれば、振動する電子は電磁波を放出する。 この電磁波の周期は電子の振動周期、つまり入射X線の周期に一致する。 これが散乱X線です。 これは、散乱X線の偏光状態や散乱強度分布などを予言します。 実際、1906年に行われたバークラの実験はThomson理論が予言する散乱X線の偏光を実証し、X線が電磁波であることの証明として非常に注目されます。 また、トムソンはバークラが得た散乱X線の強度から原子内電子の電子数を見積もり、それが原子番号程度であることを示します(1906年)。 これらの成果は、Laueの結晶によるX線回折実験(1912年)より前のX線の本性が何か良く解っていなかった時代のものですから、特に注目に値します。 しかし、でも述べたように、入射X線の波長がバークラが用いた領域をはずれたり、あるいは標的原子がより重くなると、その全散乱強度も散乱強度の角度分布も単純なThomsonの散乱理論では説明できなくなります。 実測値を正しく説明するには、原子まわりの電子の分布状況も考慮した量子力学的な散乱理論が必要で、それらが達成されるのは1930年代以降です。 [この当たりの詳細は文献3.の第11章をご覧ください。 その後多くの人が、この問題を実験的に研究し、透過度の変化は散乱角に関係することや、その変化は物質にあまり関係しないことを確かめた。 一方、X線については、Barklaによって1904年に散乱線は1次線よりも透過度が悪いことが認められた。 しかし、これはX線の照射をうけた物質から、その物質固有の蛍光線を出すためと考えられた。 それまでの研究から、蛍光線は1次線より波長が長く、透過度が落ちることからが解っていたから、そう考えられたのです。 ところがその後、炭素のように原子番号が低くK、Lの蛍光線を出さないと考えられていた原子から出る2次X線についても同じ現象が起こることが認められるに及んで問題が紛糾してきた。 上記の現象を説明するために、BarklaはK準位の下にさらに他の吸収帯があるのであろうと考えて、これにJ系列(JはアルファベットのKの一つ前)の名を与え、それに対応する蛍光線が出るのであろうとの仮説を出していた。 これが1917年度のノーベル賞受賞記念講演で、Barklaが述べているJ系列です。 しかし、これは、結局間違っていました。 実験的にその吸収帯を確かめることも、放射線のK-X線よりも更に短い波長のJ-X線を認めることもできなかったのです。 そのため、1920年のはじめ頃には、この現象は蛍光X線とはまったくことなる機構によっておこるものと考えられるようになった。 [] 上記の炭素の様に軽い元素のK、L蛍光線についてですが、別稿で説明した時代(1913年)まで下がると、その意味はハッキリと理解されます。 をご覧になれば解るように炭素などの軽元素もK-X線、L-X線を放出することが予想されます。 そのため当初、軽元素はK-線、L-X線を出すとは考えられていなかった。 それは別項で説明したX線の全反射を光学的回折格子に適用して行う方法に依るもので、このことに関してComptonは大きな貢献しています。 いずれにしても、1910年代はその領域のX線については混沌とした状況でした。 コンプトンの発見はこのような状況下で成されたものです。 .コンプトンの発見 コンプトンは下記の実験に先立って予備的な実験(Phys. Rev. , 21, , 1923年など参照)を行っていますが、ここではPhys. Rev. , 22, , 1923年に発表された決定稿の論文に従って説明します。 前項で説明したような状況の中で、1922年にComptonは下図に示すような装置を用いて2次X線を詳細に調べ2次X線の波長変化の様子を明らかにします。 対陰極にMo(モリブデン)を用いたX線管が使用された。 これは炭素原子核を取り巻く全ての電子をはぎ取ってイオン化するエネルギーの合計値よりも大きい。 できるだけ強いX線を得るために、水冷管によって強力に冷却したX線管に50000Vの印加電圧で大電流(1. 5kw)を流した。 これは普通のクーリッジX線管の125倍の放射強度を持つ強力なものであった。 また、強力な散乱X線を得るために、X線管のMo極とグラファイト標的Rの距離をできるだけ近く(距離2cm)に設置して実験を行った。 そのとき、 Rを中心としてX線管を回転移動させて、装置の他の部分を動かさないままで、散乱角を変化させることができるようにしてあった。 この様に 強力なX線源を用いたことが、Comptonが明瞭な結果を得ることができた理由と思われる。 この方法については別稿を参照されたし。 これは炭素原子核を取り巻く全ての電子をはぎ取ってイオン化するエネルギーの合計値よりも大きい。 コンプトンの発見は、それに先行するブラッグ親子(1912〜1913年)やモーズリーの研究成果(1913〜1914年)に大きく依存しています。 コンプトンの得た結果を下図に示す。 最初の源泉X線グラフの縦軸強度値とその下の三方向での2次X線グラフの縦軸強度について、同じスリット幅で観測した場合には前者が圧倒的に強くなる。 そのため下図の縦軸のスケールは適当に調整して変えてある。 また左右のグラフの違いはスリット幅の違いに依る。 横軸は方解石(Calcite)結晶面と電離箱の方向が成す角を表しており散乱X線の波長に関係する。 このグラフから以下の事柄が読み取れる。 二種類の内、波長変化しないものの散乱強度は散乱角の増大と共に減少し、波長変化を受けたものの散乱強度は散乱角の増大と供に増加する。 波長変化を受けたものの波長変化量は散乱角が大きくなるほど大きくなる。 このグラフに現れるピークの角度測定精度は1分程度であり、これは波長を0. [] この実験が、 軽い元素である炭素(グラファイト)を散乱体として行われたことに注意してください。 のですが、標的原子が重い元素の場合コンプトン散乱する2次X線の強度は弱くなります。 でも注意しましたが、X線を物質に当てたときに出る2次X線は、多くの人々によって研究されていました。 そのとき、特に 軽い元素による2次X線のなかに、蛍光X線とは違った性質のX線が含まれていることが解っていたのです。 Laub, Ann. der Phys. , 46, 785, 1915年;j. Crowther, Phil. Mag. , 42, 719, 1921年] その2次X線は当てた1次X線よりも柔らかかったのですが、蛍光X線の様に散乱元素の種類によるようには思えなかったのです。 Gray, J. Franklin Inst. 190, 633, 1920年] .()() 2.コンプトン効果(1)()() 3.()()()()() 4. 2.コンプトン効果 前章で得られた実験結果に対してComptonは見事な説明をした。 それはアインシュタインの唱えた光量子説と相対論的力学を用いるものです。 ()相対論的力学と光子の運動量 コンプトンは前章で説明した結果を説明するために光の粒子説と相対論的力学を用いた。 光がアインシュタインの言うようにエネルギーと運動量を持った粒子であると考え、それがほぼ自由な状況にある電子に衝突して電子をはね飛ばし、自らは入射方向とは異なる方向にはじき返されると考える。 そのとき、はね飛ばされる電子は速度 vを得るのだが、その質量 mは相対性理論(別稿を参照)が示唆するように に従って変化していると考える。 その為、光子の衝突によって生じる反跳電子の運動量ベクトルは となり、エネルギーは となる。 一方、光子については、 v= cだから上記の質量公式が使えないが、特殊相対性理論に従って光は光速度で移動するため静止質量はゼロだと考える。 そのとき光は光速度cで移動する粒子と考えて慣性質量を持つすると、特殊相対性理論(別稿を参照)が示唆するように、そのものが持つエネルギー Eを c 2で割った値が慣性質量であるとすることができる。 そのため光子は で表される運動量を持っている考えることができる。 これは光に対しても正しい運動量表現です。 この式に、 v= cを代入すると がえられる。 これは元々古典的なマックスウェルの電磁気学方程式から得られるものと一致する。 これが光子の運動量を表す式です。 [] マックスウェルは、電場の力線に関するファラデーの直観的表象から出発して、光圧を力管の横方向の圧力の結果と考えて光の圧力を導き出していた。 これはP. Lebedew(1901年)や、E. Nichols と G. Hull(1903年)により実験的にも確認されていた。 その後、アインシュタインの光量子説と特殊相対性理論により、光が粒子としてエネルギーと運動量を持ち、光子の流れが障害物に当たると、丁度気体分子が容器の壁にぶっかる結果が重なって平均に於いて気体の圧力になるのと同様に、その障害物に対して圧力を及ぼすと考えられる様に成ってきた。 光圧の存在が、光の本姓の粒子像からも波動像からも導かれるということは、すでにたびたび強調した光の2重性の現われの1つです。 別稿や別稿を復習されたし。 .()() 2.()(2)() 3.()()()()() 4. (2)コンプトン効果の理論 Comptonは前節の仮定の元で相対論的力学議論を行った。 電子は衝突前に静止しているとして、衝突前の運動量はp e=0、エネルギーはE e=m 0c 2となる。 光子と衝突後の電子は運動量ベクトルm・ vとエネルギーmc 2を持つとする。 mは前節に述べた相対論的な慣性質量で、 vは衝突後の電子の速度ベクトルです。 この衝突現象に運動量保存則とエネルギー保存則を適用する。 まず、(1)(2)式で表される運動量保存則から、運動量ベクトルは下図の 平行四辺形関係 ABCDを満たす。 上図の 三角形 ABCに対して三角関数の 余弦定理を適用すると が得られる。 一方、エネルギー保存則(3)式より が得られる。 その結果は 誤差0. Compton, Phys. Rev. Compton, Phys. Rev. , 21, , 1923年) [] コンプトン効果の理論では、散乱される光子は原子の外殻に存在するほとんど自由な状態にある電子によって散乱されるとしている。 そのためコンプトン効果における 散乱光子の波長変化量は散乱体原子の種類に依存しないはずです。 このことは、1926年にコンプトン研究室のウーによって広範囲の元素に対して確かめられた。 その結果、下図に示す様にコンプトン効果に伴う波長変化が散乱体原子の種類によらず全て同一であることが示された。 Woo, Phys. Rev. , 27, p119, 1926年; 28, p426, 1926年) [] ウーの実験は、さらに興味深い事実を示している。 それは波長変化していない散乱X線強度と波長変化している散乱X線の強度について、波長変化しないものの割合が散乱体原子の原子番号と共に増大しており、波長変化するもの割合が次第に減少することである。 この事は、以下の様に説明される。 X線がコンプトン効果を受けるには、ゆるく結合した電子で散乱されることが必要である。 軽い元素中の電子は原子核にゆるく結合されているのでほとんどがコンプトン散乱によって散乱されることになる。 ところが重い標的元素では原子核に強く結合した電子の割合が多くなる。 このような電子でX線が散乱されると、その電子は原子核と一体となって反跳する。 光子は原子全体と衝突することになるから、(7)式中のm 0は電子の質量ではなくて原子そのものの質量と考えなければならなくなる。 そのため散乱X線の波長はほとんど変化を受けなくなる。 原子核と強く結合した電子の割合が増える重い元素では当然波長変化しない散乱の割合が多くなる。 上図はそのことを示している。 このことに関しても振り返られたし。 さらに、上記二種類の散乱X線の強度分布に広がりがあるのは、原子中の電子は完全に静止しているわけではなくて、元々いろいろな運動量を持っているためと考えられる。 DuMond and H. Kirkpatrick, Phys. Rev. その後、理論の正当性をより確かなものにするために、更に以下の検証が行われた。 X線の散乱と 同時に実際に電子の反跳が起こっていることの確認。 散乱X線と反跳電子の散乱・反跳方向、あるいは反跳電子のエネルギー変化量が実際に理論の予想する通りであるかどうかの確認。 ()同時性の確認 ボーデとガイガーは、X線の散乱と電子の反跳が 同時に起こることを巧妙な方法で確かめた。 Bothe und H. Geiger, Zeits. Phys. , 26, p44, 1924年; 32, p639, 1925年;Naturwissenschaften, 20, p440, 1925年) 下図は彼らの用いた装置で、右の模式図はその主要部分を示している。 彼らはAとBの針頭計数管(一種のガイガーカウンター)を向かい合わせに置き、その間へX線を通した。 Aの計数管は薄い白金箔でふさがれ、内部に空気が満たしてある。 一方Bの計数管は水素の中に置かれ、その入り口は開放されている。 X線を水素ガス中を透過させたのは、水素はX線をあまり吸収しないが、散乱は充分に強く起こるからです。 X線がAB間の水素で散乱されると、反跳電子は白金箔に遮られてAの計数管に入ることができない。 ところが、計数管Aは光子(散乱X線)には感ずる。 光子は箔を通り抜けて空気や計数管壁や箔自身から光電子をたたき出すからである。 一方計数管Bはほとんど光子(散乱X線)には感じない。 なぜなら、光子は水素では極めて弱くしか吸収されないからである。 しかし反跳電子には強く感じる。 当時は、真空管回路によって同時放電を記録する方法はなかったので、AとBの計数管出力を直線ストリング電位計に導いて、電位変化が光学的時間目盛りとともに移動して写真看板上に記録される様にした。 下図がその写真乾板の1例です。 一方の曲線がA計数管の電位変化をもう一方がB計数管の電位変化を示す。 乾板上の縦縞は時間間隔を示す目盛りで、その間隔は0. 001秒になるようにしてある。 AとBが互いに連携しないでカウントした事象もあったが、彼らはトータル5時間の観測中にAとBがほぼ同時にカウントする事象を66回見つけた。 彼らは、統計的に考察することで、光子の散乱と電子の反跳が確かに同時に起こっている事を確認した。 [] Botheは、上記の実験の後で、さらに以下の実験を行った。 Bothe, Z. Phys. , 37, p547〜, 1926年) それは蛍光X線が発生する場合に、エネルギーは波動説に従った球面波の形ではなくて、方向を持った光子の形で放出される事を下図の様な装置で確認した。 ボーデは薄い鉄または銅の箔Fを二つのガイガー計数機Z 1とZ 2の間に垂らした。 十分な硬さの1次X線を上から矢印Pの方向に入射させ、箔を照射した。 照らされた箔は蛍光X線を放出する。 もしこの輻射のエネルギーが古典的な波動論のように球面波の形で伝播するのなら、両方の計数管が同時に反応するはずです。 ところが、実験結果は計数管は互いに独立にばらばらにカウントしたのである。 同時にカウントする場合もあったが、それは偶然の一致として期待されるよりも多くは無かった。 つまり発生する蛍光X線は方向を持った光子の形で伝播し、必ず一方の計数管でのみ捕らえられたのです。 [] この節で説明した、実験は1923年に提案された量子の振る舞いについてのボーア・クラマース・スレーター(BKS)理論を明確に否定したものとして有名です。 BKS理論の顛末については、A. Pais著「神は老獪にして」第22章や「ニールス・ボーアの時代」第11章をご覧下さい。 ガイガーとボーテが開発した尖針係数管を複数用いた実験は 同時放電法と言われ、その後の原子物理学や宇宙線物理学の実験でめざましい成果を上げることになる。 また、ボーテがベッカーと行った(後に中性子であることが判明する)も有名ですが、同時放電法は原子核反応の研究にも重要な働きをします。 ボーテが行った一連の実験は量子論の解釈について実験的根拠を与えたということで、Botheは、Max Bornと共に1954年のノーベル物理学賞を受賞します。 ボーテのノーベル賞講演は当時の実験物理学の状況を説明するものとして興味深い。 しかし、このときすでにボーテは不治の病(1957年に死去)に冒されており、講演は口頭では成されなかった。 それを今一度まとめておく。 (6)式から光子が散乱によって失うエネルギーは となる。 上記の式から、光子が散乱によって失う運動量は となる。 すなわち となる。 最初に、反跳電子が得る運動エネルギーE kinをのエネルギー保存則(3)式から求める。 次に、反跳電子が得る運動量p e=mvを求める。 2.(2)で説明したに対して 余弦定理を適用すると が得られる。 これが衝突前に静止(運動量ゼロ)していた電子が、光子によって反跳されたときに得る運動量p eです。 もちろんこれは、別稿で求めた、電子の持つ運動量p eと総エネルギーE eと静止質量m 0c 2との間に成り立つ一般的な関係 から求めることもできる。 実際、上式にE kinの定義を代入すると となり、直接求めることができる。 この式の実験的確認()に依って、で述べたボーア・クラマース・スレーター理論は明確に否定された。 ここまでに得られた式で であることに注意されたし。 [] このとき、以下の事に注意。 このことはで説明するクレイン、ゲルトナー、トゥーリンの実験の解析で重要です。 そこの を参照されたし。 .()() 2.()()() 3.()()(3)()() 4. (3)散乱・反跳に伴うエネルギー変化と運動量変化の計算例 実例によって、前節の(8)〜(11)式と(15)、(16)式の関係を示す。 Rev. また、上図の 灰色平行四辺形 ABCDがで説明した運動量ベクトルについて成り立つ平行四辺形ABCDです。 そのため 下側の半楕円は上側の半楕円と互いに合同です。 Rev. そのため、エネルギー図は となる。 また、運動量図は となる。 このことについて、霧箱発明者のウィルソン自身の説明をノーベル賞受賞記念講演(1927年12月12日)から引用する。 ちなみに、1927年度ノーベル物理学賞はA. ComptonとC. Wilsonが同時受賞して、同じ日に記念講演をしている。 [] ウィルソンの霧箱関連研究は主に1895〜1911年に成された。 更に1921〜1932年に行われたブラケットによる、1925年〜1930年代に行われたコンプトン効果の検証研究、1932年に行われた、1932年のアンダーソンによる陽電子の発見、等々・・・に用いられた。 霧箱実験による検証が直接的あるいは間接的に重要な貢献をして、後にノーベル賞の受賞に繋がった研究は多い。 霧箱の物理学における貢献は偉大です。 [] ウィルソンの霧箱について補足する。 それは別稿で引用したウィルソンの論文 C. 以下はノーベル賞受賞式でジーグバーンが行ったウィルソンの業績紹介文からの引用です。 我々は、霧箱の示す現象の解釈について詳しく知りませんが、ウィルソンのノーベル賞受賞記念講演はその紹介として極めて興味深いものです。 是非お読みになることを勧めます。 そのとき、上記の散乱係数と吸収係数の比は 反跳電子の短い飛跡の数N Rと 光電子の長い飛跡の数N Pの比と一致するはずです。 つまり となることが期待されます。 実際、コンプトンたちは入射X線の波長を様々に変えて、霧箱中に生じる二種類の飛跡の数を数えて次表の結果を得ることができた。 確かに、入射X線の波長が短くなるにつれて短い(球形or魚形の)飛跡の数が、長い飛跡の数よりも圧倒的に増えてきたのです。 そして、 短い飛跡がコンプトン効果で生じた反跳電子の飛跡であることを示している。 コンプトン達はこの事を確かめる実験を実施した。 この事を次節で述べる。 Compton and A. Simon, Phys. Rev. , 26, p289〜, 1925年 の概要を述べている。 その説明文を以下に引用する。 [] 上記の近似式(2)、(3)の正確な形は、で説明したとを参照されたし。 また、上記のウィルソンとボーデの論文は下記のものです。 28) C. Wilson, Proc. Roy. Soc. London, A 104, p1〜, 1923年 29) W. Bothe, Z. Physik, 16, p319〜, 1923年 [] ここで、散乱される光子自身は空気を電離しないので、散乱光子の飛跡を霧箱中の飛跡で確かめることはできないことに注意されたし。 そのとき、散乱された光子が霧箱中の気体分子に吸収されると光電子を出す。 そして、光電子は霧箱中に比較的長い飛跡を残す。 .Crane、Gaerttner、Turinの実験(1936年) 前項と同様な実験が、クレイン、ゲルトナー、トゥーリンによって更に精密に繰り返された。 Crane,E. Gaerttner and J. Turin, Phys. Rev. , 50, p302〜,1936年) 下図は彼らが用いた装置の模式図です。 散乱体として、ウィルソン霧箱の中心に置かれた厚さ0. 8mmのセルロイド片が用いられた。 彼らは、幾つかの改善をして測定精度を上げた。 5〜2. 6MeV)を用いることで、反跳電子のエネルギーを大きくした。 霧箱に880 oerstedの磁場をかけて反跳電子の軌跡を曲げ、その曲率から 反跳電子のエネルギーE kinを測定できる様にした。 反跳電子の軌跡は、短時間発光するストロボライトの光で照射された軌跡を二方向から二台のカメラで写真に撮って立体的に再現できるようにしてある。 [] 彼らの方法は次のような長所を持っている。 この事についてはを復習されたし。 その際、入射光子のエネルギーに関して何らの仮定もする必要がない。 この長所は極めて大切です。 実際の散乱写真を3例示す。 反跳電子の飛跡(箱の中央付近)と散乱光子が鉛板に吸収されて出る 光電子(鉛板付近)の軌跡が見える。 上下の写真は同じ事象を、異なったカメラで二方向から撮った写真です。 二方向の写真から飛跡を三次元的に再現することができる。 これは元祖ウィルソンが用いて以来、常に利用された方法です。 全部で10000枚の写真が撮られ、300組の電子-光子の組み合わせが見いだされた。 データを整理した結果、偶然の一致の可能性を遙かに超える多数の場合において、散乱光子の実測された方向は計算値と一致した。 [] 更にに進んだ観測装置(ガイガー・ミューラー計数管や光電子倍増管など)を用いて精度を高めた同様な実験が1930年代後半以降に多くの実験家により精力的に繰り返された。 それらはいずれもコンプトンの理論を高精度で実証した。 Jacobsen, Nature, 138, p25〜, 1936年 W. Bothe und H. Maier-Leibnitz, Z. Phys. , 102, p143〜, 1936年; Phys. Rev. , 50, p187〜, 1936年 R. Shnkland, Phys. Rev. , 52, p414〜, 1937年 W. Cross and N. Ramsey, Phys. Rev. , 80, p929〜, 1950年 光子の粒子性は、コンプトン効果の発見以前に 光電効果の実験で確かめられてはいたが、それはエネルギー粒子としてたしかめらているだけでした。 コンプトン効果の実験によって、光子の粒子的性格はその運動量を含めて更に具体的かつ詳細に確かめられた。 [] 相対論的力学運動方程式を確かめるだけなら、光の散乱を用いるよりも、電子散乱の方が適している。 なぜなら散乱電子と標的電子の両方が霧箱中に飛跡を残すからです。 1932年にF. Champion(Proc. Roy. Soc. A, , , , 1932年)は高速で走る電子を静止している電子に衝突させて、衝突後の二粒子の飛跡の成す角度をWilsonの霧箱で調べた。 この角度変化は相対論的力学で計算できますので、入射電子の速度変化に伴う飛跡角度の変化を調べれば相対性理論が高精度で検証できます。 詳細はの説明を参照されてください。 .()() 2.()()() 3.()()()()() 4.参考文献 4.参考文献 この稿を作るに当たって、下記文献を参照した。 中村誠太郎、小沼通二編「ノーベル賞講演 物理学4(1923〜1927年)」講談社(1979年刊) この中のA. ComtonとC. Wilsonの功績紹介文と受賞記念講演を参照。 これは興味深い内容です。 高度な内容が簡潔に説明されているので、理解するのはかなり難しいです。 荒木源太郎著「原子物理学」倍風館(1964年刊)第4章3. コンプトン散乱 20世紀前半の原子物理学の発展を概観するには最適です。 また章末の文献表は貴重です。 平凡社「世界大百科事典」と岩波「理化学辞典」のなかのの項目• 中村誠太郎、小沼通二編「ノーベル賞講演 物理学7(1950〜1955年)」講談社(1979年刊) この中にWalther Wilhelm Georg Botheの受賞記念講演があります。

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光の粒子としての性質を明らかにした「コンプトン効果」について元理系大学教員が解説

コンプトン 効果

光電効果とコンプトン効果関連ページ 外郭軌道電子との衝突によりエネルギーの減少した散乱光子をコンプトン散乱光子と呼び、さらにはこのような散乱をコンプトン散乱効果などと言ったりします。 コンプトン散乱とは、光子がターゲットとなる原子の外殻軌道電子と衝突して衝突前後においてエネルギーの変化を起こさせ、光子が持っている運動エネルギーを軌道電子に与えて外殻の軌道電子を原子の外に飛び出させる現象を主に言います。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 またトップレベルドメイン直下はブログ型コンテンツになっておりブログ形式のコンテンツは数学以外のテーマを主に扱います。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 またトップレベルドメイン直下はブログ型コンテンツになっておりブログ形式のコンテンツは数学以外のテーマを主に扱います。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。 当サイトは主に物理に関する数学など、その他周辺も含めた少々ごった煮のウェブサイトです。

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わかりやすい! コンプトン効果とは?|【かきのたねブログ】

コンプトン 効果

歴史 [ ]• - が、のは従来ので説明のつく様な連続的なとは違い、とを掛け合わせたの倍の値しか取ることが出来ず、光はされているとする を提唱し、に関するエネルギー分布のにした。 - がプランクの提唱した「エネルギー量子仮説」を拡張し、光はプランク定数と振動数を掛け合わせたエネルギーを持つ()の集合体であるとする を提唱し、のの説明に成功した。 - アインシュタインは、更に光量子のがエネルギーを cで割った量であると結論付け、のにを投稿し掲載された。 - は自身のによって光量子仮説を確かな物にしたとして、から翌にかけてで行われたでを行った。 このの様子は議事録としてされ後に翌号のの科学誌にも掲載された。 一方、コンプトンは自身のの詳細を付でした論文にまとめ上げ、翌1923年号の科学誌に投稿し掲載された。 - もこの電子とX線の衝突に関心を持ち独自に研究を行っていた。 彼は前述のコンプトンの論文に不足していたを付で執筆した論文にまとめ上げ、号のドイツの科学誌に投稿し掲載された。 コンプトンはそのデバイの論文を参照しながら自身の論文をして付で執筆した論文にまとめ上げ、号のアメリカの科学誌に再投稿し掲載されて 、理論の完成に至った。 この理論の完成に対するコンプトンによる研究の寄与が大きかった事と、デバイの意向と言う2つの要因によって最終的にこの理論は「 コンプトン効果」と名付けられた。 - コンプトンはその功績によりを受賞した。 尚、ここで言うアメリカの科学誌とは" "を指し、ドイツの科学誌とは" (、)"を指しているが、1900年と1905年のものは" "を指している。 コンプトンの実験 [ ] コンプトンによる実験略図 コンプトンはX線の散乱の際に、波長が変化することを調べるために次のような実験を行った。 初めに、の対陰極を持つX線管からX線を生成し、次に生成されたX線をへ入射させた。 そして散乱されたを、いくつかのに通した後、の役割を果たすとして へ入射させ、ブラッグ反射の原理を利用して、分光および波長の測定を行なった。 さらに石墨片以外の物質(やなど)を散乱体に用いて、それぞれ同一角における各波長の強度の違いを調べた。 実験の結果、以下の事実が明らかになった。 波長のずれの大きさは散乱角に依存し、散乱体の材質によらない。 散乱体のが増すと、波長のずれなかったX線の強度は増大し、波長のずれたX線の強度は減少する。 この原因は、により説明がつく。 電荷が大きい(原子番号が大きい)との距離が近い電子は、クーロン力により原子核から大きな束縛を受ける。 その結果、この電子は原子核と一体になって、衝突に参加する。 従ってから光子は、自身のエネルギー及び運動量を伝達できない。 よって波長の変化が起きず、コンプトン効果は生じない。 導出 [ ] 電磁波が粒子と同じように振る舞い、一つの電磁波の粒子(光子)が、一つの電子に衝突する玉突きを想定する。 つまり光子は一定のエネルギーの他に、一定の運動量をもつことが必要になる。 コンプトンプロファイル [ ] コンプトンがコンプトン散乱を見つけたデータには、実は実験装置の精度以上に波長の広がりが観察されていた。 これは、実際には物質中の電子は静止しておらず、ドップラー効果により、コンプトン散乱には電子の運動量が反映されることによる。 1929年には金属 Be のコンプトン散乱の測定から ,物質中の電子の運動量分布はフェルミ・ディラック統計に従うことが示されている。 インパルス近似が成り立つ条件下で,コンプトン散乱 X 線のエネルギー分布から始状態の電子運動量分布が得られる。 コンプトン散乱X線のエネルギースペクトルから求めた物質中の電子運動量分布を、コンプトンプロファイルとよぶ。 コンプトンプロファイルは電子運動量密度の一次元投影像であり、電子運動量密度は運動量空間の波動関数の絶対値の2乗、すなわち運動量空間の電子密度である。 コンプトン散乱における始状態は基底状態と考えてよい。 また、理論計算により、基底状態の電子状態、波動関数、電子の運動量密度n p を求めることができる。 従って、測定されたコンプトンプロファイルを理論計算と比較検討することで、基底状態の電子状態を考察することできる。 兵庫県にある大型放射光施設などでコンプトン散乱を用いた物性実験が行われている。 高エネルギーX線を利用するため、物質内部の観察のほか、高圧、ガス雰囲気、電磁場中など様々な環境での測定が可能である。 フェルミオロジー [ ] 電子系がフェルミ面を持つとき、電子系の基底状態の運動量密度分布n p には、フェルミ運動量で運動量に不連続が現れる。 フェルミ面が単純な構造の場合これを辿ればフェルミ面を描くことができる。 コンプトンプロファイルJ p z は電子の運動量密度分布のpz軸への一次元的投影なので、結晶のいろいろな対称軸方向のコンプトンプロファイルを測定するとフェルミ面の3次元的な情報を得ることとができる。 波動関数 [ ] 電子運動量密度は波動関数から直接計算できる量である。 波動関数の対称性は運動量空間と実空間で同一なので、コンプトンプロファイルの形を解析すれば実空間の波動関数、化学状態、電子状態に関する情報を得ることができる。 磁気コンプトンプロファイルとスピン磁気モーメント [ ] 電子スピンと光の磁気的な相互作用のために、円偏光X線で強磁性体のコンプトン散乱を測定すると偏光の向きと強磁性体の磁化の向きに依存したコンプトンプロファイルが得られる。 これのコンプトンプロファイルを磁気コンプトンプロファイルという。 磁気コンプトンプロファイルを解析すれば磁性電子の波動関数に関する情報が得られる。 また、磁気コンプトンプロファイルに電子のスピンに依存した磁気的な効果が表れ,積分値からスピン磁気モーメントが得られる。 逆コンプトン散乱 [ ] 現象 [ ] 高エネルギーの電子がやといった低エネルギーの光子と衝突し散乱することで、光子をよりエネルギーの高いX線やへ変化させる現象を逆コンプトン効果と呼ぶ。 また、その時に起こる散乱を逆コンプトン散乱(: inverse Compton scattering)と呼ぶ。 コンプトン散乱は電子に高エネルギーの光子が衝突する場合である。 対して、逆コンプトン散乱は光子に高エネルギーの電子が衝突する場合である。 これは電子を静止系としてみれば、後方へのコンプトン散乱にほかならない。 応用 [ ] 宇宙空間では逆コンプトン効果が生じている。 星からの光が高エネルギーに加速された電子との逆コンプトン散乱によりエネルギーを得る。 実験室でも逆コンプトン効果を実現することができる。 加速器で高エネルギーに加速された電子に、光を照射する。 脚注 [ ] []• の公式ウェブサイト. 参考文献 [ ] 原論文 [ ]• October 1900. (、) 4: 553 ff. October 19, 1900. (、) 309 3 : 553—563. December 14, 1900. 2: 237-245. March 17, 1905. (、) 322 6 : 132—148. March 3, 1917. (、) , , : () 18: 121-128. (), , , : 21 2 : 195-215. 1 February 1923. "32. A quantum theory of the scattering of x-rays by light elements. December 13, 1922. (), , , : 21 5 : 483-502. May 9, 1923. (), , , : 22 5 : 409-413. March 14, 1923. sophiararebook,商品紹介ページ. (、) , , : () 24 8 : 161-166. December 6, 2005. Series B : 37 3 : 543-558. Du Mond, Jesse W. 1929. Sakai, N. 1976. 書籍 [ ]• 物理学辞典編集委員会『物理学辞典』、2005年、三訂版。 、『宇宙物理学 現代物理学の基礎 11』、1978年、二訂版。 Cooper; P. Mijnarends; N. Shiotani; N. Sakai; A. Bansil Ed. 2004. X-ray Compton Scattering. Oxford univ. Press 関連項目 [ ]• - のを長波長側にシフトさせると、コンプトン散乱から移行して発生するな弾性散乱である。 外部リンク [ ]• 法則の辞典『』 -• 法則の辞典『』 -• 法則の辞典『』 -• - (英語).

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