と ある バード ウェイ。 フロリス「なんでか」レッサー「あの人の家に」バードウェイ「泊まることになった」

【上条当麻SS】バードウェイ「責任とってもらおうか」

と ある バード ウェイ

: 概要 初登場はINEに掲載された『 』第1話。 旧でも18巻と巻に登場しているが、本格的にに合流したのは『新約』第1巻から。 でも有数の『 明け色の陽射し』を束ねる。 名は『 u1』。 実年齢前後のであるが、としてはかなり。 集団をなで殲滅したり、を単独で壊滅に追い込んだり、『人』の域に届く程の実を持つ。 この歳でを率いているのも納得の強さである。 ・といった「徴 ボウエ 」を使い、『の如き者 』のの一部も使用可。 を使用した大をすれば一時的に音速で行動できるらしい。 それどころかちょっとした思い違いで「」を消滅させかけた。 末恐ろしいである。 性格としては。 のを蹴ったりにビンタをしたこともある。 胸はよりもい。 あまりにも小さすぎてが不要な事を気にする程。 年齢を考えれば気にするほどでもないと思うのだが。 の を大事にしており、密かに護衛を配したり命のには部下を向かわせるなどしているが、そのからは「わがまま」だの「心配性」だのと言われている。 に対しては特に否定的ではなく、雑誌もに講読している。 『明け色の陽射し』自体、でありながら最新を取り入れており、は「ある種、を最も色濃く継承している」という認識を持っていた。 活躍 SS~旧約 とはにて出会い、霊装『ドナーの』の回収を依頼。 その際に裸を見られたりする等が発動しているが、「にしたい」と思う程に気に入ったらしい。 旧18巻では『連合の意義 』のもとに参戦しようとする民を傍で見て呆れていた。 しかしのまで参戦しようとした事が部下(? )の口から明かされた際、慌てて連れ戻そうとしている。 旧巻では付近で徴を振り回し、が発生させたm前後の『の腕』をり落としている。 周囲は然としていたが、これでも出はに至ってないらしい。 何このこわい。 新約 『新約』にて重要の一人として登場。 、、に『』についての知識を与えるが、その後の編ではをはじめのを介入させる事によりの孤立を謀る。 その結果、を『裏切る』ことになった。 新約6巻では、フ=クトゥーネを巡る戦いにてと対峙。 その際のの最初の言葉は『 よおバードウェイ。 ちょいと仲直り(カ)しようぜ』であった。 にはに『自分を巻き込んでくれれば良かった』といった言葉をかけられて動揺。 そして『 常に同じ動作で同じ術式を使用する』ことが的としての強さと見抜かれる。 つまりは『新しいもの』をめつつも、自身に苦労を惜い「とてつもない努」であったのだ。 最終的にを受けてしたが、その後に腫れたと不機嫌な様を見られた時には「」があるとからかわれている。 自身は認めずとも『 お願いを聞いてくれて頼りに気に入りのに叱られて拗ねている』なわけである。。 新約8巻では対の切り札として をしておく為に、に堂々と侵入。 ム戦ではやと活躍。 しかしや、、と共に船のに到達した直後、が「」を消滅させてしまう。 新約9巻では再生されたでを攻撃している。 続刊の新約10巻ではがを守る為に 達の体感時間的には いきなり態度を変させた事を当然快く思っておらず、に「 のを横からかっさらわれてほっが膨らんでいるんですかね?」とからかわれた。 その後 と理由も言わずに去った当麻 を倒すために、と「 模倣」をさせて「の()」をある程度し、達の前に立ち塞がった。 当初はに対しては多少お灸を据えるだけの予定だったが、があまりにも読めない発言をした為に全で対応する事になる。 レイヴィニアももがを吹っ飛ばせる事を知らず、の忠告を視して使おうとしたが、の 機転によって の羞恥を犠牲には崩壊せずに済んだ。 新約14巻では に寄生されたを救うために「 バーション」を構築する。 詳細は後述するが、レイヴィニアはバーションをった「」と呼ばれる存在になってと突。 両者はの末に倒れ、レイヴィニアはに、はに保護された。 最終的にはと勢の手で除去され、さらにの介入もあった事でバードウェイは命を救われている。 召喚爆撃 火の徴を行使し、状の 化以前のの塊 を最速最短でつける。 面倒なを必要とせず、あらゆる行程を簡略化する代わりに威を落としているが、その劣った威を回数()で補っている。 ただしあらゆる行程を視したの為、並のが手を出せばしかねない。 綿密な計算を分量だけで済ませてしまう肌のレイヴィニアならではの術である。 …しかし、これはの偽装であった。 なにもレイヴィニアは才で召喚を行使している訳ではなく、いつも同じ…すなわち「された行動」によって召喚を成立させていた。 大した事がないように思えるが、の場合は一時間前、一日前、前、一年前の自分を全にできる程に洗練されている。 それは才というよりは「積み重ねた努」がもたらした成果だった。 逆に言えば「決まった動作で決まったしか扱えない」という弱点がある。 自身新しい術式を開発出来るが、その場合はまた努の積み重ねが必要となる。 は弱点を隠す為にや片手間、即といった的言動をとるが、実はそうした言動も全て努によってされていた。 既定のを璧に辿る事で、常に「自分という」へと収まる。 この究極のが的なとなり、使用すればするほど威の向上に繋がる。 つまり、 積み重ねた努こそがというの、そして自身なのである。 レイヴィニアはこの術式を使って他のを単独で潰したこともある。 模倣神技 簡単に言えば、の持つ「の 」を限定的にし、やの頭のなかにある破壊のを「現」として反映させる術式。 正しく使えばに届き得るという、の10万0冊ものが成立させている。 レイヴィニアはのでない為、本来ならを扱えない。 しかしの協を得ることで絶大なののほんの一部分を切り取り、たった1度だけでも高純度で保たれた「」と紡ぎ出される「現」をする事は出来た。 問題点として、人の身でわずかなのを扱うだけでも、膨大な原典 の知識を必要とする点が挙がる。 作中ではの歌でレイヴィニアにを扱えるだけの知識が授けられたが、歌から流れてくる原典のを防ぐ術はなく、徐々に頭の中が蝕まれていた。 加えて、元のが「の創造・破壊」すら可という問題もある。 これによって の破壊を抽出しただけでも自体を余裕で吹っ飛ばせる、人の身に余る悪な性に至っている。 扱う達にを滅ぼせる自覚がない点も併せて非常にである。 幸いにもがを発動させ、誤っての胸を触った事で「模倣」を成立させているが途切れ、はした。 そのまま使っていれば確実に「の」のお世話になっていた事だろう。 カニバリゼーション に寄生されたを救う為に構築した、 由来の。 バーションは自社製品の共食いを意味するマーケング用である。 根幹にあるのは、版こと「ニャニャブブ」という民話。 これは醜い毛皮を被せられからも気味悪がられたが、不思議なで美しく育った話である。 レイヴィニアはこの民話を多少して(具体的には毛皮の色がになっている)、毛皮に「防衛、隠蔽、成長を一挙に促す培養器」という意味を持たせ、新たな臓器を体内で育てていた。 レイヴィニアはこの臓器を「果実」と呼ぶ(い毛皮もに見立てている為)。 この「果実」はで作られているらしく、に食べさせてを摘出した後の不足した分を補う。 しかし、成分がと同じだろうが臓器をに食べさせることに変わりはない。 というかかなりかつな話である…。 なお レイヴィニアも体内をされ体に不調が起きており、いずれ確実に内側から破裂してしまう。 新約14巻の騒動の根幹・原因をめると以下のようになる。 の全身のを溶かしていたに寄生するを摘出しても、は衰弱死する• 新たな臓器(果実)を食べさせればを取り除いても助かるが、今度はレイヴィニア=バードウェイが最悪の可性として死ぬを負う この二者択一が間のすれ違いを生み、はを、はを助けるために命がけで行動していた。 「赤」 先述した通りニャニャブブの毛皮は「防衛機」を持つ。 作中で「」と呼ばれていた不定形の存在は、ニャニャブを全身に被ったレイヴィニアであった。 かろうじて人は保っているが、傍から見ればと大差ない存在と化している。 関連商品 関連項目•

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とある上条さんの年齢変換

と ある バード ウェイ

『上条当麻セカンドバースデー企画』 上条当麻にプレゼントする小悪魔とボス編 某日まで5日 「おい、どういうつもりだ?」 イライラとした口調で声を発したのは、 12歳前後の金髪の少女だ。 ここはイギリス東部の小さな町。 実はこの少女、イギリスではあまり派手な動きを好んでいない。 もしそうすればイギリス清教に睨まれるからだ。 とはいえ多少の追手は彼女には苦でもないのだが、 とにかく彼女からすると、ロンドンから離れているのは多少ありがたかったりする。 だから呼ばれて話し合いを設けられた場所がここなのはいい。 魔術とは無縁の喫茶店なので、彼女もある程度は気が楽である。 しかし、問題は呼び出してきた相手の方だ。 彼としては少し不安だった。 無論諍いのあるイギリス清教などとの話し合いよりは緊張はないが、 今回の相手は別の意味で不安だった。 だからこそこの会合には賛成しかねたが、 ボスの有無を言わさない判断には抵抗しようがない。 ただ、そのバードウェイも渋々・・といった雰囲気を滲ませていたのだが。 「いいから要件を話せ」 「急ぐと嫌われるのは男女共に・・なんですが、 当日まで時間もそうあるわけでもなし。 本題に入りますかね」 あの魔術結社、 『明け色の陽射し』のボスを目の前に物怖じしないので、 相当な大物と思われるかもしれないが、バードウェイは溜息を吐く。 いつから私はコイツと仲良くなったんだ?と。 勝手に同等に見られているのは悩みの種だった。 だからと言って、積極的に潰す相手と見れるかというと否定出来るだろう。 なんせ相手は魔術結社の一員ですらないのだ。 ようは相手にするまでもない人物である。 子供と大人みたいなものだろうが、それでも相手にしてしまうのは何故だろう? 「実はですね・・あと5日でどうやら、彼の特別な日のようですよ」 結社のボスを堂々と呼び出した黒髪の少女、 魔術結社予備軍の一員であるレッサーはそう答えた。 [newpage] -------- 「彼・・?」 訝しげにバードウェイが聞き返す。 「あなたにとっての愛しのお兄ちゃんに決まってるじゃないですか」 「あぁん?」 更にイラついたように答えるバードウェイ。 やれやれ、素直じゃありませんねぇ・・と嘆息するレッサー。 そして彼女は即名前を出した。 「上条当麻、ですよ」 「特別な日、というのが分からないが」 「ほほぅ・・愛しのお兄ちゃんについては否定しないんですね?」 「お前・・灰にしてやろうか?」(怒) 遂に沸点に来たのかバードウェイは杖を取り出す。 対してレッサーは割と余裕そうだった。 バードウェイから杖を向けられるなど、 普通の魔術師なら足がすくんでしまう事だろう。 にも関わらずこの少女の余裕は一体何だ? マークは怪訝に思った。 「沸点が低いのはよくありませんよ?大人の女性には程遠くなってしまいますし、 何よりあの少年はそういうのに特に敏感ですからね」 彼女はそう言うとおもちゃの水鉄砲を取り出した。 但し中には得体のしれない緑色の液体が入っている。 まさか、毒だろうか・・? 「一々あいつを引き合いに出すな。 そもそも以前の寝床に突撃の件で、お前は私に馴れ馴れしすぎるぞ」 「おや、あの件で結構お楽しみだったのは誰でしたっけ? 私は眠かったのであまり覚えてませんが、私でないとすると・・あなたしかいませんね」 「・・・」ギリ 凶悪な笑みを浮かべるバードウェイに、 マークはこの少女も終わりかなと思ったが、 「仕方ありません、少し落ち着いてもらいましょうか?」 そう言うと水鉄砲を1回発射してきた。 いきなりの事だが、バードウェイも伊達に1結社のボスをやっていない。 避けるのは容易だった。 てっきり毒と思い、避けた後にいよいよこの女に制裁してやろう、 そう思ったバードウェイだが、そうもいかなかった。 原因は明らかで、レッサーが発射したあの緑の液体である。 実は避けるまでも無くその液体は机の上に付着しただけで、 バードウェイには掠りもしていなかった。 但し一般の類の毒ではなく・・。 「ん・・?にゃ、にゃんだこれ!?」 バードウェイが鼻を抑えた。 あの液体が臭ったのである。 それも、ツーンとした匂い。 人によっては問題ないが、 ある物が苦手なバードウェイにはつらい臭いでしかない。 あまりにもキツイのでバードウェイは杖を落としてしまった。 レッサーはニヤリと笑うとこう答えた。 「いや~、あの少年はあなたの妹さんから聞いたようですが、 本当に辛い物苦手なんですね。 ボスの弱点がこの少女に知られていた事に絶句し、 大したものではない、つまり毒でもなんでもないもので安堵したのである。 そして更に思った。 この魔術少女、そう危険でもないなと。 ボスとこの少女のやり取りは、子供の戯れだなーと。 彼は少し冷めた視点でボスの大騒ぎを眺める事にした。 [newpage] ----------- バードウェイが落ち着くまで少しだけ時間が掛かった。 何しろ本場のワサビを擦りおろし液体にしたのだから、苦手な人には本当につらいのである。 珍しいボスの泣き顔を宥めたのはいつ以来だろうか。 「で・・上条当麻の何の、ヒッ・・日だって?」 プクク・・と笑いを堪えながらレッサーは水鉄砲を引込めた。 マークも実は少し笑っていたのは内緒である。 「これを見れば即分かるのですが、 どうやら7月28日は彼の第2の誕生日、らしいですよ」 彼女は自身の携帯の画面を見せながら答えた。 とはいえ、この辛さ攻めの連続では話が進まない。 先程も言ったが時間の猶予はそうないのである。 「どうして誕生日が2回もあるのかなど些細な事ですよ。 重要なのは2つ。 1つはこれが確実な情報である、という事です。 何せ学園都市のみでなく、世界のあちこちに知れ渡ってる事ですよ。 私もイギリス清教の細い伝手で知ったのですけどね。 で、もう1点がこの情報で既にイギリス清教の人物が行動しているという事です。 ようはあの少年にお祝いを・・と言う人々が、 学園都市からの情報で行動しているんです」 バードウェイは無言で聞いていたが1つの推測が付いた。 無言で、とは言うものの実際は何も言えなかったのだが・・。 彼女は5杯目の水を口に含むと、思いついた懸念事項を口にした。 「つまり、学園都市の一言。 あいつの情報程度で魔術サイドも動くようになったという訳か。 イギリス清教もお笑いものだな、科学側に影響を受け過ぎている」 第3次世界大戦でイギリスと学園都市は共同戦線を張ったと言われているが、 それがここまで尾を引くとは・・。 いよいよ学園都市の動きを少し抑制する必要があるな。 そう思ったバードウェイだが・・。 「は?」 レッサーの目は正に点状態である。 「何でそんな裏まで推測してんですか? ここは、私達も動かないとあの少年に完全に忘れ去られるって事ですよ!! 全く、これだから結社の上でふんぞり返ってる人はダメなんですよ。 どうして物事をシンプルに受け止められないんですかね・・」 一瞬バランスを崩し椅子から落ちそうになったバードウェイだが、 折よくマークに支えられた。 彼女は口元をヒクヒクさせながら体勢を整えると、 疑うような口調で聞いてきた。 「すると何か・・?お前はあいつのお祝いに、 それに巻き込むためにわざわざ呼んだのか?この私を・・?」 キョトンとしたレッサーはあっさりと切り返してきた。 「それ以外何かあるんですか?」 割と即答だったのでバードウェイは開いた口が閉まらなかった。 [newpage] ああでもないこうでもないと頭を悩ませる素振りをすると、 バードウェイは再び尋ねる事にした。 下手に話の流れをおかしくすると、再び悲惨な目に遭いそうだからだ。 「・・お前1人でやればいいだろう。 何故私を誘う?」 バードウェイの最もな疑問はそこだった。 別にレッサーは天涯孤独ではない。 結社予備軍に所属していて仲間が3人いたはずだ。 それにイギリス清教に多少の繋がりがあるなら、 それと一緒にやればいいのではないか? バードウェイとしては上条という少年のお祝いなど、 寝耳に水の情報だし殆どどうでも良い事である。 何故わざわざバードウェイに声をかけてきたのだろうか? まさかこれに付け込んでこちらの結社に介入するつもりだろうか? 彼女の疑問の答えはあっさりと返ってきた。 「いや~、実は私の仲間にも声をかけたんですけど、 ベイロープは無関心、フロリスは彼を恨んでまして、 ランシスには断られたんですよね」 「・・・」 もしバードウェイが眼鏡をかけていたら、 正に眼鏡がズリ落ちた、という表現が出来ただろうか・・。 このレッサーという少女、仲間全員から協力を断られたらしい。 仲間でさえこれなのだから、 イギリス清教との共同などもってのほかだったのかもしれない。 それで上条の寝床にかつて一緒に突撃した、 バードウェイを誘ってきたという事か。 少々呆れたバードウェイだったが、逆に度胸あるなとも思えてしまっていた。 通常こんな事案に友達感覚でバードウェイを誘うなど、まずあり得ない人選だろう。 しかし彼女の答えは決まっていた。 「ハー・・理由とかもうどうでもよくなった。 面倒だ、1人で勝手にやれ」 もっと悪い事態、つまり結社規模の事かと思えば、 蓋を開けてみれば大した事ではなかった、というやつである。 祝いたいなら1人でやれと。 「冷たいですねぇ、せっかく彼は貧乳にしか反応しないかもしれないのに・・」 レッサーの一言にバードウェイの耳がピクリと反応する。 聞き捨てならない言葉だ。 「いや~、ランシスを誘ったのも実は私より胸が小さいからだったんですよ。 そしたら滅茶苦茶怒られましてね・・私が知る無い胸の子、 と言ったらあなたくらいなんですが・・」 「おい・・どういう意味だ?」 再び脳の血管がビキビキと唸り、沸点を迎えそうになったが、 まだ一縷の望みを考えゴールテープは切らなかった。 言葉にしてしまえば、この『明け色の陽射し』のボスが負けを認める事になるのだ・・! 「単純な話ですよ。 彼は私の身体にはあまり反応してくれなくてですね。 で、近くの人物、つまり禁書目録なんかそうですけど、 胸が無い方が好きみたいでしてねぇ、ですから、 そういう子をプレゼントする代わりに 彼にはイギリスの為に粉骨砕身してもらうように・・」 「お前は・・この私をプレゼント扱いするつもりだったのか!! それに・・!私は・・!!」 グッっと堪えるバードウェイ。 目の前の黒髪の少女は、年は自分とそう変わらないのに、 大層立派な山となっているのが服の上からでも分かる。 大して自分は・・全身を震わせながらバードウェイは皆まで言えなかった。 「おや、何ですか?ま・さ・か・・。 この私よりも立派な物を持っているとでも言いたいのですか? 確かブラも必要としてないのでは・・?」 「・・!・・っ!!」 ガンガンと机を叩くバードウェイ。 そんな事まで話したのですかパトリシア様? いや、あの時例の少年と私が知ったのが原因か。 と、マークはボスの筒抜けのプライベートを嘆いた。 バードウェイのライフはまだ0ではないが、 レッサーに比べて明らかに疲弊状態であった。 こんなに疲れた彼女も珍しい。 [newpage] ----------- 「で、どうします?あの少年の寝床に突撃した時は、 私も眠くて本領とはいきませんでしたし、 『船の墓場』の件もあってゴタゴタしましたからねぇ。 上手くいけばあなたの傍に愛しのお兄ちゃんがいることになりますよ?」 「その言い方いい加減止めろ・・」 遂に皆まで言われ敗北状態のボロ雑巾、 とまでは言わないが、脱力中のバードウェイ。 もはや強気で言い返す気力もないようだ。 流石の彼女も胸の大きさでは勝てないのである。 「さっきの情報、本当なのか・・?」 「おや、ようやく食いついてくれましたね。 ぶっちゃけた所真偽のほどは分かりかねますが、こう考えましょう。 胸がある少女と無い少女、どちらもが攻めれば確実にどちらかに転がります。 仮に私に来るなら、あなたの愛しのお兄ちゃんとしていつでも貸すことを約束します。 あなたの方へ行けば逆ってだけですよ」 「・・・」 少々強引すぎる案ではあるが、バードウェイも一歩下がって思考を始めた。 恐らくオティヌスによる世界の崩壊でも見てきたであろう上条当麻。 それでも世界を敵にしてオティヌスのためだけに立ちはだかった男。 そろそろ手綱を完全に付けた方が良いのかもしれない。 「よし・・良いだろう。 そろそろ私も本気を出さねばな」 「!?」 まさかこのレッサーと言う少女の案に乗るというのだろうか? マークとしては驚愕の一言だった。 確かに彼女の上条へのある程度の執着は、 今までの彼女を知るマークからすると目を見張るものだった。 だが如何にレッサーが彼女の弱みを持っていても、 まさかこうもあっさり同調する事を良しとするとは・・。 我らが結社のボスへの交渉事は、 殆どが相手の要求を無下にして、バードウェイの好き勝手が目立ってしまう。 それだけの力と実力があるのがバードウェイだ。 屈服させてきたのは百戦錬磨だったと言える。 が、その記録をレッサーと言う少女はあっさり打ち破ってしまった。 互いにその辺りは無自覚なのだろうが、マークは驚きを隠せなかった。 するとレッサーは突然身を乗り出して、 「では、とりあえず同盟確定ですね。 お互いに頑張りましょう」 そう言いながら手を差し出してきた。 仲睦まじく手を握り合うなど彼女の主義ではないのか、 バードウェイはイラつきを見せながら、レッサーの手を軽く叩いた。 そうされながらも笑みを絶やさないレッサーは、注文を頼み始めた。 [newpage] 「早速作戦会議といきましょう。 何か口にしながらの方が頭も冴えるってものです」 レッサーはコーヒーとフルーツパフェを頼んだ。 バードウェイも落ち着こうと自分の好みの物を頼もうとしたが、 ノンアルコールカクテルはこの店に存在しなかった。 「あの・・お客様?」 店員が困り気味であったがバードウェイの頭の中は、割と切迫していた。 実は彼女の好きな物は普通の喫茶店であるこの店で扱っていたが、 正直に言えば恐らく目の前のレッサーにまた格下扱いされる気がしたのだ。 何せ彼女は普通にコーヒーを頼んでいる。 しかもブラックだ。 おまけにパフェまで頼んでおり、ここで子ども扱いは彼女のプライドが許さない。 相手が高級料理を頼んでいるのに、こちらはお子様ランチ、 と、いう感じの格差を作らないにはどうすればいいのか? 数秒考えた結果、そうだ、こちらにはマークがいる。 彼を上手く使ってやろうと思ったのだが、 「うちのお嬢様にはミックスジュースの類をお願いします」 「かしこまりました」 彼はあっさりとバードウェイの思惑を崩壊させてしまった。 ガン!と机に突っ伏すバードウェイ。 マークは何事も無かったかのように涼しげな顔をしていた。 恐る恐るレッサーの方を見ると、 彼女は自分の頼んだものが早く来ないかと待ちわびている。 どうやら考え過ぎだったかと思い、 バードウェイが毅然とした態度を取ろうとすると、 「あ、無理に年上ぶる姿はあの少年からすると、高評価かもしれませんね。 同性からしたら苦笑いしかおきませんが」 見事に一蹴されたバードウェイは何も言い返せなかった。 マークは即座に心の中でツッコミを入れる。 そりゃあなたの苦手な物知ってるんですから、 当然知っているでしょうに・・、と。 [newpage] ----------- レッサーが特大のパフェに挑み、 バードウェイがようやく好物を口にして少し機嫌も良くなった所で、 ようやくレッサーが頼んでいたコーヒーが来た。 彼女は美味しそうにコーヒーを口にする。 バードウェイからすると唯の泥にしか見えないのだが・・。 苦みを堪能してから再び彼女は甘味に手を回し始めた。 そして唐突に、 「で、あなたはどのような方法であの少年に 上手くお祝いと称して近づきますか?」 「お前は何も案が無いのか」 如何にも正論を口走るように、バードウェイは呆れながら返答した。 レッサーが言い出しっぺなのだから彼女が案を出すのが普通だろうと。 「私の案は少し強引ですけど・・?」 「・・一応聞こうか」 「先ほど言った通り、常に禁書目録が彼の近くにいる事から、 同じ様に胸が無いあなたを主戦力に考えたのですけど・・」 一々癪に障るようある台詞を強調してきた事に、 バードウェイも癇癪を起こしたかったが、 その件では手も足も出ないので耐えるしかなかった。 何故自分はこうも無力なのだろう・・。 「やはり誕生日ですからね。 際どい衣装に着替えて、 あなた自身をプレゼント・・と言うのはどうかと思ったんですが」 「・・き、際どいって例えば何だ?」 「(抵抗しないんですかボス・・?)」 「そりゃ勿論赤い紐だけで・・」 「受け取られないビジョンしか浮かんでこないぞ」 あの少年はそんなものがいきなり来たら、まず抵抗を見せるに違いない。 但しオティヌスも際どかったので、真っ向から拒否ではなく、 お前頭大丈夫・・?というノリの拒否だろうが。 [newpage] 「いやいや、男というのはギャップに弱いものですよ。 例えばそう・・原作の表紙で頭を踏みつけていたような人物が、 急に『お兄ちゃん・・今日は一緒に、ね?』とか迫れば キュンと来るのは間違いありません!」 「・・・」 「おやぁ?心当たりがあるような顔ですね?」 「お前・・ワザと言ってるだろ? 前半は否定しないが後半はありえないからな」 「そうっ!!そこですよ!!」 突如机を叩いて言葉に力が入るレッサー。 マークは驚いたがバードウェイはそこまで反応していなかった。 意味が分からんから続けろ、という事なのか手で先を促す。 レッサーの目の中は何故かキラキラ光っているように見え、 若干嫌な予感がしてきたのだが・・。 「あなたが可愛く擦り寄るなんて、 あの少年もあなた自身もありえないと思っているでしょう。 だからこそ良いんです。 正に彼にとっては、 『俺のバードウェイがこんなに可愛いわけが・・』って奴ですね」 「勝手に『俺の』扱いするな」 流石にバードウェイもレッサーの傾向に慣れてきたのか、 冷静に言葉を返すことに成功した。 とはいえバードウェイの案も傍からするとどうなの・・? と、思う事なのだが彼女自身もそこには無頓着のようだ。 「お前は何かしないのか? お前も逆に攻めてみるとかすればいいだろう」 提案にのったバードウェイではあるが、 レッサーが何もしないのは流石に不平等だ。 だからお前自身が何かする案はないのかと尋ねる。 どうせこのレッサーなら、 『う~ん・・その方面で今更攻めても彼は無頓着ですからねぇ・・』 とかで、まず難色を示すだろう。 そう返して来れば、まずは自分の案を固めてから人に案を出せと、 そう言いかえしたかったのだが・・。 「逆にという事はもう少し健全にですか・・。 でも今更そんなピュアになれますかねぇ・・ でも他人から言われるとやっぱりそれが適切かとも思えるんですよ」 おや?意外とレッサーも真剣に考えていたようだった。 それにしても今更ピュアで攻めるのが難しいとは、 悪魔が天使に鞍替えするようなものだろうか。 どうやら互いに似た性質を持っているらしい。 つまりレッサーとバードウェイは、現状上条には好ましくない性質。 だが簡単には変われない、という悩みを抱えていたのである。 いや、断じて自分は好かれたいなどとは思っては・・。 「・・・」 一瞬ある光景を考えて笑いそうになった自分がいる事に、 バードウェイはブンブンと頭を振って考えを払拭する。 [newpage] ----------- 「う~ん・・あまり良い案が纏まりませんね。 学園都市に行く時間と準備を考えると1日は失うとして、 3日も無いというのに・・」 本気で頭を悩ませ始めるレッサー。 実はバードウェイはこの件は立ち消えになってもいいか、と思っていた。 あの少年の手綱を握るのは、別にレッサーと一緒である必要もないのだ。 寧ろ彼女と一緒では余計迷走する気しかしない。 このまま彼女が諦めてくれた方がバードウェイも、落ち着いて事を運べるだろう。 さて、このまま唸らせてばかりも暇なので、 諦めさせる発言をしようと思ったのだが・・。 「!!・・何で忘れていたんでしょうか。 この手を使おうと今まで思わなかったなんて・・」 レッサーが何か思いついたようだが、 バードウェイとしては何だか雲行きが怪しいの一言である。 「私は今まで不自然に誘惑してきましたが・・そう! 不自然であからさまだったからダメなんですよ。 自然なら良いはずです」 「・・全く文脈が分からんぞ」 「つまりですね・・以前私達が彼の寝床に突撃した後 水着を買いに行ったじゃないですか? 彼は女子にプールとかに誘われた事は無いはずです。 つまり・・そういう路線で行けばいいんですよ」 「・・まぁ、季節も相まって自然ではあるな」 「でしょう?下着をチラつかせたら明らかに不自然ですが、 水着なら全く問題ないです!」 「(似たようなものだがな・・)」 ハァ・・とため息を吐くバードウェイ。 ようはレッサーはあの少年をバカンスか何かにでも誘おうと言うらしい。 方向性は間違ってもいない気がするが、 明らかにプレゼントという枠を超えている気もする・・。 「あぁ・・でも結構素で楽しみですね。 結社に入ってから、こんな娯楽に興じれるなんて・・ ロシアではひたすら寒かったですが、水際の嗜みもありですね」 うっとりと愉悦に浸るレッサー。 今彼女は自身の妄想に浸っているのだろう。 何かもう自分が楽しむだけになっている気もするのだが・・。 [newpage] アハハハ・・と水際を笑いながら走るレッサーと、 それに振り回される上条がバードウェイの脳内にはすぐに浮かんできた。 待てよ?この計画にはバードウェイもいるのだから・・。 その光景を思い浮かべる前に、バードウェイは考えるのを止めた。 そんなバードウェイに気づかずレッサーは、 うんうん、やはりこうして・・と呟き予定を立てたのか、 バードウェイに一方的な提案をしてきた。 「では・・彼と私とあなた用の 施設の入場券の購入に出資をお願いします」 「・・・」 バードウェイのイライラとは真逆に、 レッサーは笑顔のまま答える。 まさかこういう時の為に金を持っているであろう、 大組織のバードウェイを巻き込んだのだろうか? 「お前が考えたんだからお前が払え」 至極もっともな意見なのだが、マークとしては予想がついていた。 このレッサーと言う少女が我らがボスに、 何の考えも無しにこんな一方的な要求をするはずがない。 恐らくバードウェイの拒否の姿勢を崩す、予備案があるはずだ、と。 「おや?いいんですかぁ? 愛しのお兄ちゃんと楽しいプールに行けませんよぉ? それに元来、ああいう施設にはあなたの好きなノンアルコールカクテル、 があると思いますけど?」 レッサーの言葉の前半には全く反応しなかったが、 予想通り後半の言葉にはピクリと反応してしまったバードウェイ。 そう来たか・・と、マークは少々肩透かしをくらっていた。 結果的には我らがボスの懐柔に繋がったが・・。 その後もレッサーからの追い打ちは続いた。 暑い中での水際での極意云々を。 スイカ割やらアイスなどの冷たいスイーツ(?)から、 水を漂う感覚にビーチバレーにボート・・。 途中から海での出来事も混ざっているが、 最終的にはバードウェイもそれらの魅力に惹かれてしまった。 こうして見事レッサーのプレゼンは成功したので、 ここからは交渉ではなく実際に計画を立てる事が開始された。 そして当日・・。 [newpage] ----------- 7月28日 レッサーとバードウェイは久方ぶりの学園都市に来ていた。 ボスが空ける間の組織を任せ、雑務を全て押し付けてきたのである。 ところで学園都市に再びやってきたバードウェイだが、 第一声は、 「・・暑い」 であった。 これにはレッサーも少し呆れていた。 何せ彼女はこの夏場にも拘らず、殆ど肌を露出させない格好なのだ。 わざわざ長い黒タイツまで穿いて・・。 少しはスカートの下が直パンツの私を見習ってほしいものです、 と、ぼやいたのだが彼女は自身の格好を改めようとはしなかった。 「で、これからどうするんだ」 「寮に突撃に決まってるじゃないですか。 いなかったら探しに行くのもありですが・・」 レッサーの一言にバードウェイもウンザリしながら頷く。 暑いのに少しやられているのか、早く上条の寮で涼みたいのだろう。 実は内心、今ならしおらしいので彼も攻めやすいかもしれませんね、 と思っていたレッサーは、暑さにも負けず元気であった。 [newpage] 上条の寮に着いたもののどうやら不在の様だ。 一切誰も出ないという事は禁書目録もいないのだろう。 涼めないと知ったバードウェイのローテンションは相当であった。 相方が熱中症にでもなられたら困るのでレッサーは、 「そんなに落ち込まないでくださいよ。 探しに行くのも嫌でしょうし、ここは彼の家で待っていればいいんです。 安心してください、事前調査で彼は学園都市の外に出かける予定なんてありませんし」 レッサーはそう言いながら寮の扉をこじ開けた。 彼女の強引さに少し驚くバードウェイだったが、今はとにかく涼みたい。 そして上条不在の寮に足を踏み入れるが・・。 「困りましたねぇ・・まさか先客がいたとは」 「ど、どうも・・」 「確か、天草式の女だったか・・?」 レッサーとバードウェイは 既に上条の寮に潜んでいた五和と遭遇してしまった。 とはいえバードウェイには些細な事であった。 所詮天草式の人員がいようが、さしたる問題ではない。 ところがレッサーには違ったようで・・。 「何という事でしょう・・これではキャラが被ります!!」 「・・・」 と、いう彼女の論理の下、2人は五和と被らないやり方をするために 再び炎天下の下へと旅立った。 [newpage] ----------- 「普通にあそこで涼めばいいだろう!何故離脱した!?」 涼めなかったからかバードウェイの剣幕は凄かった。 但し威勢が良かったのは最初だけだったが。 「あそこにあのままいたらあの五和って人と被るんですよ。 分かりませんかねえ・・。 そうやってキャラ的に被ったら、 この戦いは負けみたいなものですよ?」 レッサーの論はともかくこれからどうするつもりなのか。 バードウェイは再びダレた状態で方針を尋ねる。 とはいえ何をするにしてもバードウェイはまず休憩を提案するが。 「こうなったら・・あの少年を探しましょう!」 相も変わらず元気なレッサー。 つくづく問いたい。 お前の元気の源は一体どこから来るんだと。 と、ここでセクハラ発言多々のレッサーからして バードウェイには暑さ対策が思いついたが・・。 「お前・・もしかして下に何も穿いてないから涼しくて元気なのか?」 と、つい聞いてしまったが 矛先は逆にバードウェイに来てしまった。 「はぁ・・?言っておきますがね、私は上も下もちゃんと穿いてますよ? スポーツブラなんかしてるから暑いんじゃないんですか? 私はあなたと違って布地がまともな幅の物着用してますからね」 その発言には断じて許さん!と思ったバードウェイだったが、 レッサーが一時的に涼む場所を提示するとバードウェイも少し大人しくなった。 [newpage] ファミレスで涼んで30分も経った頃、 窓ガラスにあのツンツン頭の少年が視界に入った。 あの頭に該当する人物はそういないのでほぼ間違いようがないのだ。 お目当ての彼に照準を当てると、ツインテールの少女と何やら話しているのが見えた。 「あの野郎・・成程。 あいつは今日も絶賛いつものあいつ、という事か」 涼しくなったからなのか毒づきに力がこもるバードウェイ。 口元が若干ヒクヒクしている。 そんな彼女の豹変ぶりに感心しながらも、 外のツインテールの少女にはあまり意を介さないレッサー。 そう思って踏みとどまると、 「・・逆にお前のその淡白な反応は、 明らかに本当はあいつの事を思っていないように見えるが?」 「これは大人の余裕ってやつですよ。 そもそも彼女、胸のサイズはあなた以下ですが、 どうもそういう類の関係でもないようです、おや?見知った顔ですね」 本当に余裕を持っているように堂々と言ってのけたレッサーだが、 途中から少し表情が変わる。 またもレッサーの言葉に反応しそうになるが、 バードウェイも再び外を見た。 「ん?あいつは確か、『船の墓場』の時にもいたな」 何やら不穏な空気が外では漂っていた。 レッサーとバードウェイはいつの間にか釘付けになっている。 すると・・。 バヂッ!! という音と閃光が炸裂したかと思うと、ツインテールの少女が真っ黒焦げになっていた。 「「・・・」」 その後見知った短めの茶髪の少女が、 黒焦げの少女を引きずって行く。 ツンツン頭の少年はくわばらくわばら・・といった顔つきでその場を離れていった。 「何だかよく分からんが・・追うぞ!」 「愚問ですね」 しかしその前に彼女達の前に会計、という障害が立ちはだかった。 特にバードウェイが頼んだ品の数々は、 とても30分で食べ切れたのが不思議な量であった。 [newpage] ----------- 「全く・・せっかく見つけたのに あなたの分の会計で遅れたじゃないですか」 「黙れ、元はと言えばお前が再び炎天下の下に 私を晒したのがいけないんだろうが」 ブツブツと互いに悪態をつきながらも彼女達は上条を追う。 そして再びツンツン頭の少年を見つけたが・・。 「やりますねぇ・・」 「クソ・・何てデカさだ!」 2人が目にしたのは上条と話していた2人の少女である。 巫女服の似合いそうな少女と、おでこ全開が似合いそうな活発な少女。 そして特に後者の少女は、とにかくデカかった。 「・・おい、お前は敗北感を感じないのか?」 バードウェイは少し泣きそうになりながら呻く。 が、やはりレッサーは顔色1つ変えていなかった。 寧ろ感心していたり何かに納得しているようだった。 「あぁ・・御安心ください。 別に私は胸のサイズは些細な問題と思ってますので。 そもそもあの大きさは邪魔でしかない上に、後々後悔しますよ・・。 それにあの少女はさっきの黒焦げの少女と同じです。 彼に特に思いを寄せてるようには思えません。 これが大人の余裕ってやつですよ」ドヤ 正直な所今少しだけレッサーが頼もしく思えたのは、 バードウェイには驚きであった。 何とメンタルの強い少女だろう。 この少女がいればもしかしたら何事もいけるのではないか? 多分1人だったらこの行き場のないイライラを、 何かを破壊していたか、あのツンツン頭にぶつけて発散するしかなかっただろう。 するとあの少年が何かを受け取ると、盛大に走って行ってしまった。 先程よりも荒っぽい事にはなっていなかったようなので、 走って逃げるとは2人とも考えもしなかった。 少し落ち込んでいたバードウェイを、レッサーが手を掴んで無理やり 引っ張る形で2人はまたも追跡を開始した。 [newpage] ----------- 「だから・・言ってるじゃないですか! 他の方と同時ではいけないんですよ。 そもそも今突撃すれば天草式の方にインパクトで負けます」 ようやく上条が寮に入ったのでバードウェイは普通に突撃しようとしたのだが、 レッサーに再び止められ先の発言である。 バードウェイとしてはもう炎天下の下にいつまでもいるのは御免なのだが・・。 そんなレッサーの発言のせいか、 2人は何故か張り込みをすることになっていた。 ようは上条が五和と寮内で会い、彼女との事が終わるまで待とう。 と、言うのがレッサーの案だった。 バードウェイとしては面倒だ、の一言だったのだが、 言い争いが発展する前にレッサーがこう切り出してきた。 「他の勢力も見れるかもしれませんよ?」 この一言でバードウェイも踏みとどまってしまった。 一体どれだけの人間があの少年にお祝いをしに来るのだろう。 あの少年は自分などよりも遥かに凄い事をやってきた。 それでも未だにステータス的には普通の高校生。 一組織のボスである自分とは天と地の差がある。 にも関わらず、どうして彼はこんなにもまぶしい日常を送っているのだろうか・・。 既にあの天草式の聖人があの少年の寮に向かうところを見た。 あの有名なイギリス清教の聖人にまで祝われるとは、 唯の高校生にしてはおかしいスペックである。 もっともレッサーからすると、あの方は初心過ぎて テクも何も持ってませんから敵でもないですね、との事。 [newpage] どうやらレッサー曰くあの聖人は大した事が無いようだが・・。 本日発、レッサーが難色を示した2人の少女がやってきた。 「・・・強敵かもしれません」 あのレッサーが反応した少女達。 1人は黒髪で少し張りつめた表情の少女。 もう1人は周りが輝いているかのような少女だった。 2人は対称的であったが、仲は良さそうだ。 姉妹と言うには似ていないが・・。 どのような関係なのかはバードウェイも知る由は無いが、 1番の論点はそこでは無い。 「ど、どう強敵なんだ?胸部の問題ではないだろう?」 「これは勘ですけど・・あの桃色の髪の方。 あれは明らかにあの少年と相性が良いですね。 彼が力を貸す事を惜しまない存在です・・。 ああ、なまじ力を持つ者の業と言うのはこういうとこで嫌になります」 レッサーの説明でバードウェイが気になったのは、 力を持つ云々の部分だ。 バードウェイも並々ならぬ魔術の力と実力を有する。 それが最大の障壁なのだろうか・・。 レッサーは何やらメモを取り始めると、暫く考え込んでしまった。 現状レッサーに頼り切り状態のバードウェイは、 レッサーの思考行為を止める事は出来なかった。 暑さで頭が回らないのもそうだが、こういう方面に疎いのも認めざる得ないのである。 [newpage] ----------- ようやく上条が再び寮から出てきた時には、 レッサーの思考も終わっていたのだが、五和も同時に出てきており、 2人としては寮の中で何が起きたのか皆目見当がつかなかった。 その少し前にあの聖人が飛び出して言った事も気になったが・・。 1つ分かったのは、あの少年は禁書目録を探しに街に出ていたということ。 どうやらそれが続行されるようで、天草式の少女とも別れたようだ。 ではいざ!と意気込んだ2人であったが、思わぬ妨害が入ってきた。 まずはバードウェイに着信。 「あの・・ボス、パトリシア様が遊びに来たと言ってるんですが」 そして、レッサーにも。 「もしもしレッサー!?あんた何処ほっつき歩いてんの!? ここ数日全く連絡してこないし・・ランシスに何言ったのよ!? まさか・・ロシアの時みたいにあの日本人が関わってんのかしら?(怒)」 「「・・・」」 2人同時に無言になるがこれはすぐに解決しないと々面倒だろう。 特にバードウェイの件は、 妹を魔術から切り離しているという制約が壊れかねないのだ。 2人とも上手く誤魔化して乗り切らなくては、あの少年のお祝いどころではない。 そんなわけで再びファミレスで涼を満喫しながら、 自身の問題に対応する2人。 結局2時間は消費してしまった。 「クソ・・何だってあのタイミングで」 「あぁ~もぅ、フロリスをここまで恨めしく思ったのは・・ あ、つい数日前にもありましたっけ」 2人は涼しい店内にも拘らず少々ぐったりしていた。 今日は完全にオフで、バカンス気分だったのだから無理もない。 但しここで凄いのがレッサーの予備案で・・。 「しかしまぁ、念のため実際に行く日を 今日に限定しなくて良かったですね。 今日のみにしたら完全にアウトでしたよ」 「私は金を無駄に使った気もするが・・ 想定外のトラブルへの対策はしっかりしていたと言うべきか」 何としても誘うのは今日だ。 但し数日後に出かけるのだって構わない。 何故なら何らかの理由で今日出かけるのが無理になるかもしれませんよ? と、レッサーが言って、発行した券の有効期限を7月28日だけに絞らなかったのだ。 気を取り直して彼女達は再びあの少年を探しに街に出た。 [newpage] ----------- 「あれは強敵かもしれません」 「またか・・」 長い金髪の少女があの少年と会話しているのを見て、 レッサーが発した言葉だ。 バードウェイも少し苦い顔で受け答えした。 レッサー曰く、あの金髪少女は一見よめない行動ばかりだが、 その実確実に歩を進めるだろうという事だった。 バードウェイからしたら、 金髪という点であの魔神に共通するな、と言えるくらいだったが。 その後も何人かがツンツン頭の少年に何かしら渡して行ったが、 カエル顔の人物との会話が終わると、 上条は自身の寮の方向に向かって行った。 「どうやらご帰宅ですね」 「よ、ようやくか・・」 張り込みなど基本下っ端に押し付けていたので、 こうも疲れるとはバードウェイは微塵も考えていなかった。 対して結社予備軍という事で、 どんな下仕事でもやってきていたレッサーは未だに元気であった。 「全く・・もう陽の勢いも弱くなってるんですから、 いつまでも萎れないでくださいよ。 休憩だって何回も挟んだと言うのに」 「こんな慣れていない事をやらされたら誰だって疲れるだろうが・・」 「まあ安心してください。 そんな萎えてるあなたでも、 あの少年に責める手段はありますからね。 寧ろその状態の方が彼も構ってくれるかもしれませんよ」 「おい、まさか今日散々出し惜しみをしたのは・・」 「無論です、抜かりはありませんよ」 ニヤリと笑みを浮かべるレッサー。 今までずっと、誰々がいるからとか、キャラが被る云々は バードウェイを弱らせるためだったのだ。 その言い訳を続ける事で暑い中を引きずり回し、 いつもの強気なバードウェイを全面に出さないようにしたのである。 全く、一方的に頼りになると思っていた自分がバカみたいだ。 してやられたのでいつものバードウェイなら仕返しをするだろうが、 今はそんな気も起きない。 [newpage] そしてようやく上条の寮から天草式の五和が出てきた。 するとレッサーは躊躇いなく彼女に接触をしに行く。 あまりにも自然だったので、バードウェイも戸惑った。 どうやら魔術側の人物なら特に問題ないと思ったのか。 それとも渡し終わった人物とは接触しても問題ないという事だろうか。 「やあやあ、どうも」 「あ・・レッサーさん?」 「今彼の寮には誰か来てますか?」 「私の知る限りではインデックスさんと、あの魔神の方くらいかと」 「情報提供感謝します」 「お2人も上条さんに?」 「そんなとこですかね、私達の事は話しました?」 「いえ・・すっかり忘れてました」 「上出来ですね、それでは」 五和と言葉を交わすと、レッサーはバードウェイを引っ張り上条の寮に向かう。 ぐったりしているバードウェイと、五和の視線が合った。 何かを察したのか五和の表情は苦笑いしており、 同情してるんじゃない、という意味で睨みたかったバードウェイである。 五和の生暖かい視線と、レッサーの強引な引率に挟まれ、 バードウェイは上条の寮に近づいて行く。 再びレッサーが寮の扉をこじ開けると、何故か忍び足で中に進んでいく。 余裕のないバードウェイだが、 苦言を申す事も出来そうにないので深くは考えなかった。 [newpage] 居間に着くと少年が禁書目録に膝枕をされて寝ていた。 小さな魔神もお休み状態である。 「私が汗水垂らして苦労していたのに・・・ ようやくその苦労が浮かばれると思ったらこいつは安らかに寝ているだと!? どういうことだっ!!」 遂に琴線の限界が来たのか喚いたバードウェイ。 但しレッサーは彼女を無視して、少年の足を引っ張り 禁書目録の膝枕から解放した。 この少年も疲れているのか未だに寝ている。 レッサーは深呼吸すると、 「ではどうぞ、寝ている愛しのお兄ちゃんに おねだりしちゃってください」 あっさりとバードウェイに誘うという重大な役目を命じてきた。 相変わらずいつもの力が出ないバードウェイだが、 今日の全てはこの時のためだ。 やるしかない。 まずは1発・・。 ペチ と、少年の頬を叩くが熟睡している人間に、 弱ってる人間の手のひらなど大して効果は無かった。 ペチ・・バシッベシッ! [newpage] 何度か強いのが入り、ようやく少年も薄く目を覚ます。 モゾモゾと動こうとするが、バードウェイが馬乗り状態なので殆ど動かない。 それを何度か繰り返すと妙だと思ったのか、 あくびをしながら上体を起こした。 「ふぁ・・どうかしたか?インデック、ス? ん・・バードウェイ!?」 ようやく上条当麻という少年がバードウェイを認識した。 続けてレッサーにも気づく。 上条が何か言う前にレッサーが、 「とりあえずその方のお願いを聞いてあげてくれます?」 という発言をした。 「は?」 全く状況を理解していない上条。 とはいえ彼の頭の中には以前の事がフラッシュバックされた。 唯その時との違いは彼女達2人のテンションが真逆という事だ。 よく見るとバードウェイの顔が少しおかしい。 何というか・・いつもの彼女ではなかった。 「・・むから」 「な、何だよバードウェイ」 「頼むから・・私達とプールに・・行ってくれ」 「え?どうしたのお前・・」 「何だよ・・そんなに私のお願いは聞けないのかよ!! あの時も私の願いを断りやがって!!うわぁぁぁん!!」 「えぇーー!?」 普段の強気な彼女は何処へやら・・。 上条の胸部をポカポカ殴るが全く痛くない。 豹変したバードウェイに困っている上条にレッサーが、 「少しだけ話し合いは良いですかね」 バードウェイの様子を見てから、上条はレッサーに インデックスとオティヌスをベッドに運んでくれないかと頼むと、 レッサーは2人を起こさないようベッドに運んだ。 上条はバードウェイを宥めながら机の前に座り、 レッサーの話を聞くことにした。 [newpage] ----------- 「・・と、まあこういうわけです」 「お前がバードウェイをここまで弱らせるとはなぁ」 レッサーが今日1日の事を大まかに話し終え、上条は嘆息する。 因みに未だバードウェイは上条にすり寄ったままだ。 可愛げのある少女と言えるが、後の事を考えるとあまり軽率な事は出来ない。 上条自体は全くバードウェイに触れていなかった。 「どうですか、弱々しい彼女は? 結構可愛いでしょ?普段は組織のトップですから、 こういう事が出来ないんじゃないかと思いまして、一芝居打ったわけですよ」 「芝居じゃなくて本気で楽しんでたんじゃねえの?」 上条のツッコミに、テヘペロするレッサー。 ハァー・・とため息を吐く上条。 こうまでしないと確かにバードウェイは弱気にならないだろうし、 少し保護欲が湧いてしまったのも事実だ。 しかし1日という単位を使ってそれを実行したレッサーには、 正直な所称賛の拍手を送りたい。 「で、結局私達からのプレゼントは受け取ってくれるんですよね?」 「プレゼントなのこれ」 「女の子がプールに一緒に行こうって誘ってるんですよ? どう考えてもプレゼントでしょう?」 確かにそんな事に誘われた事は無いし、嬉しい限りではある。 但し不安な事がある。 これで断るならあなたの嫌いな強引な手段に訴える事になりますが・・」 「・・分かったよ、バードウェイにも悪いし」 「私を忘れないで欲しいですね」 「分かりましたよ、レッサーと行けて楽しみだなー」 「・・まあいいでしょう」 バードウェイは使い物にならないので、 何処の施設に行くのか、いつ行くのかなどはレッサーが上条と直接交渉した。 何をする予定なのかは勿論、上条がしたい事などもまとめていく。 学園都市の外に行くのだが、その辺りは魔術師にはあって無いような壁だ。 一通りの説明を受けて上条は、 「にしても、外にはそんなとこがあるのか」 と呟く。 [newpage] 「本来は海水浴場なんでしょうけど、 プールまでわざわざ作ってあるんですから豪華ですよね。 探すのと予約には一苦労でしたが・・」 まあ予約のお金はそこの方の組織のを使わせてもらいましたけどね、 と、レッサーが笑いながら言うと、上条は少し嫌な予感がした。 後でバードウェイからしっぺ返し受けるんじゃないの?と。 そんな上条の懸念をよそにレッサーは気楽に言ってのけた。 「ハァ~・・ここ数日の苦労がようやく実りましたよ。 ここ数日の苦労とやらは上条に知りようがないが、 今気づくが割と年相応の喜び方をしていた。 レッサーも案外、バードウェイと同様に疲れているのだろうか。 すると突然レッサーがこんな事を言い出してきた。 「そういえば・・ずっとあなたに聞きたかったのですけど」 「何だよ改まって」 「今日私は結構真面目にあなたに接していますが、 ロシアの時よりは好感持てますか?」 「お前はズバッと聞くなぁ・・」 「いやぁ、どこかの言いたい事もいつまでも言えない人とは違うので」 「・・・まあ、接しやすいと言えば接しやすいけど」 言葉には出さないものの相変わらずインデックスや、 オティヌスのように気楽に接するのは難しいのがレッサーだ。 どうしたって何か考えてるだろ・・という考えが先行してしまうのだ。 「ですか・・じゃあこれからは真面目路線で行きましょうかね。 あ、もう1点聞きたい事があるんですけど」 [newpage] 「そんな簡単に割り切れるものか? しかも路線て自分の振る舞いとかだろ・・で、何?」 「あなたは胸の大きいこと小さい子、 どっちが好きなんです?」 「真面目路線どうした」 「勘違いしてもらっちゃ困りますね。 これは女の人に背が高い男と低い人どっちが好きかとか、 そういう身体的な好みを聞いてるだけです。 ほら、筋肉質が好きとか色々あるでしょ」 言われてみればそうとも言えるが・・。 そういうのは同性同士でひっそり語るのが常ではないだろうか。 青ピや土御門とよくその手の会話はするが、 如何にレッサーとは言え異性とその類の会話はしたくない。 打たれ強いと言うのか、はたまた何か企んでいるからこそ、なのか。 実は偶然だが上条もバードウェイと同じ事を思ってしまった。 何てメンタルが強いんだ、と。 「で、どうなんですか?質問には答えてくださいよ」 「仮に答えたらどうするつもりだ」 「大きい方と答えたら私が嫁に、 小さい方と答えたらあなたの隣の方に嫁になってもらい、 どちらにせよイギリスに来るという事で」 「最悪じゃねえか」 「冗談です。 ところで逃げ続けるのは男らしくないと思うんですが・・ やはり禁書目録や魔神が身近にいる事からして・・小さい方ですか」 「い、いや・・」 「はっは~ん・・では大きい方ですねっ!?」キラキラ 「何で凄ぇ目キラキラさせてんのお前!? ぎゃ、逆だよ!好きになったやつの胸の大きさなんてどっちでもいいんだよ!」 [newpage] 「成程そういうことですか」 大きく頷くレッサー。 漸く質問攻めが終わると思った上条だが、 まだまだレッサーのターンのようで・・。 う~ん、と悩んでいた状態から一転。 電球がパッと点いた時のように何か閃いた彼女は、 「つまり小さい相手なら自分の好きな大きさに出来ると。 そういうことですか」 「何でそう曲解するんだよ!!そもそも胸だけで決めねえよ」 「ははぁ・・あなたなりにいろいろ考えてるんですね。 御見それしました」 絶対バカにしている! そう思った上条は今回のプレゼント、 初の拒否にしてやろうと思ったがバードウェイの事を考え止めた。 お金はバードウェイが出しているのだから、無下にも出来ない。 ふと横を見るとバードウェイは既に眠っていた。 レッサーの試練が堪えたのだろう。 ふと上条にも少し聞きたい事が出来た。 さっきの仕返しだ。 「俺もレッサーに聞きたい事があるんだけど」 「何ですか?お気に入りの下着の色くらいならいいですけど、 スリーサイズはタダという訳にはいきませんね」 「お前真面目路線守る気ないだろ・・いや、そうじゃなくて。 お前ってどういう異性が好きなんだ?」 さっきまで散々上条をからかってきたのだ。 レッサーみたいな奴は逆に責められると案外・・ というのが上条の考えだ。 ところが・・。 「そうですね・・少なくとも背は高いのが好きです。 髪型はまともで、知的な人。 あとは財力があるってのも必須です。 あれ~?いずれもあなたとマッチしませんねぇ」 何だか上条のコンプレックスを言われているようで、 結局上条が少し沈む羽目になってしまった。 別にレッサーに嫌われてもさしたる問題ではないはずだが、 それでもこうも色々言われると、やはり来るものがある。 少し落ち込む上条だが、あれ?じゃあお前全然俺の事好きじゃないじゃん。 そう言おうと思ったのだが・・。 「でも不思議ですね・・あなただけは気になってしまうようです」 上条の目を真っ直ぐ見ながら、少し困った表情でレッサーは言い切った。 少なからず動揺してしまった自分が恥ずかしい。 いや落ち着け・・いつものレッサーの魔術に決まっている!! 上条は一旦目を瞑り精神を落ち着かせる。 そしてふとボロが出るように何か会話を続けようとしたが、 「・・・」 ネジが切れたようにレッサーは眠ってしまっていた。 結局聞こうと思った事は聞けずじまいである。 無理矢理起こしておいてそっちは寝るのかよと思うのだが、 明日もあるかと思い上条もそのまま寝る事にした。 [newpage] ----------- 深夜 モゾリと1つの人の影が動き出した。 勿論レッサーだ。 「(フフフ・・甘い、甘いですよ上条さん。 私の苦労は券の予約とかじゃあありません。 バードウェイの弱点を探る事でも、その扱い方を覚える事でもなく・・)」 「(1度寝ても数時間で起きる訓練です!!)」 心の中で大きく宣言すると、 レッサーはノソノソと寝ている上条に近づく。 無理矢理起こされた後のせいか相変わらず熟睡しているようだ。 「(エヘヘ・・さて、私のファーストキスをここでプレゼントして・・ これで後々色々な所で使えるタネになります。 この少年は1度くっついたら離れるのは・・とか考えているでしょうからね。 ファーストの相手となれば忘れられないはずです)」 彼の誕生日と称してプレゼントというのもありでしたが、 ついでに正式な関係も築きあげちゃいましょう! と、言うのが彼女の真の狙いだったようだ。 寝息がすぅすぅと聞こえる。 勿論上条以外からもだ。 これなら問題ない。 「(出来れば互いに目を覚ましてる状態が良かったんですが、 この方とでは色々と邪魔が入りそうですからね・・)」 では!と、レッサーが上条の顔に近づくと・・。 「おい、夜中に何をしようとしている」 ハッと気づいたレッサー。 今日初の彼女の失敗だった。 禁書目録も上条も、 隣で寝ているバードウェイも勿論熟睡していた。 だがしかし、もう1人この部屋にはいたのだ。 [newpage] 「私の前に魔神が立ちはだかるとは・・迂闊でした」 「フン・・そう簡単にあいつのファーストを奪わせはしないぞ」 「小さいくせに何を仰るのやら・・あなたじゃ私を止められませんよ」 「この暗い中・・私を見つけられるかな?」 ギクリとレッサーは気づく。 明かりを付ければ全員が起きる可能性があるだろう。 だがこのままでは小さなオティヌスの発見と対処は難しい。 現に今でも声しか聞こえないのだ。 「不遜な事をしようとした輩はこうしてくれる」 そう言うとオティヌスが何か取り出したのか、シュイン・・ と音がした。 レッサーがぞっとすると小さな魔神はこう言ってきた。 「昼間私はあいつに針灸をやったが、 こうも暗いと何処に刺さるか分からんな・・」 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア・・!! という断末魔と共にレッサーは大慌てで明かりを点けた。 当然ながら明かりと大声で何人かが目を覚まし、 レッサーは自身の目的を果たす事は出来なかった。 その後世にも珍しい、 泣きじゃくって上条にすり寄るレッサーがいたという・・。 end.

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[B! あやめ速報] バードウェイ「性欲処理をしてやろう」ニヤリ : あやめ速報

と ある バード ウェイ

『上条当麻セカンドバースデー企画』 上条当麻にプレゼントする小悪魔とボス編 某日まで5日 「おい、どういうつもりだ?」 イライラとした口調で声を発したのは、 12歳前後の金髪の少女だ。 ここはイギリス東部の小さな町。 実はこの少女、イギリスではあまり派手な動きを好んでいない。 もしそうすればイギリス清教に睨まれるからだ。 とはいえ多少の追手は彼女には苦でもないのだが、 とにかく彼女からすると、ロンドンから離れているのは多少ありがたかったりする。 だから呼ばれて話し合いを設けられた場所がここなのはいい。 魔術とは無縁の喫茶店なので、彼女もある程度は気が楽である。 しかし、問題は呼び出してきた相手の方だ。 彼としては少し不安だった。 無論諍いのあるイギリス清教などとの話し合いよりは緊張はないが、 今回の相手は別の意味で不安だった。 だからこそこの会合には賛成しかねたが、 ボスの有無を言わさない判断には抵抗しようがない。 ただ、そのバードウェイも渋々・・といった雰囲気を滲ませていたのだが。 「いいから要件を話せ」 「急ぐと嫌われるのは男女共に・・なんですが、 当日まで時間もそうあるわけでもなし。 本題に入りますかね」 あの魔術結社、 『明け色の陽射し』のボスを目の前に物怖じしないので、 相当な大物と思われるかもしれないが、バードウェイは溜息を吐く。 いつから私はコイツと仲良くなったんだ?と。 勝手に同等に見られているのは悩みの種だった。 だからと言って、積極的に潰す相手と見れるかというと否定出来るだろう。 なんせ相手は魔術結社の一員ですらないのだ。 ようは相手にするまでもない人物である。 子供と大人みたいなものだろうが、それでも相手にしてしまうのは何故だろう? 「実はですね・・あと5日でどうやら、彼の特別な日のようですよ」 結社のボスを堂々と呼び出した黒髪の少女、 魔術結社予備軍の一員であるレッサーはそう答えた。 [newpage] -------- 「彼・・?」 訝しげにバードウェイが聞き返す。 「あなたにとっての愛しのお兄ちゃんに決まってるじゃないですか」 「あぁん?」 更にイラついたように答えるバードウェイ。 やれやれ、素直じゃありませんねぇ・・と嘆息するレッサー。 そして彼女は即名前を出した。 「上条当麻、ですよ」 「特別な日、というのが分からないが」 「ほほぅ・・愛しのお兄ちゃんについては否定しないんですね?」 「お前・・灰にしてやろうか?」(怒) 遂に沸点に来たのかバードウェイは杖を取り出す。 対してレッサーは割と余裕そうだった。 バードウェイから杖を向けられるなど、 普通の魔術師なら足がすくんでしまう事だろう。 にも関わらずこの少女の余裕は一体何だ? マークは怪訝に思った。 「沸点が低いのはよくありませんよ?大人の女性には程遠くなってしまいますし、 何よりあの少年はそういうのに特に敏感ですからね」 彼女はそう言うとおもちゃの水鉄砲を取り出した。 但し中には得体のしれない緑色の液体が入っている。 まさか、毒だろうか・・? 「一々あいつを引き合いに出すな。 そもそも以前の寝床に突撃の件で、お前は私に馴れ馴れしすぎるぞ」 「おや、あの件で結構お楽しみだったのは誰でしたっけ? 私は眠かったのであまり覚えてませんが、私でないとすると・・あなたしかいませんね」 「・・・」ギリ 凶悪な笑みを浮かべるバードウェイに、 マークはこの少女も終わりかなと思ったが、 「仕方ありません、少し落ち着いてもらいましょうか?」 そう言うと水鉄砲を1回発射してきた。 いきなりの事だが、バードウェイも伊達に1結社のボスをやっていない。 避けるのは容易だった。 てっきり毒と思い、避けた後にいよいよこの女に制裁してやろう、 そう思ったバードウェイだが、そうもいかなかった。 原因は明らかで、レッサーが発射したあの緑の液体である。 実は避けるまでも無くその液体は机の上に付着しただけで、 バードウェイには掠りもしていなかった。 但し一般の類の毒ではなく・・。 「ん・・?にゃ、にゃんだこれ!?」 バードウェイが鼻を抑えた。 あの液体が臭ったのである。 それも、ツーンとした匂い。 人によっては問題ないが、 ある物が苦手なバードウェイにはつらい臭いでしかない。 あまりにもキツイのでバードウェイは杖を落としてしまった。 レッサーはニヤリと笑うとこう答えた。 「いや~、あの少年はあなたの妹さんから聞いたようですが、 本当に辛い物苦手なんですね。 ボスの弱点がこの少女に知られていた事に絶句し、 大したものではない、つまり毒でもなんでもないもので安堵したのである。 そして更に思った。 この魔術少女、そう危険でもないなと。 ボスとこの少女のやり取りは、子供の戯れだなーと。 彼は少し冷めた視点でボスの大騒ぎを眺める事にした。 [newpage] ----------- バードウェイが落ち着くまで少しだけ時間が掛かった。 何しろ本場のワサビを擦りおろし液体にしたのだから、苦手な人には本当につらいのである。 珍しいボスの泣き顔を宥めたのはいつ以来だろうか。 「で・・上条当麻の何の、ヒッ・・日だって?」 プクク・・と笑いを堪えながらレッサーは水鉄砲を引込めた。 マークも実は少し笑っていたのは内緒である。 「これを見れば即分かるのですが、 どうやら7月28日は彼の第2の誕生日、らしいですよ」 彼女は自身の携帯の画面を見せながら答えた。 とはいえ、この辛さ攻めの連続では話が進まない。 先程も言ったが時間の猶予はそうないのである。 「どうして誕生日が2回もあるのかなど些細な事ですよ。 重要なのは2つ。 1つはこれが確実な情報である、という事です。 何せ学園都市のみでなく、世界のあちこちに知れ渡ってる事ですよ。 私もイギリス清教の細い伝手で知ったのですけどね。 で、もう1点がこの情報で既にイギリス清教の人物が行動しているという事です。 ようはあの少年にお祝いを・・と言う人々が、 学園都市からの情報で行動しているんです」 バードウェイは無言で聞いていたが1つの推測が付いた。 無言で、とは言うものの実際は何も言えなかったのだが・・。 彼女は5杯目の水を口に含むと、思いついた懸念事項を口にした。 「つまり、学園都市の一言。 あいつの情報程度で魔術サイドも動くようになったという訳か。 イギリス清教もお笑いものだな、科学側に影響を受け過ぎている」 第3次世界大戦でイギリスと学園都市は共同戦線を張ったと言われているが、 それがここまで尾を引くとは・・。 いよいよ学園都市の動きを少し抑制する必要があるな。 そう思ったバードウェイだが・・。 「は?」 レッサーの目は正に点状態である。 「何でそんな裏まで推測してんですか? ここは、私達も動かないとあの少年に完全に忘れ去られるって事ですよ!! 全く、これだから結社の上でふんぞり返ってる人はダメなんですよ。 どうして物事をシンプルに受け止められないんですかね・・」 一瞬バランスを崩し椅子から落ちそうになったバードウェイだが、 折よくマークに支えられた。 彼女は口元をヒクヒクさせながら体勢を整えると、 疑うような口調で聞いてきた。 「すると何か・・?お前はあいつのお祝いに、 それに巻き込むためにわざわざ呼んだのか?この私を・・?」 キョトンとしたレッサーはあっさりと切り返してきた。 「それ以外何かあるんですか?」 割と即答だったのでバードウェイは開いた口が閉まらなかった。 [newpage] ああでもないこうでもないと頭を悩ませる素振りをすると、 バードウェイは再び尋ねる事にした。 下手に話の流れをおかしくすると、再び悲惨な目に遭いそうだからだ。 「・・お前1人でやればいいだろう。 何故私を誘う?」 バードウェイの最もな疑問はそこだった。 別にレッサーは天涯孤独ではない。 結社予備軍に所属していて仲間が3人いたはずだ。 それにイギリス清教に多少の繋がりがあるなら、 それと一緒にやればいいのではないか? バードウェイとしては上条という少年のお祝いなど、 寝耳に水の情報だし殆どどうでも良い事である。 何故わざわざバードウェイに声をかけてきたのだろうか? まさかこれに付け込んでこちらの結社に介入するつもりだろうか? 彼女の疑問の答えはあっさりと返ってきた。 「いや~、実は私の仲間にも声をかけたんですけど、 ベイロープは無関心、フロリスは彼を恨んでまして、 ランシスには断られたんですよね」 「・・・」 もしバードウェイが眼鏡をかけていたら、 正に眼鏡がズリ落ちた、という表現が出来ただろうか・・。 このレッサーという少女、仲間全員から協力を断られたらしい。 仲間でさえこれなのだから、 イギリス清教との共同などもってのほかだったのかもしれない。 それで上条の寝床にかつて一緒に突撃した、 バードウェイを誘ってきたという事か。 少々呆れたバードウェイだったが、逆に度胸あるなとも思えてしまっていた。 通常こんな事案に友達感覚でバードウェイを誘うなど、まずあり得ない人選だろう。 しかし彼女の答えは決まっていた。 「ハー・・理由とかもうどうでもよくなった。 面倒だ、1人で勝手にやれ」 もっと悪い事態、つまり結社規模の事かと思えば、 蓋を開けてみれば大した事ではなかった、というやつである。 祝いたいなら1人でやれと。 「冷たいですねぇ、せっかく彼は貧乳にしか反応しないかもしれないのに・・」 レッサーの一言にバードウェイの耳がピクリと反応する。 聞き捨てならない言葉だ。 「いや~、ランシスを誘ったのも実は私より胸が小さいからだったんですよ。 そしたら滅茶苦茶怒られましてね・・私が知る無い胸の子、 と言ったらあなたくらいなんですが・・」 「おい・・どういう意味だ?」 再び脳の血管がビキビキと唸り、沸点を迎えそうになったが、 まだ一縷の望みを考えゴールテープは切らなかった。 言葉にしてしまえば、この『明け色の陽射し』のボスが負けを認める事になるのだ・・! 「単純な話ですよ。 彼は私の身体にはあまり反応してくれなくてですね。 で、近くの人物、つまり禁書目録なんかそうですけど、 胸が無い方が好きみたいでしてねぇ、ですから、 そういう子をプレゼントする代わりに 彼にはイギリスの為に粉骨砕身してもらうように・・」 「お前は・・この私をプレゼント扱いするつもりだったのか!! それに・・!私は・・!!」 グッっと堪えるバードウェイ。 目の前の黒髪の少女は、年は自分とそう変わらないのに、 大層立派な山となっているのが服の上からでも分かる。 大して自分は・・全身を震わせながらバードウェイは皆まで言えなかった。 「おや、何ですか?ま・さ・か・・。 この私よりも立派な物を持っているとでも言いたいのですか? 確かブラも必要としてないのでは・・?」 「・・!・・っ!!」 ガンガンと机を叩くバードウェイ。 そんな事まで話したのですかパトリシア様? いや、あの時例の少年と私が知ったのが原因か。 と、マークはボスの筒抜けのプライベートを嘆いた。 バードウェイのライフはまだ0ではないが、 レッサーに比べて明らかに疲弊状態であった。 こんなに疲れた彼女も珍しい。 [newpage] ----------- 「で、どうします?あの少年の寝床に突撃した時は、 私も眠くて本領とはいきませんでしたし、 『船の墓場』の件もあってゴタゴタしましたからねぇ。 上手くいけばあなたの傍に愛しのお兄ちゃんがいることになりますよ?」 「その言い方いい加減止めろ・・」 遂に皆まで言われ敗北状態のボロ雑巾、 とまでは言わないが、脱力中のバードウェイ。 もはや強気で言い返す気力もないようだ。 流石の彼女も胸の大きさでは勝てないのである。 「さっきの情報、本当なのか・・?」 「おや、ようやく食いついてくれましたね。 ぶっちゃけた所真偽のほどは分かりかねますが、こう考えましょう。 胸がある少女と無い少女、どちらもが攻めれば確実にどちらかに転がります。 仮に私に来るなら、あなたの愛しのお兄ちゃんとしていつでも貸すことを約束します。 あなたの方へ行けば逆ってだけですよ」 「・・・」 少々強引すぎる案ではあるが、バードウェイも一歩下がって思考を始めた。 恐らくオティヌスによる世界の崩壊でも見てきたであろう上条当麻。 それでも世界を敵にしてオティヌスのためだけに立ちはだかった男。 そろそろ手綱を完全に付けた方が良いのかもしれない。 「よし・・良いだろう。 そろそろ私も本気を出さねばな」 「!?」 まさかこのレッサーと言う少女の案に乗るというのだろうか? マークとしては驚愕の一言だった。 確かに彼女の上条へのある程度の執着は、 今までの彼女を知るマークからすると目を見張るものだった。 だが如何にレッサーが彼女の弱みを持っていても、 まさかこうもあっさり同調する事を良しとするとは・・。 我らが結社のボスへの交渉事は、 殆どが相手の要求を無下にして、バードウェイの好き勝手が目立ってしまう。 それだけの力と実力があるのがバードウェイだ。 屈服させてきたのは百戦錬磨だったと言える。 が、その記録をレッサーと言う少女はあっさり打ち破ってしまった。 互いにその辺りは無自覚なのだろうが、マークは驚きを隠せなかった。 するとレッサーは突然身を乗り出して、 「では、とりあえず同盟確定ですね。 お互いに頑張りましょう」 そう言いながら手を差し出してきた。 仲睦まじく手を握り合うなど彼女の主義ではないのか、 バードウェイはイラつきを見せながら、レッサーの手を軽く叩いた。 そうされながらも笑みを絶やさないレッサーは、注文を頼み始めた。 [newpage] 「早速作戦会議といきましょう。 何か口にしながらの方が頭も冴えるってものです」 レッサーはコーヒーとフルーツパフェを頼んだ。 バードウェイも落ち着こうと自分の好みの物を頼もうとしたが、 ノンアルコールカクテルはこの店に存在しなかった。 「あの・・お客様?」 店員が困り気味であったがバードウェイの頭の中は、割と切迫していた。 実は彼女の好きな物は普通の喫茶店であるこの店で扱っていたが、 正直に言えば恐らく目の前のレッサーにまた格下扱いされる気がしたのだ。 何せ彼女は普通にコーヒーを頼んでいる。 しかもブラックだ。 おまけにパフェまで頼んでおり、ここで子ども扱いは彼女のプライドが許さない。 相手が高級料理を頼んでいるのに、こちらはお子様ランチ、 と、いう感じの格差を作らないにはどうすればいいのか? 数秒考えた結果、そうだ、こちらにはマークがいる。 彼を上手く使ってやろうと思ったのだが、 「うちのお嬢様にはミックスジュースの類をお願いします」 「かしこまりました」 彼はあっさりとバードウェイの思惑を崩壊させてしまった。 ガン!と机に突っ伏すバードウェイ。 マークは何事も無かったかのように涼しげな顔をしていた。 恐る恐るレッサーの方を見ると、 彼女は自分の頼んだものが早く来ないかと待ちわびている。 どうやら考え過ぎだったかと思い、 バードウェイが毅然とした態度を取ろうとすると、 「あ、無理に年上ぶる姿はあの少年からすると、高評価かもしれませんね。 同性からしたら苦笑いしかおきませんが」 見事に一蹴されたバードウェイは何も言い返せなかった。 マークは即座に心の中でツッコミを入れる。 そりゃあなたの苦手な物知ってるんですから、 当然知っているでしょうに・・、と。 [newpage] ----------- レッサーが特大のパフェに挑み、 バードウェイがようやく好物を口にして少し機嫌も良くなった所で、 ようやくレッサーが頼んでいたコーヒーが来た。 彼女は美味しそうにコーヒーを口にする。 バードウェイからすると唯の泥にしか見えないのだが・・。 苦みを堪能してから再び彼女は甘味に手を回し始めた。 そして唐突に、 「で、あなたはどのような方法であの少年に 上手くお祝いと称して近づきますか?」 「お前は何も案が無いのか」 如何にも正論を口走るように、バードウェイは呆れながら返答した。 レッサーが言い出しっぺなのだから彼女が案を出すのが普通だろうと。 「私の案は少し強引ですけど・・?」 「・・一応聞こうか」 「先ほど言った通り、常に禁書目録が彼の近くにいる事から、 同じ様に胸が無いあなたを主戦力に考えたのですけど・・」 一々癪に障るようある台詞を強調してきた事に、 バードウェイも癇癪を起こしたかったが、 その件では手も足も出ないので耐えるしかなかった。 何故自分はこうも無力なのだろう・・。 「やはり誕生日ですからね。 際どい衣装に着替えて、 あなた自身をプレゼント・・と言うのはどうかと思ったんですが」 「・・き、際どいって例えば何だ?」 「(抵抗しないんですかボス・・?)」 「そりゃ勿論赤い紐だけで・・」 「受け取られないビジョンしか浮かんでこないぞ」 あの少年はそんなものがいきなり来たら、まず抵抗を見せるに違いない。 但しオティヌスも際どかったので、真っ向から拒否ではなく、 お前頭大丈夫・・?というノリの拒否だろうが。 [newpage] 「いやいや、男というのはギャップに弱いものですよ。 例えばそう・・原作の表紙で頭を踏みつけていたような人物が、 急に『お兄ちゃん・・今日は一緒に、ね?』とか迫れば キュンと来るのは間違いありません!」 「・・・」 「おやぁ?心当たりがあるような顔ですね?」 「お前・・ワザと言ってるだろ? 前半は否定しないが後半はありえないからな」 「そうっ!!そこですよ!!」 突如机を叩いて言葉に力が入るレッサー。 マークは驚いたがバードウェイはそこまで反応していなかった。 意味が分からんから続けろ、という事なのか手で先を促す。 レッサーの目の中は何故かキラキラ光っているように見え、 若干嫌な予感がしてきたのだが・・。 「あなたが可愛く擦り寄るなんて、 あの少年もあなた自身もありえないと思っているでしょう。 だからこそ良いんです。 正に彼にとっては、 『俺のバードウェイがこんなに可愛いわけが・・』って奴ですね」 「勝手に『俺の』扱いするな」 流石にバードウェイもレッサーの傾向に慣れてきたのか、 冷静に言葉を返すことに成功した。 とはいえバードウェイの案も傍からするとどうなの・・? と、思う事なのだが彼女自身もそこには無頓着のようだ。 「お前は何かしないのか? お前も逆に攻めてみるとかすればいいだろう」 提案にのったバードウェイではあるが、 レッサーが何もしないのは流石に不平等だ。 だからお前自身が何かする案はないのかと尋ねる。 どうせこのレッサーなら、 『う~ん・・その方面で今更攻めても彼は無頓着ですからねぇ・・』 とかで、まず難色を示すだろう。 そう返して来れば、まずは自分の案を固めてから人に案を出せと、 そう言いかえしたかったのだが・・。 「逆にという事はもう少し健全にですか・・。 でも今更そんなピュアになれますかねぇ・・ でも他人から言われるとやっぱりそれが適切かとも思えるんですよ」 おや?意外とレッサーも真剣に考えていたようだった。 それにしても今更ピュアで攻めるのが難しいとは、 悪魔が天使に鞍替えするようなものだろうか。 どうやら互いに似た性質を持っているらしい。 つまりレッサーとバードウェイは、現状上条には好ましくない性質。 だが簡単には変われない、という悩みを抱えていたのである。 いや、断じて自分は好かれたいなどとは思っては・・。 「・・・」 一瞬ある光景を考えて笑いそうになった自分がいる事に、 バードウェイはブンブンと頭を振って考えを払拭する。 [newpage] ----------- 「う~ん・・あまり良い案が纏まりませんね。 学園都市に行く時間と準備を考えると1日は失うとして、 3日も無いというのに・・」 本気で頭を悩ませ始めるレッサー。 実はバードウェイはこの件は立ち消えになってもいいか、と思っていた。 あの少年の手綱を握るのは、別にレッサーと一緒である必要もないのだ。 寧ろ彼女と一緒では余計迷走する気しかしない。 このまま彼女が諦めてくれた方がバードウェイも、落ち着いて事を運べるだろう。 さて、このまま唸らせてばかりも暇なので、 諦めさせる発言をしようと思ったのだが・・。 「!!・・何で忘れていたんでしょうか。 この手を使おうと今まで思わなかったなんて・・」 レッサーが何か思いついたようだが、 バードウェイとしては何だか雲行きが怪しいの一言である。 「私は今まで不自然に誘惑してきましたが・・そう! 不自然であからさまだったからダメなんですよ。 自然なら良いはずです」 「・・全く文脈が分からんぞ」 「つまりですね・・以前私達が彼の寝床に突撃した後 水着を買いに行ったじゃないですか? 彼は女子にプールとかに誘われた事は無いはずです。 つまり・・そういう路線で行けばいいんですよ」 「・・まぁ、季節も相まって自然ではあるな」 「でしょう?下着をチラつかせたら明らかに不自然ですが、 水着なら全く問題ないです!」 「(似たようなものだがな・・)」 ハァ・・とため息を吐くバードウェイ。 ようはレッサーはあの少年をバカンスか何かにでも誘おうと言うらしい。 方向性は間違ってもいない気がするが、 明らかにプレゼントという枠を超えている気もする・・。 「あぁ・・でも結構素で楽しみですね。 結社に入ってから、こんな娯楽に興じれるなんて・・ ロシアではひたすら寒かったですが、水際の嗜みもありですね」 うっとりと愉悦に浸るレッサー。 今彼女は自身の妄想に浸っているのだろう。 何かもう自分が楽しむだけになっている気もするのだが・・。 [newpage] アハハハ・・と水際を笑いながら走るレッサーと、 それに振り回される上条がバードウェイの脳内にはすぐに浮かんできた。 待てよ?この計画にはバードウェイもいるのだから・・。 その光景を思い浮かべる前に、バードウェイは考えるのを止めた。 そんなバードウェイに気づかずレッサーは、 うんうん、やはりこうして・・と呟き予定を立てたのか、 バードウェイに一方的な提案をしてきた。 「では・・彼と私とあなた用の 施設の入場券の購入に出資をお願いします」 「・・・」 バードウェイのイライラとは真逆に、 レッサーは笑顔のまま答える。 まさかこういう時の為に金を持っているであろう、 大組織のバードウェイを巻き込んだのだろうか? 「お前が考えたんだからお前が払え」 至極もっともな意見なのだが、マークとしては予想がついていた。 このレッサーと言う少女が我らがボスに、 何の考えも無しにこんな一方的な要求をするはずがない。 恐らくバードウェイの拒否の姿勢を崩す、予備案があるはずだ、と。 「おや?いいんですかぁ? 愛しのお兄ちゃんと楽しいプールに行けませんよぉ? それに元来、ああいう施設にはあなたの好きなノンアルコールカクテル、 があると思いますけど?」 レッサーの言葉の前半には全く反応しなかったが、 予想通り後半の言葉にはピクリと反応してしまったバードウェイ。 そう来たか・・と、マークは少々肩透かしをくらっていた。 結果的には我らがボスの懐柔に繋がったが・・。 その後もレッサーからの追い打ちは続いた。 暑い中での水際での極意云々を。 スイカ割やらアイスなどの冷たいスイーツ(?)から、 水を漂う感覚にビーチバレーにボート・・。 途中から海での出来事も混ざっているが、 最終的にはバードウェイもそれらの魅力に惹かれてしまった。 こうして見事レッサーのプレゼンは成功したので、 ここからは交渉ではなく実際に計画を立てる事が開始された。 そして当日・・。 [newpage] ----------- 7月28日 レッサーとバードウェイは久方ぶりの学園都市に来ていた。 ボスが空ける間の組織を任せ、雑務を全て押し付けてきたのである。 ところで学園都市に再びやってきたバードウェイだが、 第一声は、 「・・暑い」 であった。 これにはレッサーも少し呆れていた。 何せ彼女はこの夏場にも拘らず、殆ど肌を露出させない格好なのだ。 わざわざ長い黒タイツまで穿いて・・。 少しはスカートの下が直パンツの私を見習ってほしいものです、 と、ぼやいたのだが彼女は自身の格好を改めようとはしなかった。 「で、これからどうするんだ」 「寮に突撃に決まってるじゃないですか。 いなかったら探しに行くのもありですが・・」 レッサーの一言にバードウェイもウンザリしながら頷く。 暑いのに少しやられているのか、早く上条の寮で涼みたいのだろう。 実は内心、今ならしおらしいので彼も攻めやすいかもしれませんね、 と思っていたレッサーは、暑さにも負けず元気であった。 [newpage] 上条の寮に着いたもののどうやら不在の様だ。 一切誰も出ないという事は禁書目録もいないのだろう。 涼めないと知ったバードウェイのローテンションは相当であった。 相方が熱中症にでもなられたら困るのでレッサーは、 「そんなに落ち込まないでくださいよ。 探しに行くのも嫌でしょうし、ここは彼の家で待っていればいいんです。 安心してください、事前調査で彼は学園都市の外に出かける予定なんてありませんし」 レッサーはそう言いながら寮の扉をこじ開けた。 彼女の強引さに少し驚くバードウェイだったが、今はとにかく涼みたい。 そして上条不在の寮に足を踏み入れるが・・。 「困りましたねぇ・・まさか先客がいたとは」 「ど、どうも・・」 「確か、天草式の女だったか・・?」 レッサーとバードウェイは 既に上条の寮に潜んでいた五和と遭遇してしまった。 とはいえバードウェイには些細な事であった。 所詮天草式の人員がいようが、さしたる問題ではない。 ところがレッサーには違ったようで・・。 「何という事でしょう・・これではキャラが被ります!!」 「・・・」 と、いう彼女の論理の下、2人は五和と被らないやり方をするために 再び炎天下の下へと旅立った。 [newpage] ----------- 「普通にあそこで涼めばいいだろう!何故離脱した!?」 涼めなかったからかバードウェイの剣幕は凄かった。 但し威勢が良かったのは最初だけだったが。 「あそこにあのままいたらあの五和って人と被るんですよ。 分かりませんかねえ・・。 そうやってキャラ的に被ったら、 この戦いは負けみたいなものですよ?」 レッサーの論はともかくこれからどうするつもりなのか。 バードウェイは再びダレた状態で方針を尋ねる。 とはいえ何をするにしてもバードウェイはまず休憩を提案するが。 「こうなったら・・あの少年を探しましょう!」 相も変わらず元気なレッサー。 つくづく問いたい。 お前の元気の源は一体どこから来るんだと。 と、ここでセクハラ発言多々のレッサーからして バードウェイには暑さ対策が思いついたが・・。 「お前・・もしかして下に何も穿いてないから涼しくて元気なのか?」 と、つい聞いてしまったが 矛先は逆にバードウェイに来てしまった。 「はぁ・・?言っておきますがね、私は上も下もちゃんと穿いてますよ? スポーツブラなんかしてるから暑いんじゃないんですか? 私はあなたと違って布地がまともな幅の物着用してますからね」 その発言には断じて許さん!と思ったバードウェイだったが、 レッサーが一時的に涼む場所を提示するとバードウェイも少し大人しくなった。 [newpage] ファミレスで涼んで30分も経った頃、 窓ガラスにあのツンツン頭の少年が視界に入った。 あの頭に該当する人物はそういないのでほぼ間違いようがないのだ。 お目当ての彼に照準を当てると、ツインテールの少女と何やら話しているのが見えた。 「あの野郎・・成程。 あいつは今日も絶賛いつものあいつ、という事か」 涼しくなったからなのか毒づきに力がこもるバードウェイ。 口元が若干ヒクヒクしている。 そんな彼女の豹変ぶりに感心しながらも、 外のツインテールの少女にはあまり意を介さないレッサー。 そう思って踏みとどまると、 「・・逆にお前のその淡白な反応は、 明らかに本当はあいつの事を思っていないように見えるが?」 「これは大人の余裕ってやつですよ。 そもそも彼女、胸のサイズはあなた以下ですが、 どうもそういう類の関係でもないようです、おや?見知った顔ですね」 本当に余裕を持っているように堂々と言ってのけたレッサーだが、 途中から少し表情が変わる。 またもレッサーの言葉に反応しそうになるが、 バードウェイも再び外を見た。 「ん?あいつは確か、『船の墓場』の時にもいたな」 何やら不穏な空気が外では漂っていた。 レッサーとバードウェイはいつの間にか釘付けになっている。 すると・・。 バヂッ!! という音と閃光が炸裂したかと思うと、ツインテールの少女が真っ黒焦げになっていた。 「「・・・」」 その後見知った短めの茶髪の少女が、 黒焦げの少女を引きずって行く。 ツンツン頭の少年はくわばらくわばら・・といった顔つきでその場を離れていった。 「何だかよく分からんが・・追うぞ!」 「愚問ですね」 しかしその前に彼女達の前に会計、という障害が立ちはだかった。 特にバードウェイが頼んだ品の数々は、 とても30分で食べ切れたのが不思議な量であった。 [newpage] ----------- 「全く・・せっかく見つけたのに あなたの分の会計で遅れたじゃないですか」 「黙れ、元はと言えばお前が再び炎天下の下に 私を晒したのがいけないんだろうが」 ブツブツと互いに悪態をつきながらも彼女達は上条を追う。 そして再びツンツン頭の少年を見つけたが・・。 「やりますねぇ・・」 「クソ・・何てデカさだ!」 2人が目にしたのは上条と話していた2人の少女である。 巫女服の似合いそうな少女と、おでこ全開が似合いそうな活発な少女。 そして特に後者の少女は、とにかくデカかった。 「・・おい、お前は敗北感を感じないのか?」 バードウェイは少し泣きそうになりながら呻く。 が、やはりレッサーは顔色1つ変えていなかった。 寧ろ感心していたり何かに納得しているようだった。 「あぁ・・御安心ください。 別に私は胸のサイズは些細な問題と思ってますので。 そもそもあの大きさは邪魔でしかない上に、後々後悔しますよ・・。 それにあの少女はさっきの黒焦げの少女と同じです。 彼に特に思いを寄せてるようには思えません。 これが大人の余裕ってやつですよ」ドヤ 正直な所今少しだけレッサーが頼もしく思えたのは、 バードウェイには驚きであった。 何とメンタルの強い少女だろう。 この少女がいればもしかしたら何事もいけるのではないか? 多分1人だったらこの行き場のないイライラを、 何かを破壊していたか、あのツンツン頭にぶつけて発散するしかなかっただろう。 するとあの少年が何かを受け取ると、盛大に走って行ってしまった。 先程よりも荒っぽい事にはなっていなかったようなので、 走って逃げるとは2人とも考えもしなかった。 少し落ち込んでいたバードウェイを、レッサーが手を掴んで無理やり 引っ張る形で2人はまたも追跡を開始した。 [newpage] ----------- 「だから・・言ってるじゃないですか! 他の方と同時ではいけないんですよ。 そもそも今突撃すれば天草式の方にインパクトで負けます」 ようやく上条が寮に入ったのでバードウェイは普通に突撃しようとしたのだが、 レッサーに再び止められ先の発言である。 バードウェイとしてはもう炎天下の下にいつまでもいるのは御免なのだが・・。 そんなレッサーの発言のせいか、 2人は何故か張り込みをすることになっていた。 ようは上条が五和と寮内で会い、彼女との事が終わるまで待とう。 と、言うのがレッサーの案だった。 バードウェイとしては面倒だ、の一言だったのだが、 言い争いが発展する前にレッサーがこう切り出してきた。 「他の勢力も見れるかもしれませんよ?」 この一言でバードウェイも踏みとどまってしまった。 一体どれだけの人間があの少年にお祝いをしに来るのだろう。 あの少年は自分などよりも遥かに凄い事をやってきた。 それでも未だにステータス的には普通の高校生。 一組織のボスである自分とは天と地の差がある。 にも関わらず、どうして彼はこんなにもまぶしい日常を送っているのだろうか・・。 既にあの天草式の聖人があの少年の寮に向かうところを見た。 あの有名なイギリス清教の聖人にまで祝われるとは、 唯の高校生にしてはおかしいスペックである。 もっともレッサーからすると、あの方は初心過ぎて テクも何も持ってませんから敵でもないですね、との事。 [newpage] どうやらレッサー曰くあの聖人は大した事が無いようだが・・。 本日発、レッサーが難色を示した2人の少女がやってきた。 「・・・強敵かもしれません」 あのレッサーが反応した少女達。 1人は黒髪で少し張りつめた表情の少女。 もう1人は周りが輝いているかのような少女だった。 2人は対称的であったが、仲は良さそうだ。 姉妹と言うには似ていないが・・。 どのような関係なのかはバードウェイも知る由は無いが、 1番の論点はそこでは無い。 「ど、どう強敵なんだ?胸部の問題ではないだろう?」 「これは勘ですけど・・あの桃色の髪の方。 あれは明らかにあの少年と相性が良いですね。 彼が力を貸す事を惜しまない存在です・・。 ああ、なまじ力を持つ者の業と言うのはこういうとこで嫌になります」 レッサーの説明でバードウェイが気になったのは、 力を持つ云々の部分だ。 バードウェイも並々ならぬ魔術の力と実力を有する。 それが最大の障壁なのだろうか・・。 レッサーは何やらメモを取り始めると、暫く考え込んでしまった。 現状レッサーに頼り切り状態のバードウェイは、 レッサーの思考行為を止める事は出来なかった。 暑さで頭が回らないのもそうだが、こういう方面に疎いのも認めざる得ないのである。 [newpage] ----------- ようやく上条が再び寮から出てきた時には、 レッサーの思考も終わっていたのだが、五和も同時に出てきており、 2人としては寮の中で何が起きたのか皆目見当がつかなかった。 その少し前にあの聖人が飛び出して言った事も気になったが・・。 1つ分かったのは、あの少年は禁書目録を探しに街に出ていたということ。 どうやらそれが続行されるようで、天草式の少女とも別れたようだ。 ではいざ!と意気込んだ2人であったが、思わぬ妨害が入ってきた。 まずはバードウェイに着信。 「あの・・ボス、パトリシア様が遊びに来たと言ってるんですが」 そして、レッサーにも。 「もしもしレッサー!?あんた何処ほっつき歩いてんの!? ここ数日全く連絡してこないし・・ランシスに何言ったのよ!? まさか・・ロシアの時みたいにあの日本人が関わってんのかしら?(怒)」 「「・・・」」 2人同時に無言になるがこれはすぐに解決しないと々面倒だろう。 特にバードウェイの件は、 妹を魔術から切り離しているという制約が壊れかねないのだ。 2人とも上手く誤魔化して乗り切らなくては、あの少年のお祝いどころではない。 そんなわけで再びファミレスで涼を満喫しながら、 自身の問題に対応する2人。 結局2時間は消費してしまった。 「クソ・・何だってあのタイミングで」 「あぁ~もぅ、フロリスをここまで恨めしく思ったのは・・ あ、つい数日前にもありましたっけ」 2人は涼しい店内にも拘らず少々ぐったりしていた。 今日は完全にオフで、バカンス気分だったのだから無理もない。 但しここで凄いのがレッサーの予備案で・・。 「しかしまぁ、念のため実際に行く日を 今日に限定しなくて良かったですね。 今日のみにしたら完全にアウトでしたよ」 「私は金を無駄に使った気もするが・・ 想定外のトラブルへの対策はしっかりしていたと言うべきか」 何としても誘うのは今日だ。 但し数日後に出かけるのだって構わない。 何故なら何らかの理由で今日出かけるのが無理になるかもしれませんよ? と、レッサーが言って、発行した券の有効期限を7月28日だけに絞らなかったのだ。 気を取り直して彼女達は再びあの少年を探しに街に出た。 [newpage] ----------- 「あれは強敵かもしれません」 「またか・・」 長い金髪の少女があの少年と会話しているのを見て、 レッサーが発した言葉だ。 バードウェイも少し苦い顔で受け答えした。 レッサー曰く、あの金髪少女は一見よめない行動ばかりだが、 その実確実に歩を進めるだろうという事だった。 バードウェイからしたら、 金髪という点であの魔神に共通するな、と言えるくらいだったが。 その後も何人かがツンツン頭の少年に何かしら渡して行ったが、 カエル顔の人物との会話が終わると、 上条は自身の寮の方向に向かって行った。 「どうやらご帰宅ですね」 「よ、ようやくか・・」 張り込みなど基本下っ端に押し付けていたので、 こうも疲れるとはバードウェイは微塵も考えていなかった。 対して結社予備軍という事で、 どんな下仕事でもやってきていたレッサーは未だに元気であった。 「全く・・もう陽の勢いも弱くなってるんですから、 いつまでも萎れないでくださいよ。 休憩だって何回も挟んだと言うのに」 「こんな慣れていない事をやらされたら誰だって疲れるだろうが・・」 「まあ安心してください。 そんな萎えてるあなたでも、 あの少年に責める手段はありますからね。 寧ろその状態の方が彼も構ってくれるかもしれませんよ」 「おい、まさか今日散々出し惜しみをしたのは・・」 「無論です、抜かりはありませんよ」 ニヤリと笑みを浮かべるレッサー。 今までずっと、誰々がいるからとか、キャラが被る云々は バードウェイを弱らせるためだったのだ。 その言い訳を続ける事で暑い中を引きずり回し、 いつもの強気なバードウェイを全面に出さないようにしたのである。 全く、一方的に頼りになると思っていた自分がバカみたいだ。 してやられたのでいつものバードウェイなら仕返しをするだろうが、 今はそんな気も起きない。 [newpage] そしてようやく上条の寮から天草式の五和が出てきた。 するとレッサーは躊躇いなく彼女に接触をしに行く。 あまりにも自然だったので、バードウェイも戸惑った。 どうやら魔術側の人物なら特に問題ないと思ったのか。 それとも渡し終わった人物とは接触しても問題ないという事だろうか。 「やあやあ、どうも」 「あ・・レッサーさん?」 「今彼の寮には誰か来てますか?」 「私の知る限りではインデックスさんと、あの魔神の方くらいかと」 「情報提供感謝します」 「お2人も上条さんに?」 「そんなとこですかね、私達の事は話しました?」 「いえ・・すっかり忘れてました」 「上出来ですね、それでは」 五和と言葉を交わすと、レッサーはバードウェイを引っ張り上条の寮に向かう。 ぐったりしているバードウェイと、五和の視線が合った。 何かを察したのか五和の表情は苦笑いしており、 同情してるんじゃない、という意味で睨みたかったバードウェイである。 五和の生暖かい視線と、レッサーの強引な引率に挟まれ、 バードウェイは上条の寮に近づいて行く。 再びレッサーが寮の扉をこじ開けると、何故か忍び足で中に進んでいく。 余裕のないバードウェイだが、 苦言を申す事も出来そうにないので深くは考えなかった。 [newpage] 居間に着くと少年が禁書目録に膝枕をされて寝ていた。 小さな魔神もお休み状態である。 「私が汗水垂らして苦労していたのに・・・ ようやくその苦労が浮かばれると思ったらこいつは安らかに寝ているだと!? どういうことだっ!!」 遂に琴線の限界が来たのか喚いたバードウェイ。 但しレッサーは彼女を無視して、少年の足を引っ張り 禁書目録の膝枕から解放した。 この少年も疲れているのか未だに寝ている。 レッサーは深呼吸すると、 「ではどうぞ、寝ている愛しのお兄ちゃんに おねだりしちゃってください」 あっさりとバードウェイに誘うという重大な役目を命じてきた。 相変わらずいつもの力が出ないバードウェイだが、 今日の全てはこの時のためだ。 やるしかない。 まずは1発・・。 ペチ と、少年の頬を叩くが熟睡している人間に、 弱ってる人間の手のひらなど大して効果は無かった。 ペチ・・バシッベシッ! [newpage] 何度か強いのが入り、ようやく少年も薄く目を覚ます。 モゾモゾと動こうとするが、バードウェイが馬乗り状態なので殆ど動かない。 それを何度か繰り返すと妙だと思ったのか、 あくびをしながら上体を起こした。 「ふぁ・・どうかしたか?インデック、ス? ん・・バードウェイ!?」 ようやく上条当麻という少年がバードウェイを認識した。 続けてレッサーにも気づく。 上条が何か言う前にレッサーが、 「とりあえずその方のお願いを聞いてあげてくれます?」 という発言をした。 「は?」 全く状況を理解していない上条。 とはいえ彼の頭の中には以前の事がフラッシュバックされた。 唯その時との違いは彼女達2人のテンションが真逆という事だ。 よく見るとバードウェイの顔が少しおかしい。 何というか・・いつもの彼女ではなかった。 「・・むから」 「な、何だよバードウェイ」 「頼むから・・私達とプールに・・行ってくれ」 「え?どうしたのお前・・」 「何だよ・・そんなに私のお願いは聞けないのかよ!! あの時も私の願いを断りやがって!!うわぁぁぁん!!」 「えぇーー!?」 普段の強気な彼女は何処へやら・・。 上条の胸部をポカポカ殴るが全く痛くない。 豹変したバードウェイに困っている上条にレッサーが、 「少しだけ話し合いは良いですかね」 バードウェイの様子を見てから、上条はレッサーに インデックスとオティヌスをベッドに運んでくれないかと頼むと、 レッサーは2人を起こさないようベッドに運んだ。 上条はバードウェイを宥めながら机の前に座り、 レッサーの話を聞くことにした。 [newpage] ----------- 「・・と、まあこういうわけです」 「お前がバードウェイをここまで弱らせるとはなぁ」 レッサーが今日1日の事を大まかに話し終え、上条は嘆息する。 因みに未だバードウェイは上条にすり寄ったままだ。 可愛げのある少女と言えるが、後の事を考えるとあまり軽率な事は出来ない。 上条自体は全くバードウェイに触れていなかった。 「どうですか、弱々しい彼女は? 結構可愛いでしょ?普段は組織のトップですから、 こういう事が出来ないんじゃないかと思いまして、一芝居打ったわけですよ」 「芝居じゃなくて本気で楽しんでたんじゃねえの?」 上条のツッコミに、テヘペロするレッサー。 ハァー・・とため息を吐く上条。 こうまでしないと確かにバードウェイは弱気にならないだろうし、 少し保護欲が湧いてしまったのも事実だ。 しかし1日という単位を使ってそれを実行したレッサーには、 正直な所称賛の拍手を送りたい。 「で、結局私達からのプレゼントは受け取ってくれるんですよね?」 「プレゼントなのこれ」 「女の子がプールに一緒に行こうって誘ってるんですよ? どう考えてもプレゼントでしょう?」 確かにそんな事に誘われた事は無いし、嬉しい限りではある。 但し不安な事がある。 これで断るならあなたの嫌いな強引な手段に訴える事になりますが・・」 「・・分かったよ、バードウェイにも悪いし」 「私を忘れないで欲しいですね」 「分かりましたよ、レッサーと行けて楽しみだなー」 「・・まあいいでしょう」 バードウェイは使い物にならないので、 何処の施設に行くのか、いつ行くのかなどはレッサーが上条と直接交渉した。 何をする予定なのかは勿論、上条がしたい事などもまとめていく。 学園都市の外に行くのだが、その辺りは魔術師にはあって無いような壁だ。 一通りの説明を受けて上条は、 「にしても、外にはそんなとこがあるのか」 と呟く。 [newpage] 「本来は海水浴場なんでしょうけど、 プールまでわざわざ作ってあるんですから豪華ですよね。 探すのと予約には一苦労でしたが・・」 まあ予約のお金はそこの方の組織のを使わせてもらいましたけどね、 と、レッサーが笑いながら言うと、上条は少し嫌な予感がした。 後でバードウェイからしっぺ返し受けるんじゃないの?と。 そんな上条の懸念をよそにレッサーは気楽に言ってのけた。 「ハァ~・・ここ数日の苦労がようやく実りましたよ。 ここ数日の苦労とやらは上条に知りようがないが、 今気づくが割と年相応の喜び方をしていた。 レッサーも案外、バードウェイと同様に疲れているのだろうか。 すると突然レッサーがこんな事を言い出してきた。 「そういえば・・ずっとあなたに聞きたかったのですけど」 「何だよ改まって」 「今日私は結構真面目にあなたに接していますが、 ロシアの時よりは好感持てますか?」 「お前はズバッと聞くなぁ・・」 「いやぁ、どこかの言いたい事もいつまでも言えない人とは違うので」 「・・・まあ、接しやすいと言えば接しやすいけど」 言葉には出さないものの相変わらずインデックスや、 オティヌスのように気楽に接するのは難しいのがレッサーだ。 どうしたって何か考えてるだろ・・という考えが先行してしまうのだ。 「ですか・・じゃあこれからは真面目路線で行きましょうかね。 あ、もう1点聞きたい事があるんですけど」 [newpage] 「そんな簡単に割り切れるものか? しかも路線て自分の振る舞いとかだろ・・で、何?」 「あなたは胸の大きいこと小さい子、 どっちが好きなんです?」 「真面目路線どうした」 「勘違いしてもらっちゃ困りますね。 これは女の人に背が高い男と低い人どっちが好きかとか、 そういう身体的な好みを聞いてるだけです。 ほら、筋肉質が好きとか色々あるでしょ」 言われてみればそうとも言えるが・・。 そういうのは同性同士でひっそり語るのが常ではないだろうか。 青ピや土御門とよくその手の会話はするが、 如何にレッサーとは言え異性とその類の会話はしたくない。 打たれ強いと言うのか、はたまた何か企んでいるからこそ、なのか。 実は偶然だが上条もバードウェイと同じ事を思ってしまった。 何てメンタルが強いんだ、と。 「で、どうなんですか?質問には答えてくださいよ」 「仮に答えたらどうするつもりだ」 「大きい方と答えたら私が嫁に、 小さい方と答えたらあなたの隣の方に嫁になってもらい、 どちらにせよイギリスに来るという事で」 「最悪じゃねえか」 「冗談です。 ところで逃げ続けるのは男らしくないと思うんですが・・ やはり禁書目録や魔神が身近にいる事からして・・小さい方ですか」 「い、いや・・」 「はっは~ん・・では大きい方ですねっ!?」キラキラ 「何で凄ぇ目キラキラさせてんのお前!? ぎゃ、逆だよ!好きになったやつの胸の大きさなんてどっちでもいいんだよ!」 [newpage] 「成程そういうことですか」 大きく頷くレッサー。 漸く質問攻めが終わると思った上条だが、 まだまだレッサーのターンのようで・・。 う~ん、と悩んでいた状態から一転。 電球がパッと点いた時のように何か閃いた彼女は、 「つまり小さい相手なら自分の好きな大きさに出来ると。 そういうことですか」 「何でそう曲解するんだよ!!そもそも胸だけで決めねえよ」 「ははぁ・・あなたなりにいろいろ考えてるんですね。 御見それしました」 絶対バカにしている! そう思った上条は今回のプレゼント、 初の拒否にしてやろうと思ったがバードウェイの事を考え止めた。 お金はバードウェイが出しているのだから、無下にも出来ない。 ふと横を見るとバードウェイは既に眠っていた。 レッサーの試練が堪えたのだろう。 ふと上条にも少し聞きたい事が出来た。 さっきの仕返しだ。 「俺もレッサーに聞きたい事があるんだけど」 「何ですか?お気に入りの下着の色くらいならいいですけど、 スリーサイズはタダという訳にはいきませんね」 「お前真面目路線守る気ないだろ・・いや、そうじゃなくて。 お前ってどういう異性が好きなんだ?」 さっきまで散々上条をからかってきたのだ。 レッサーみたいな奴は逆に責められると案外・・ というのが上条の考えだ。 ところが・・。 「そうですね・・少なくとも背は高いのが好きです。 髪型はまともで、知的な人。 あとは財力があるってのも必須です。 あれ~?いずれもあなたとマッチしませんねぇ」 何だか上条のコンプレックスを言われているようで、 結局上条が少し沈む羽目になってしまった。 別にレッサーに嫌われてもさしたる問題ではないはずだが、 それでもこうも色々言われると、やはり来るものがある。 少し落ち込む上条だが、あれ?じゃあお前全然俺の事好きじゃないじゃん。 そう言おうと思ったのだが・・。 「でも不思議ですね・・あなただけは気になってしまうようです」 上条の目を真っ直ぐ見ながら、少し困った表情でレッサーは言い切った。 少なからず動揺してしまった自分が恥ずかしい。 いや落ち着け・・いつものレッサーの魔術に決まっている!! 上条は一旦目を瞑り精神を落ち着かせる。 そしてふとボロが出るように何か会話を続けようとしたが、 「・・・」 ネジが切れたようにレッサーは眠ってしまっていた。 結局聞こうと思った事は聞けずじまいである。 無理矢理起こしておいてそっちは寝るのかよと思うのだが、 明日もあるかと思い上条もそのまま寝る事にした。 [newpage] ----------- 深夜 モゾリと1つの人の影が動き出した。 勿論レッサーだ。 「(フフフ・・甘い、甘いですよ上条さん。 私の苦労は券の予約とかじゃあありません。 バードウェイの弱点を探る事でも、その扱い方を覚える事でもなく・・)」 「(1度寝ても数時間で起きる訓練です!!)」 心の中で大きく宣言すると、 レッサーはノソノソと寝ている上条に近づく。 無理矢理起こされた後のせいか相変わらず熟睡しているようだ。 「(エヘヘ・・さて、私のファーストキスをここでプレゼントして・・ これで後々色々な所で使えるタネになります。 この少年は1度くっついたら離れるのは・・とか考えているでしょうからね。 ファーストの相手となれば忘れられないはずです)」 彼の誕生日と称してプレゼントというのもありでしたが、 ついでに正式な関係も築きあげちゃいましょう! と、言うのが彼女の真の狙いだったようだ。 寝息がすぅすぅと聞こえる。 勿論上条以外からもだ。 これなら問題ない。 「(出来れば互いに目を覚ましてる状態が良かったんですが、 この方とでは色々と邪魔が入りそうですからね・・)」 では!と、レッサーが上条の顔に近づくと・・。 「おい、夜中に何をしようとしている」 ハッと気づいたレッサー。 今日初の彼女の失敗だった。 禁書目録も上条も、 隣で寝ているバードウェイも勿論熟睡していた。 だがしかし、もう1人この部屋にはいたのだ。 [newpage] 「私の前に魔神が立ちはだかるとは・・迂闊でした」 「フン・・そう簡単にあいつのファーストを奪わせはしないぞ」 「小さいくせに何を仰るのやら・・あなたじゃ私を止められませんよ」 「この暗い中・・私を見つけられるかな?」 ギクリとレッサーは気づく。 明かりを付ければ全員が起きる可能性があるだろう。 だがこのままでは小さなオティヌスの発見と対処は難しい。 現に今でも声しか聞こえないのだ。 「不遜な事をしようとした輩はこうしてくれる」 そう言うとオティヌスが何か取り出したのか、シュイン・・ と音がした。 レッサーがぞっとすると小さな魔神はこう言ってきた。 「昼間私はあいつに針灸をやったが、 こうも暗いと何処に刺さるか分からんな・・」 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア・・!! という断末魔と共にレッサーは大慌てで明かりを点けた。 当然ながら明かりと大声で何人かが目を覚まし、 レッサーは自身の目的を果たす事は出来なかった。 その後世にも珍しい、 泣きじゃくって上条にすり寄るレッサーがいたという・・。 end.

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