ハーメルン の バイオリン 弾き。 ハーメルンのバイオリン弾きの登場人物

ハーメルンのバイオリン弾きの最終回

ハーメルン の バイオリン 弾き

ハーメルンのバイオリン弾きの最終回 ハーメルンのバイオリン弾きの最終回 最終楽章 フィナーレ 〜終曲〜 《歓喜の歌》 その昔 全ての絶望を 封じ込めた箱が あった…… その箱を パンドラという女が 開けてしまった…… そして…… 大魔王ケストラーの城内で繰り広げられる、ハーメル一行対ケストラー、人類対魔族の最終決戦。 フルートを捕えた大魔王ケストラーが、彼女の喉笛に牙を近づける…… トロン「……」 ハーメル「……」 ケストラー「フッ ハハハ わかるぞ!! 」 飛び掛ろうとしたトロンを、ケストラーの爪が貫く。 トロン「ぐうっ……」 ケストラー「 ハハハ このようにな みんな死んだぞ 君の仲間はなあ……」 フルート「……!! 」 ケストラー「これまで君は…… 仲間の パーティー影になり光となり 支えてきたが……」 トロン「……」 ケストラー「我が愚息の魂のために…… 連れ添ってくれたことを感謝するよ」 放心状態だったフルートが我に返り、その惨状を見て涙を流し始める。 ケストラー「御苦労だったね しかし すべてが徒労に終わったようだ ライエルも…… サイザーも パンドラも オーボウも そして…… 君の愛しいハーメルもね ハハハハ」 ハーメル「……!! 」 ケストラー「 君もみんながいる死地へ…… 逝かせてあげよう」 遂にケストラーの牙が、フルートの喉に……。 ケストラー「 美味い……!! やはり…… 予想以上だ!!! この芳醇な味わい…… 美味し過ぎて体……から魔力が…… あふれ出しそうだあああ」 ケストラーの魔力の増大に呼応し、城外では魔族たちが強さを増し、人々を襲い始める。 「うわああっ」「な……なんだあー」「けっ…… 剣が……」 「ギィィ」 「魔法が……が……っ」「ギ……」 「効かぬ……! もがき絶望に 堕ちるのだ! このケストラーが恐怖を与えてやる! 苦痛を…… 怨みを 狂じる憎悪を 闇を 混沌を!! ケストラー「 あ なんだ……なんだ……この……!! 忌まわしい…… 光はぁ なんだというのだあ 小娘がぁ!! 」 フルートに詰め寄るケストラーを、フルートが跳ね飛ばす。 ケストラー「!! 」 フルート「 さがりなさい ケストラー!! 」 十字架の杖を手に、凛とした言い放つフルート。 フルート「 私は人類の守護国 スフォルツェンドの 女王フルートです!!! 」 ハーメル「……」 フルート そうだ…… 私……しかいない…… 私がみんなを助けるんだ…… 私にしかできない…… フルートが額の十字架を外し、天に掲げる。 フルート お母さん お兄ちゃん…… みんな…… 力を…… 貸してください!! 慈母神よ!! 十字架の光が、周囲に暖かく降り注ぐ。 ケストラー「ぐっ」 ハーメル「? ……」 ハーメル あっ暖かい…… 痛みが……!? ヒビ……が…… ふっ……服まで…… 光を浴びたハーメルたちの傷がみるみる癒され、身に着けていた服まで元通りになってゆく。 亀裂の入ったハーメルのバイオリンまでもが元の姿へと蘇る。 トロン「う…… あっ…… 体が…… ハーメル……」 ハーメル「トロン! 」 オーボウ「わし……は……? いったい…… どうしたというのじゃ……? 」 トロン「 オーボウ!! 」 オーボウに飛びつくトロン。 ライエルとサイザーもまた力を取り戻す。 2人に飛びつくトロン。 トロン「 サイザー! 」 サイザー「わっ!! 」 トロン「 ライエル! 奇跡だっ……!! 」 サイザー「いったい……」 ライエル「どうやって……? 」 トロン「うぅっ……」 一同が見たのは、神々しいまでの頬笑みを携えたフルートの姿。 サイザー「フルート…… フルート……か? 」 オーボウ「あれが……フルート……? 本当……か……? 姿……形は同じでも…… あの……威厳……神々しさは……どうだ……? 今までのフルートとは違う……まるで…… 幾人もの偉大な魂が……重なりあっているかのようじゃ……」 フルートの背に、オリンやリュート、仲間達の姿が浮かび上がる。 オーボウ 大きな試練を乗り越えてきた…… トロン そうだ……ドラムを倒した時の…… ホルン様の光……に……似ている…… サイザー いや それ以上だ…… あの時よりも ライエル 優しく……力強い…… ケストラー「おのれ……! 小賢しい人間めェェ 我が……道具の 分際……でェ……! 」 ハーメル「 よしっ ケストラーを…… 倒してやる! 」 一丸となるハーメルたち。 「 ダメよ! 」 一同を制止したのは、パンドラ。 パンドラ「魔力ではケストラーは 倒せないわ!! 憎しみが憎しみをうみ…… 苦しむだけ!! 」 ハーメル「母さ……ん」 パンドラ「 信じる力で戦うのよ!! 」 ハーメル「えっ? 」 パンドラ「今まで信じてきたものを…… 信じる力で戦うの!! フルート「 そう あなたには これしかないでしょ!! 」 バイオリンを差し出すフルート。 フルート「それに トレードマークを 忘れてるわよ! 」 角がむき出しのハーメルの頭に、帽子をかぶせる。 トロン「そうだハーメル! おまえには…… それしかないぜェ!! 」 サイザー「フン そうだな! 」 オーボウ「そうじゃハーメル!! 聴かせてやれ!! 」 ハーメル「ライエル 行こうぜ! 」 ライエル「 ハーちゃん……!! 」 ハーメルがバイオリンを、ライエルがピアノを構える。 ハーメル「 いくぜケストラー!! 貴様には…… 地獄の交響曲を聴かせてやる!! ベートーヴェン交響曲第九番……『第九』だあ!! 」 ケストラー「ぬうっ おのれェ 雑魚どもがああ!! 小賢しいわああ!! 」 ハーメルとライエルの奏でる魔曲に合わせ、一同の一斉攻撃が始まる。 サイザー「おおっ ワルキューレ!! 」 ワルキューレ「ダアー!! 」 ケストラー「 がぐあ……」 オーボウ 大作曲家ベートーヴェンが 耳が聴こえなくなる病の苦しみから復活し……最後に作った名作……まさに……運命を切り開く……歓喜の如く……! トロン「 シーザースラッシュ……!! 」 ケストラー「 ぐあっ! 」 ライエル「 火の鳥! 」 フルート ハーメル……出会った時も 曲を……弾いていたわね…… 曲に合わせ、フルートが歌い始める。 よろこびよ 美しい神の火花よ お前の天にあたる聖堂に進む! すべての人びとが兄弟となる すべてよろこびの声を合わせよ! ケストラー「ぬうっ」 サイザー「おお……これは……!! 」 サイザーがフルートの隣りに並び、共に歌声を奏で始める。 自分のものとしたものは 共に歌え! ワルキューレ「 おおっ 聖女二人のハーモニー!! 力がみなぎってくる!! 」 トロン「 不思議だ! 力がどんどん沸いてくる!! 肉体が! 精神が! 」 オーボウ パンドラ様……フルート…… 抱き合おう もろびとよ! 歌声は城の外にまで響き渡る。 「聞こえるか……? 」「この曲! 」「これは!! 」 このくちづけを 全世界に! 「見ろ……体が……! 」「傷が治っていく! 」「おおっ!! 」 クラーリィ「王女……」 「対照的に魔族の力が弱っていくぞ!! 」「おおっ! 」 「生命が沸いてくる!! 」「わしらも歌おう!! 」 「 まだ戦えるぞ!! 」 兄弟たちよ お前たちの道を進め! よろこびをもって英雄が 勝利の道を進むように! サイザー 仲間……そうだ……私は……みんなに……会わなければ…… 一堂の一斉攻撃が続く。 サイザー「 フン!! ケストラー「再生……できない!! 人間……めェ……」 光の天使ケルビムは 神の御前に立つ! ケストラー「このケストラーに利用されるだけ……の…… 存在のくせに……! 道具の……くせに……! くだら……ん!! 」 星空の彼方に神を求めよ! 星の彼方に必ず主はすみたもう! 」 ハーメルがバイオリンをパンドラに差し出す。 ハーメル「母さん 続き……を 弾いてくれ! 」 羽毛が舞い、ハーメルの背から輝かんばかりに真っ白な翼が開く。 ライエル「ハーちゃん!! 黒い翼……ではなく…… 」 サイザー 白い翼……そうか…… パンドラ ケストラーの血を受け継ぐということは…… 聖女 パンドラの天使の血も…… ハーメルの体が宙に舞う。 オーボウ 憎しみで倒すのではない……運命を切り開くため…… フルート いつか見た……夢…… ハーメル「 ケストラああ……」 ケストラー「 この……人間めェェェ」 ハーメルの振るう拳が、ケストラーの顔面を砕く。 ケストラー「ぐっ…… あぐっ この…… 大魔王…… ケスト……ラ…… が……」 血を吐きつつ倒れてゆくケストラー。 「 そろそろ頃合……かの……」 一同のもとに、オリンじいさんが現れる。 トロン「 オリンじいさん!! なんでここに……!? 」 オリン「なんじゃその嫌そうな顔は……? 来ちゃいけなかったのかい? 何……そろそろ終いにせんとな…… これだけ弱らせれば……大丈夫じゃろ ほれっ」 オリンがフルートに小箱を差し出す。 オリン「 聖女 あんたの役割じゃ…… 終いにしてやってくれ…… 大丈夫……今度のモノは……逸品じゃ 何千年経とうが……錆び一つせんよ……」 フルートが頷いて箱を受け取り、蓋を開く。 フルート すべてが……終わる…… ケストラー「ぐ……う…… おのれ…… にっ…… 人間…… どもめェェェ!! こ……ざ……か……し……」 箱の中へと吸い込まれてゆくケストラー。 城の外。 魔族が次々に消滅し、空の雲間から幾重もの光が降り注ぐ。 「おおっ!! 」 「おおっ…… 闇が……」 「消え……た!? 」 「いうことは……!! だが…… その裏で…… 城内。 トロンに一刀両断にされて倒れたはずの超獣王ギータ。 誰もいない戦場跡に残されていた、下半身だけが立ち上がる。 ギータ「ククク…… フフフ……うまく騙せたようですねェ!! 私を倒したと思ったようですが…… 超獣王 ウォーリア・キングギータ様は 体が二つあるのですよお! 」 恐ろしい計画が 進んでいた…… のである……!! ギータ「ハハハ……これだっ これこそ大魔王ケストラー様の いや……ケストラーの血痕!! 間違い……ない!! これで 私……の 野望が適いますよ」 ケストラーの血を嘗め、ギータの体がみるみる進化してゆく。 みっ 漲る……漲ってくる……!! 魔力が……!! あふれてくるぅぅ! 」 最大で最狂 最悪の ギータ「 これだ…… これが欲しかったのだぁぁ 魔力がねェェ 人間どもめェェ……!! 恐怖を与えてやるゥゥ 貴様らなぞ……道具に過ぎんのだ!! ハハハ」 ひょっこりと怪物化したコルネットが顔を出す。 コルネット「 聖母殺人伝説 ジェノサイド・エクストリーム!! 」 大魔王となったはずのギータがコルネットの攻撃を浴び、あっけなく一瞬で消滅する…… コルネット「フー 波にただよってる間に遅れてしまいましたわ みんなはどこかしら? その恐ろしい計画は…… コルネットの手によって防がれたのだったが…… そのことを知る者は誰もいなかった…… そして…… それから…… 10年の歳月が流れます…… スフォルツェンド公国 肖像画を見上げるクラーリィのもとへ、パーカスが書類の山を抱えてやって来る。 パーカス「おおっクラーリィ こんな所にいたか……助けてくれ 書類が多すぎて収拾がつかん 手伝ってくれんか? 」 クラーリィ「やれやれ それは法務官である……あなたの仕事じゃないですか……」 パーカス「そう しかしなぁ…… まったく 王女がこの城に残ってくれていれば 少しは楽ができたものを……」 クラーリィ「それは……いいっこなしですよ…… あなたも賛成したのだから」 パーカス「しかしなあ」 クラーリィ「 今頃…… どうしておられるのか……」 パーカス「おまえ まだ一人でいる気か? 」 パーカスが書類の山の半分をクラーリィに持たせる。 クラーリィ「わっ!! 」 パーカス「いつまでも中ブラの独身神官きどりおって そろそろ身を固めんか? 」 パーカスを押しのけ、子供たちがクラーリィに群がってくる。 パーカス「うわっ」 子供たち「魔法教えてよー! 」「ヤクソクでしょ? 」「そーだよ」「ねーっ」「テンリン教えてー! てんりん! 」 パーカス「コラッ 天輪なんてまだ早い! 」 クラーリィ「そーでした 子供たちとの約束がありまして…… すみません パーカス殿」 クラーリィが書類をパーカスに返す。 たちまち書類の山に埋もれるパーカス。 パーカス「うわっ」 クラーリィ「そーだな おまえたちが将来の…… スフォルツェンドを守るのだからなっ!! 」 パーカス やれやれ あーやって 子供たちとたわむれていると……懐かしいものを想い出すわい…… どうですか? リュート王子……ホルン様…… しかし……あの人らは…… どうしているのですかな…… ダル・セーニョ クルム「見事に復旧しましたね……」 団長「うむ 再建に着手して早10年…… 崩れた廃墟でしかなかったこの国が…… このように立派な姿に慣れたのは…… おぬしたち北の都に囚われていた者たちが力を貸してくれたお陰じゃよ」 クルム「いえ 我々にとってD・Sは新しい故郷です! 10年前……帰る場所のなかった我々を迎えてくれた…… この国が良い国となったのも…… すべてあの方の……」 すっかり成長したトロンが、屋根の上から街並みを見下ろしている。 団長「王っ!! そんな所におられると危ないですぞ! 」 トロン「ああっ じっちゃん クルム! おいしそうでしょ メープルナッツタルトも用意したのよ ウ……ウッ」 トロン「コ……」 突如、怪物化するコルネット。 とにかくいつものヤツを!! 」 トロン「 えーい とにかくシーザースラッシュー!! なんでオレ こんなのと一緒になったんだろ…… 」 団長「はあ まあ…… やれやれ……しかし…… あの方たちは……どうしておるのか……」 アンセムの村 「 だんな様 だんな様!! お産まれになられました!! 」 「 本当かい〜!! 」 「はいっ かわいらしい女の子でございます」 家の中に飛び込むライエル。 ベッドの上で、サイザーが可愛らしい赤ん坊を抱いている。 ライエル「 サイザー ああっサイザー ああっ ありがとうサイザー! ああっ この子が……」 サイザー「見てホラ……! 」 サイザー「じゃあ一緒に…… せーの」 2人「 オ カ リ ナ」 2人が見つめ合い、笑いあう。 ライエル「フッ」 サイザー「フフフッ」 オリン「あーっ サイザーさん…… めしはまだかえ〜」 オリンじいさんは サイザーたちと同居していた…… ライエル「おじいさん さっき食べたでしょ? 」 オリン「めしはまだ……かえ? 」 サイザー「 さっき食ったといったろうが!! 」 ライエル「……」 オリン「めしはまだ……」 サイザー「 えーい食ったといっとろうがあ!! 」 サイザーがオリン目掛けて鎌を振るう。 ライエル「 サイザーさん! 産後に急激な運動は!! 」 しかも ボケていた パンドラ「ついに産まれたのね……」 サイザー「 お母さん!! 」 パンドラも 同居していた…… 赤ん坊を抱き上げるパンドラ。 パンドラ「かわいらしい…… 赤ちゃん…… サイザーの赤ちゃんだった頃に そっくりね……」 赤ん坊を優しく抱きしめるパンドラを、ライエルとサイザーが微笑ましく見つめる。 パンドラ「この子が将来スクスク育って…… 大きくなって…… やがて美しい女の子に なった時……」 突然、パンドラがライエルの首を締め上げる。 パンドラ「 おまえ裏切るんだろう!? 知ってるんだぞ コンチキショー!! こんなハーメルンの赤い魔女なんかといっしょにならなきゃよかったと後悔してるんだろー? ええっ? こんな鳥女なんかよー 捨てようと思ってんだろう ゲスがぁ」 サイザー「母さん! ライエルはそんなこと思ってないぞ!! 」 オリン「め……めしは……」 そしてちょっと 母さん パンドラに対しての 認識を改めていた サイザーだった…… そして…… スタカット村 楽器を携えた9人の子供たち。 子供たち「 母さん 早くぅー!! 」 そして、指揮棒を手にしたフルート。 」「なんだこの曲は!? 」 屋根の上でバイオリンを奏でるハーメルを見、フルートがひっくり返る。 」 ハーメル「 ハハハハ ハハハハ どうだ! ハーメル「こーやって弾くともっとかっこいいぞ」 子供たち「へーっ」 フルート「あわわ もー何やってるのよ あなた!! 」 ハーメル「よぉフルート 懐かしいだろう」 フルート でも…… そうよね…… そうやってあなた…… バイオリンと共に…… 初めて 私と…… フルートがハーメルに出会ったときの想い出…… フルート「もーいいから降りて来なさいっ! 子供たちがマネするでしょ バカね! 」 ハーメル「バカッ! バカだと 貴様あー! 」 屋根から降りてきたハーメルが、子供たちに耳打ちする。 ハーメル「ちェっ 母さんな あんなこといってるけど 昔は変な着ぐるみいっぱい着ていたんだぞ サルとかカメとかF1とか」 子供「F1? バイオリンとベンチで互いを殴り合う。 」 フルート「 このー」 ハーメル「 コラー! 」 ハーメル「 なんだコラー! 」 ハーメルの家の窓から覗く部屋の中。 机の上にパンドラの箱。 傍ら、鳥の姿に戻ったオーボウがスヤスヤと眠っている。 いつかハーメルがフルートに買ってあげた人形が置かれている。

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ハーメルン の バイオリン 弾き

ハーメルンのバイオリン弾きの最終回 ハーメルンのバイオリン弾きの最終回 最終楽章 フィナーレ 〜終曲〜 《歓喜の歌》 その昔 全ての絶望を 封じ込めた箱が あった…… その箱を パンドラという女が 開けてしまった…… そして…… 大魔王ケストラーの城内で繰り広げられる、ハーメル一行対ケストラー、人類対魔族の最終決戦。 フルートを捕えた大魔王ケストラーが、彼女の喉笛に牙を近づける…… トロン「……」 ハーメル「……」 ケストラー「フッ ハハハ わかるぞ!! 」 飛び掛ろうとしたトロンを、ケストラーの爪が貫く。 トロン「ぐうっ……」 ケストラー「 ハハハ このようにな みんな死んだぞ 君の仲間はなあ……」 フルート「……!! 」 ケストラー「これまで君は…… 仲間の パーティー影になり光となり 支えてきたが……」 トロン「……」 ケストラー「我が愚息の魂のために…… 連れ添ってくれたことを感謝するよ」 放心状態だったフルートが我に返り、その惨状を見て涙を流し始める。 ケストラー「御苦労だったね しかし すべてが徒労に終わったようだ ライエルも…… サイザーも パンドラも オーボウも そして…… 君の愛しいハーメルもね ハハハハ」 ハーメル「……!! 」 ケストラー「 君もみんながいる死地へ…… 逝かせてあげよう」 遂にケストラーの牙が、フルートの喉に……。 ケストラー「 美味い……!! やはり…… 予想以上だ!!! この芳醇な味わい…… 美味し過ぎて体……から魔力が…… あふれ出しそうだあああ」 ケストラーの魔力の増大に呼応し、城外では魔族たちが強さを増し、人々を襲い始める。 「うわああっ」「な……なんだあー」「けっ…… 剣が……」 「ギィィ」 「魔法が……が……っ」「ギ……」 「効かぬ……! もがき絶望に 堕ちるのだ! このケストラーが恐怖を与えてやる! 苦痛を…… 怨みを 狂じる憎悪を 闇を 混沌を!! ケストラー「 あ なんだ……なんだ……この……!! 忌まわしい…… 光はぁ なんだというのだあ 小娘がぁ!! 」 フルートに詰め寄るケストラーを、フルートが跳ね飛ばす。 ケストラー「!! 」 フルート「 さがりなさい ケストラー!! 」 十字架の杖を手に、凛とした言い放つフルート。 フルート「 私は人類の守護国 スフォルツェンドの 女王フルートです!!! 」 ハーメル「……」 フルート そうだ…… 私……しかいない…… 私がみんなを助けるんだ…… 私にしかできない…… フルートが額の十字架を外し、天に掲げる。 フルート お母さん お兄ちゃん…… みんな…… 力を…… 貸してください!! 慈母神よ!! 十字架の光が、周囲に暖かく降り注ぐ。 ケストラー「ぐっ」 ハーメル「? ……」 ハーメル あっ暖かい…… 痛みが……!? ヒビ……が…… ふっ……服まで…… 光を浴びたハーメルたちの傷がみるみる癒され、身に着けていた服まで元通りになってゆく。 亀裂の入ったハーメルのバイオリンまでもが元の姿へと蘇る。 トロン「う…… あっ…… 体が…… ハーメル……」 ハーメル「トロン! 」 オーボウ「わし……は……? いったい…… どうしたというのじゃ……? 」 トロン「 オーボウ!! 」 オーボウに飛びつくトロン。 ライエルとサイザーもまた力を取り戻す。 2人に飛びつくトロン。 トロン「 サイザー! 」 サイザー「わっ!! 」 トロン「 ライエル! 奇跡だっ……!! 」 サイザー「いったい……」 ライエル「どうやって……? 」 トロン「うぅっ……」 一同が見たのは、神々しいまでの頬笑みを携えたフルートの姿。 サイザー「フルート…… フルート……か? 」 オーボウ「あれが……フルート……? 本当……か……? 姿……形は同じでも…… あの……威厳……神々しさは……どうだ……? 今までのフルートとは違う……まるで…… 幾人もの偉大な魂が……重なりあっているかのようじゃ……」 フルートの背に、オリンやリュート、仲間達の姿が浮かび上がる。 オーボウ 大きな試練を乗り越えてきた…… トロン そうだ……ドラムを倒した時の…… ホルン様の光……に……似ている…… サイザー いや それ以上だ…… あの時よりも ライエル 優しく……力強い…… ケストラー「おのれ……! 小賢しい人間めェェ 我が……道具の 分際……でェ……! 」 ハーメル「 よしっ ケストラーを…… 倒してやる! 」 一丸となるハーメルたち。 「 ダメよ! 」 一同を制止したのは、パンドラ。 パンドラ「魔力ではケストラーは 倒せないわ!! 憎しみが憎しみをうみ…… 苦しむだけ!! 」 ハーメル「母さ……ん」 パンドラ「 信じる力で戦うのよ!! 」 ハーメル「えっ? 」 パンドラ「今まで信じてきたものを…… 信じる力で戦うの!! フルート「 そう あなたには これしかないでしょ!! 」 バイオリンを差し出すフルート。 フルート「それに トレードマークを 忘れてるわよ! 」 角がむき出しのハーメルの頭に、帽子をかぶせる。 トロン「そうだハーメル! おまえには…… それしかないぜェ!! 」 サイザー「フン そうだな! 」 オーボウ「そうじゃハーメル!! 聴かせてやれ!! 」 ハーメル「ライエル 行こうぜ! 」 ライエル「 ハーちゃん……!! 」 ハーメルがバイオリンを、ライエルがピアノを構える。 ハーメル「 いくぜケストラー!! 貴様には…… 地獄の交響曲を聴かせてやる!! ベートーヴェン交響曲第九番……『第九』だあ!! 」 ケストラー「ぬうっ おのれェ 雑魚どもがああ!! 小賢しいわああ!! 」 ハーメルとライエルの奏でる魔曲に合わせ、一同の一斉攻撃が始まる。 サイザー「おおっ ワルキューレ!! 」 ワルキューレ「ダアー!! 」 ケストラー「 がぐあ……」 オーボウ 大作曲家ベートーヴェンが 耳が聴こえなくなる病の苦しみから復活し……最後に作った名作……まさに……運命を切り開く……歓喜の如く……! トロン「 シーザースラッシュ……!! 」 ケストラー「 ぐあっ! 」 ライエル「 火の鳥! 」 フルート ハーメル……出会った時も 曲を……弾いていたわね…… 曲に合わせ、フルートが歌い始める。 よろこびよ 美しい神の火花よ お前の天にあたる聖堂に進む! すべての人びとが兄弟となる すべてよろこびの声を合わせよ! ケストラー「ぬうっ」 サイザー「おお……これは……!! 」 サイザーがフルートの隣りに並び、共に歌声を奏で始める。 自分のものとしたものは 共に歌え! ワルキューレ「 おおっ 聖女二人のハーモニー!! 力がみなぎってくる!! 」 トロン「 不思議だ! 力がどんどん沸いてくる!! 肉体が! 精神が! 」 オーボウ パンドラ様……フルート…… 抱き合おう もろびとよ! 歌声は城の外にまで響き渡る。 「聞こえるか……? 」「この曲! 」「これは!! 」 このくちづけを 全世界に! 「見ろ……体が……! 」「傷が治っていく! 」「おおっ!! 」 クラーリィ「王女……」 「対照的に魔族の力が弱っていくぞ!! 」「おおっ! 」 「生命が沸いてくる!! 」「わしらも歌おう!! 」 「 まだ戦えるぞ!! 」 兄弟たちよ お前たちの道を進め! よろこびをもって英雄が 勝利の道を進むように! サイザー 仲間……そうだ……私は……みんなに……会わなければ…… 一堂の一斉攻撃が続く。 サイザー「 フン!! ケストラー「再生……できない!! 人間……めェ……」 光の天使ケルビムは 神の御前に立つ! ケストラー「このケストラーに利用されるだけ……の…… 存在のくせに……! 道具の……くせに……! くだら……ん!! 」 星空の彼方に神を求めよ! 星の彼方に必ず主はすみたもう! 」 ハーメルがバイオリンをパンドラに差し出す。 ハーメル「母さん 続き……を 弾いてくれ! 」 羽毛が舞い、ハーメルの背から輝かんばかりに真っ白な翼が開く。 ライエル「ハーちゃん!! 黒い翼……ではなく…… 」 サイザー 白い翼……そうか…… パンドラ ケストラーの血を受け継ぐということは…… 聖女 パンドラの天使の血も…… ハーメルの体が宙に舞う。 オーボウ 憎しみで倒すのではない……運命を切り開くため…… フルート いつか見た……夢…… ハーメル「 ケストラああ……」 ケストラー「 この……人間めェェェ」 ハーメルの振るう拳が、ケストラーの顔面を砕く。 ケストラー「ぐっ…… あぐっ この…… 大魔王…… ケスト……ラ…… が……」 血を吐きつつ倒れてゆくケストラー。 「 そろそろ頃合……かの……」 一同のもとに、オリンじいさんが現れる。 トロン「 オリンじいさん!! なんでここに……!? 」 オリン「なんじゃその嫌そうな顔は……? 来ちゃいけなかったのかい? 何……そろそろ終いにせんとな…… これだけ弱らせれば……大丈夫じゃろ ほれっ」 オリンがフルートに小箱を差し出す。 オリン「 聖女 あんたの役割じゃ…… 終いにしてやってくれ…… 大丈夫……今度のモノは……逸品じゃ 何千年経とうが……錆び一つせんよ……」 フルートが頷いて箱を受け取り、蓋を開く。 フルート すべてが……終わる…… ケストラー「ぐ……う…… おのれ…… にっ…… 人間…… どもめェェェ!! こ……ざ……か……し……」 箱の中へと吸い込まれてゆくケストラー。 城の外。 魔族が次々に消滅し、空の雲間から幾重もの光が降り注ぐ。 「おおっ!! 」 「おおっ…… 闇が……」 「消え……た!? 」 「いうことは……!! だが…… その裏で…… 城内。 トロンに一刀両断にされて倒れたはずの超獣王ギータ。 誰もいない戦場跡に残されていた、下半身だけが立ち上がる。 ギータ「ククク…… フフフ……うまく騙せたようですねェ!! 私を倒したと思ったようですが…… 超獣王 ウォーリア・キングギータ様は 体が二つあるのですよお! 」 恐ろしい計画が 進んでいた…… のである……!! ギータ「ハハハ……これだっ これこそ大魔王ケストラー様の いや……ケストラーの血痕!! 間違い……ない!! これで 私……の 野望が適いますよ」 ケストラーの血を嘗め、ギータの体がみるみる進化してゆく。 みっ 漲る……漲ってくる……!! 魔力が……!! あふれてくるぅぅ! 」 最大で最狂 最悪の ギータ「 これだ…… これが欲しかったのだぁぁ 魔力がねェェ 人間どもめェェ……!! 恐怖を与えてやるゥゥ 貴様らなぞ……道具に過ぎんのだ!! ハハハ」 ひょっこりと怪物化したコルネットが顔を出す。 コルネット「 聖母殺人伝説 ジェノサイド・エクストリーム!! 」 大魔王となったはずのギータがコルネットの攻撃を浴び、あっけなく一瞬で消滅する…… コルネット「フー 波にただよってる間に遅れてしまいましたわ みんなはどこかしら? その恐ろしい計画は…… コルネットの手によって防がれたのだったが…… そのことを知る者は誰もいなかった…… そして…… それから…… 10年の歳月が流れます…… スフォルツェンド公国 肖像画を見上げるクラーリィのもとへ、パーカスが書類の山を抱えてやって来る。 パーカス「おおっクラーリィ こんな所にいたか……助けてくれ 書類が多すぎて収拾がつかん 手伝ってくれんか? 」 クラーリィ「やれやれ それは法務官である……あなたの仕事じゃないですか……」 パーカス「そう しかしなぁ…… まったく 王女がこの城に残ってくれていれば 少しは楽ができたものを……」 クラーリィ「それは……いいっこなしですよ…… あなたも賛成したのだから」 パーカス「しかしなあ」 クラーリィ「 今頃…… どうしておられるのか……」 パーカス「おまえ まだ一人でいる気か? 」 パーカスが書類の山の半分をクラーリィに持たせる。 クラーリィ「わっ!! 」 パーカス「いつまでも中ブラの独身神官きどりおって そろそろ身を固めんか? 」 パーカスを押しのけ、子供たちがクラーリィに群がってくる。 パーカス「うわっ」 子供たち「魔法教えてよー! 」「ヤクソクでしょ? 」「そーだよ」「ねーっ」「テンリン教えてー! てんりん! 」 パーカス「コラッ 天輪なんてまだ早い! 」 クラーリィ「そーでした 子供たちとの約束がありまして…… すみません パーカス殿」 クラーリィが書類をパーカスに返す。 たちまち書類の山に埋もれるパーカス。 パーカス「うわっ」 クラーリィ「そーだな おまえたちが将来の…… スフォルツェンドを守るのだからなっ!! 」 パーカス やれやれ あーやって 子供たちとたわむれていると……懐かしいものを想い出すわい…… どうですか? リュート王子……ホルン様…… しかし……あの人らは…… どうしているのですかな…… ダル・セーニョ クルム「見事に復旧しましたね……」 団長「うむ 再建に着手して早10年…… 崩れた廃墟でしかなかったこの国が…… このように立派な姿に慣れたのは…… おぬしたち北の都に囚われていた者たちが力を貸してくれたお陰じゃよ」 クルム「いえ 我々にとってD・Sは新しい故郷です! 10年前……帰る場所のなかった我々を迎えてくれた…… この国が良い国となったのも…… すべてあの方の……」 すっかり成長したトロンが、屋根の上から街並みを見下ろしている。 団長「王っ!! そんな所におられると危ないですぞ! 」 トロン「ああっ じっちゃん クルム! おいしそうでしょ メープルナッツタルトも用意したのよ ウ……ウッ」 トロン「コ……」 突如、怪物化するコルネット。 とにかくいつものヤツを!! 」 トロン「 えーい とにかくシーザースラッシュー!! なんでオレ こんなのと一緒になったんだろ…… 」 団長「はあ まあ…… やれやれ……しかし…… あの方たちは……どうしておるのか……」 アンセムの村 「 だんな様 だんな様!! お産まれになられました!! 」 「 本当かい〜!! 」 「はいっ かわいらしい女の子でございます」 家の中に飛び込むライエル。 ベッドの上で、サイザーが可愛らしい赤ん坊を抱いている。 ライエル「 サイザー ああっサイザー ああっ ありがとうサイザー! ああっ この子が……」 サイザー「見てホラ……! 」 サイザー「じゃあ一緒に…… せーの」 2人「 オ カ リ ナ」 2人が見つめ合い、笑いあう。 ライエル「フッ」 サイザー「フフフッ」 オリン「あーっ サイザーさん…… めしはまだかえ〜」 オリンじいさんは サイザーたちと同居していた…… ライエル「おじいさん さっき食べたでしょ? 」 オリン「めしはまだ……かえ? 」 サイザー「 さっき食ったといったろうが!! 」 ライエル「……」 オリン「めしはまだ……」 サイザー「 えーい食ったといっとろうがあ!! 」 サイザーがオリン目掛けて鎌を振るう。 ライエル「 サイザーさん! 産後に急激な運動は!! 」 しかも ボケていた パンドラ「ついに産まれたのね……」 サイザー「 お母さん!! 」 パンドラも 同居していた…… 赤ん坊を抱き上げるパンドラ。 パンドラ「かわいらしい…… 赤ちゃん…… サイザーの赤ちゃんだった頃に そっくりね……」 赤ん坊を優しく抱きしめるパンドラを、ライエルとサイザーが微笑ましく見つめる。 パンドラ「この子が将来スクスク育って…… 大きくなって…… やがて美しい女の子に なった時……」 突然、パンドラがライエルの首を締め上げる。 パンドラ「 おまえ裏切るんだろう!? 知ってるんだぞ コンチキショー!! こんなハーメルンの赤い魔女なんかといっしょにならなきゃよかったと後悔してるんだろー? ええっ? こんな鳥女なんかよー 捨てようと思ってんだろう ゲスがぁ」 サイザー「母さん! ライエルはそんなこと思ってないぞ!! 」 オリン「め……めしは……」 そしてちょっと 母さん パンドラに対しての 認識を改めていた サイザーだった…… そして…… スタカット村 楽器を携えた9人の子供たち。 子供たち「 母さん 早くぅー!! 」 そして、指揮棒を手にしたフルート。 」「なんだこの曲は!? 」 屋根の上でバイオリンを奏でるハーメルを見、フルートがひっくり返る。 」 ハーメル「 ハハハハ ハハハハ どうだ! ハーメル「こーやって弾くともっとかっこいいぞ」 子供たち「へーっ」 フルート「あわわ もー何やってるのよ あなた!! 」 ハーメル「よぉフルート 懐かしいだろう」 フルート でも…… そうよね…… そうやってあなた…… バイオリンと共に…… 初めて 私と…… フルートがハーメルに出会ったときの想い出…… フルート「もーいいから降りて来なさいっ! 子供たちがマネするでしょ バカね! 」 ハーメル「バカッ! バカだと 貴様あー! 」 屋根から降りてきたハーメルが、子供たちに耳打ちする。 ハーメル「ちェっ 母さんな あんなこといってるけど 昔は変な着ぐるみいっぱい着ていたんだぞ サルとかカメとかF1とか」 子供「F1? バイオリンとベンチで互いを殴り合う。 」 フルート「 このー」 ハーメル「 コラー! 」 ハーメル「 なんだコラー! 」 ハーメルの家の窓から覗く部屋の中。 机の上にパンドラの箱。 傍ら、鳥の姿に戻ったオーボウがスヤスヤと眠っている。 いつかハーメルがフルートに買ってあげた人形が置かれている。

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ハーメルン の バイオリン 弾き

ハーメルンのバイオリン弾きの最終回 ハーメルンのバイオリン弾きの最終回 最終楽章 フィナーレ 〜終曲〜 《歓喜の歌》 その昔 全ての絶望を 封じ込めた箱が あった…… その箱を パンドラという女が 開けてしまった…… そして…… 大魔王ケストラーの城内で繰り広げられる、ハーメル一行対ケストラー、人類対魔族の最終決戦。 フルートを捕えた大魔王ケストラーが、彼女の喉笛に牙を近づける…… トロン「……」 ハーメル「……」 ケストラー「フッ ハハハ わかるぞ!! 」 飛び掛ろうとしたトロンを、ケストラーの爪が貫く。 トロン「ぐうっ……」 ケストラー「 ハハハ このようにな みんな死んだぞ 君の仲間はなあ……」 フルート「……!! 」 ケストラー「これまで君は…… 仲間の パーティー影になり光となり 支えてきたが……」 トロン「……」 ケストラー「我が愚息の魂のために…… 連れ添ってくれたことを感謝するよ」 放心状態だったフルートが我に返り、その惨状を見て涙を流し始める。 ケストラー「御苦労だったね しかし すべてが徒労に終わったようだ ライエルも…… サイザーも パンドラも オーボウも そして…… 君の愛しいハーメルもね ハハハハ」 ハーメル「……!! 」 ケストラー「 君もみんながいる死地へ…… 逝かせてあげよう」 遂にケストラーの牙が、フルートの喉に……。 ケストラー「 美味い……!! やはり…… 予想以上だ!!! この芳醇な味わい…… 美味し過ぎて体……から魔力が…… あふれ出しそうだあああ」 ケストラーの魔力の増大に呼応し、城外では魔族たちが強さを増し、人々を襲い始める。 「うわああっ」「な……なんだあー」「けっ…… 剣が……」 「ギィィ」 「魔法が……が……っ」「ギ……」 「効かぬ……! もがき絶望に 堕ちるのだ! このケストラーが恐怖を与えてやる! 苦痛を…… 怨みを 狂じる憎悪を 闇を 混沌を!! ケストラー「 あ なんだ……なんだ……この……!! 忌まわしい…… 光はぁ なんだというのだあ 小娘がぁ!! 」 フルートに詰め寄るケストラーを、フルートが跳ね飛ばす。 ケストラー「!! 」 フルート「 さがりなさい ケストラー!! 」 十字架の杖を手に、凛とした言い放つフルート。 フルート「 私は人類の守護国 スフォルツェンドの 女王フルートです!!! 」 ハーメル「……」 フルート そうだ…… 私……しかいない…… 私がみんなを助けるんだ…… 私にしかできない…… フルートが額の十字架を外し、天に掲げる。 フルート お母さん お兄ちゃん…… みんな…… 力を…… 貸してください!! 慈母神よ!! 十字架の光が、周囲に暖かく降り注ぐ。 ケストラー「ぐっ」 ハーメル「? ……」 ハーメル あっ暖かい…… 痛みが……!? ヒビ……が…… ふっ……服まで…… 光を浴びたハーメルたちの傷がみるみる癒され、身に着けていた服まで元通りになってゆく。 亀裂の入ったハーメルのバイオリンまでもが元の姿へと蘇る。 トロン「う…… あっ…… 体が…… ハーメル……」 ハーメル「トロン! 」 オーボウ「わし……は……? いったい…… どうしたというのじゃ……? 」 トロン「 オーボウ!! 」 オーボウに飛びつくトロン。 ライエルとサイザーもまた力を取り戻す。 2人に飛びつくトロン。 トロン「 サイザー! 」 サイザー「わっ!! 」 トロン「 ライエル! 奇跡だっ……!! 」 サイザー「いったい……」 ライエル「どうやって……? 」 トロン「うぅっ……」 一同が見たのは、神々しいまでの頬笑みを携えたフルートの姿。 サイザー「フルート…… フルート……か? 」 オーボウ「あれが……フルート……? 本当……か……? 姿……形は同じでも…… あの……威厳……神々しさは……どうだ……? 今までのフルートとは違う……まるで…… 幾人もの偉大な魂が……重なりあっているかのようじゃ……」 フルートの背に、オリンやリュート、仲間達の姿が浮かび上がる。 オーボウ 大きな試練を乗り越えてきた…… トロン そうだ……ドラムを倒した時の…… ホルン様の光……に……似ている…… サイザー いや それ以上だ…… あの時よりも ライエル 優しく……力強い…… ケストラー「おのれ……! 小賢しい人間めェェ 我が……道具の 分際……でェ……! 」 ハーメル「 よしっ ケストラーを…… 倒してやる! 」 一丸となるハーメルたち。 「 ダメよ! 」 一同を制止したのは、パンドラ。 パンドラ「魔力ではケストラーは 倒せないわ!! 憎しみが憎しみをうみ…… 苦しむだけ!! 」 ハーメル「母さ……ん」 パンドラ「 信じる力で戦うのよ!! 」 ハーメル「えっ? 」 パンドラ「今まで信じてきたものを…… 信じる力で戦うの!! フルート「 そう あなたには これしかないでしょ!! 」 バイオリンを差し出すフルート。 フルート「それに トレードマークを 忘れてるわよ! 」 角がむき出しのハーメルの頭に、帽子をかぶせる。 トロン「そうだハーメル! おまえには…… それしかないぜェ!! 」 サイザー「フン そうだな! 」 オーボウ「そうじゃハーメル!! 聴かせてやれ!! 」 ハーメル「ライエル 行こうぜ! 」 ライエル「 ハーちゃん……!! 」 ハーメルがバイオリンを、ライエルがピアノを構える。 ハーメル「 いくぜケストラー!! 貴様には…… 地獄の交響曲を聴かせてやる!! ベートーヴェン交響曲第九番……『第九』だあ!! 」 ケストラー「ぬうっ おのれェ 雑魚どもがああ!! 小賢しいわああ!! 」 ハーメルとライエルの奏でる魔曲に合わせ、一同の一斉攻撃が始まる。 サイザー「おおっ ワルキューレ!! 」 ワルキューレ「ダアー!! 」 ケストラー「 がぐあ……」 オーボウ 大作曲家ベートーヴェンが 耳が聴こえなくなる病の苦しみから復活し……最後に作った名作……まさに……運命を切り開く……歓喜の如く……! トロン「 シーザースラッシュ……!! 」 ケストラー「 ぐあっ! 」 ライエル「 火の鳥! 」 フルート ハーメル……出会った時も 曲を……弾いていたわね…… 曲に合わせ、フルートが歌い始める。 よろこびよ 美しい神の火花よ お前の天にあたる聖堂に進む! すべての人びとが兄弟となる すべてよろこびの声を合わせよ! ケストラー「ぬうっ」 サイザー「おお……これは……!! 」 サイザーがフルートの隣りに並び、共に歌声を奏で始める。 自分のものとしたものは 共に歌え! ワルキューレ「 おおっ 聖女二人のハーモニー!! 力がみなぎってくる!! 」 トロン「 不思議だ! 力がどんどん沸いてくる!! 肉体が! 精神が! 」 オーボウ パンドラ様……フルート…… 抱き合おう もろびとよ! 歌声は城の外にまで響き渡る。 「聞こえるか……? 」「この曲! 」「これは!! 」 このくちづけを 全世界に! 「見ろ……体が……! 」「傷が治っていく! 」「おおっ!! 」 クラーリィ「王女……」 「対照的に魔族の力が弱っていくぞ!! 」「おおっ! 」 「生命が沸いてくる!! 」「わしらも歌おう!! 」 「 まだ戦えるぞ!! 」 兄弟たちよ お前たちの道を進め! よろこびをもって英雄が 勝利の道を進むように! サイザー 仲間……そうだ……私は……みんなに……会わなければ…… 一堂の一斉攻撃が続く。 サイザー「 フン!! ケストラー「再生……できない!! 人間……めェ……」 光の天使ケルビムは 神の御前に立つ! ケストラー「このケストラーに利用されるだけ……の…… 存在のくせに……! 道具の……くせに……! くだら……ん!! 」 星空の彼方に神を求めよ! 星の彼方に必ず主はすみたもう! 」 ハーメルがバイオリンをパンドラに差し出す。 ハーメル「母さん 続き……を 弾いてくれ! 」 羽毛が舞い、ハーメルの背から輝かんばかりに真っ白な翼が開く。 ライエル「ハーちゃん!! 黒い翼……ではなく…… 」 サイザー 白い翼……そうか…… パンドラ ケストラーの血を受け継ぐということは…… 聖女 パンドラの天使の血も…… ハーメルの体が宙に舞う。 オーボウ 憎しみで倒すのではない……運命を切り開くため…… フルート いつか見た……夢…… ハーメル「 ケストラああ……」 ケストラー「 この……人間めェェェ」 ハーメルの振るう拳が、ケストラーの顔面を砕く。 ケストラー「ぐっ…… あぐっ この…… 大魔王…… ケスト……ラ…… が……」 血を吐きつつ倒れてゆくケストラー。 「 そろそろ頃合……かの……」 一同のもとに、オリンじいさんが現れる。 トロン「 オリンじいさん!! なんでここに……!? 」 オリン「なんじゃその嫌そうな顔は……? 来ちゃいけなかったのかい? 何……そろそろ終いにせんとな…… これだけ弱らせれば……大丈夫じゃろ ほれっ」 オリンがフルートに小箱を差し出す。 オリン「 聖女 あんたの役割じゃ…… 終いにしてやってくれ…… 大丈夫……今度のモノは……逸品じゃ 何千年経とうが……錆び一つせんよ……」 フルートが頷いて箱を受け取り、蓋を開く。 フルート すべてが……終わる…… ケストラー「ぐ……う…… おのれ…… にっ…… 人間…… どもめェェェ!! こ……ざ……か……し……」 箱の中へと吸い込まれてゆくケストラー。 城の外。 魔族が次々に消滅し、空の雲間から幾重もの光が降り注ぐ。 「おおっ!! 」 「おおっ…… 闇が……」 「消え……た!? 」 「いうことは……!! だが…… その裏で…… 城内。 トロンに一刀両断にされて倒れたはずの超獣王ギータ。 誰もいない戦場跡に残されていた、下半身だけが立ち上がる。 ギータ「ククク…… フフフ……うまく騙せたようですねェ!! 私を倒したと思ったようですが…… 超獣王 ウォーリア・キングギータ様は 体が二つあるのですよお! 」 恐ろしい計画が 進んでいた…… のである……!! ギータ「ハハハ……これだっ これこそ大魔王ケストラー様の いや……ケストラーの血痕!! 間違い……ない!! これで 私……の 野望が適いますよ」 ケストラーの血を嘗め、ギータの体がみるみる進化してゆく。 みっ 漲る……漲ってくる……!! 魔力が……!! あふれてくるぅぅ! 」 最大で最狂 最悪の ギータ「 これだ…… これが欲しかったのだぁぁ 魔力がねェェ 人間どもめェェ……!! 恐怖を与えてやるゥゥ 貴様らなぞ……道具に過ぎんのだ!! ハハハ」 ひょっこりと怪物化したコルネットが顔を出す。 コルネット「 聖母殺人伝説 ジェノサイド・エクストリーム!! 」 大魔王となったはずのギータがコルネットの攻撃を浴び、あっけなく一瞬で消滅する…… コルネット「フー 波にただよってる間に遅れてしまいましたわ みんなはどこかしら? その恐ろしい計画は…… コルネットの手によって防がれたのだったが…… そのことを知る者は誰もいなかった…… そして…… それから…… 10年の歳月が流れます…… スフォルツェンド公国 肖像画を見上げるクラーリィのもとへ、パーカスが書類の山を抱えてやって来る。 パーカス「おおっクラーリィ こんな所にいたか……助けてくれ 書類が多すぎて収拾がつかん 手伝ってくれんか? 」 クラーリィ「やれやれ それは法務官である……あなたの仕事じゃないですか……」 パーカス「そう しかしなぁ…… まったく 王女がこの城に残ってくれていれば 少しは楽ができたものを……」 クラーリィ「それは……いいっこなしですよ…… あなたも賛成したのだから」 パーカス「しかしなあ」 クラーリィ「 今頃…… どうしておられるのか……」 パーカス「おまえ まだ一人でいる気か? 」 パーカスが書類の山の半分をクラーリィに持たせる。 クラーリィ「わっ!! 」 パーカス「いつまでも中ブラの独身神官きどりおって そろそろ身を固めんか? 」 パーカスを押しのけ、子供たちがクラーリィに群がってくる。 パーカス「うわっ」 子供たち「魔法教えてよー! 」「ヤクソクでしょ? 」「そーだよ」「ねーっ」「テンリン教えてー! てんりん! 」 パーカス「コラッ 天輪なんてまだ早い! 」 クラーリィ「そーでした 子供たちとの約束がありまして…… すみません パーカス殿」 クラーリィが書類をパーカスに返す。 たちまち書類の山に埋もれるパーカス。 パーカス「うわっ」 クラーリィ「そーだな おまえたちが将来の…… スフォルツェンドを守るのだからなっ!! 」 パーカス やれやれ あーやって 子供たちとたわむれていると……懐かしいものを想い出すわい…… どうですか? リュート王子……ホルン様…… しかし……あの人らは…… どうしているのですかな…… ダル・セーニョ クルム「見事に復旧しましたね……」 団長「うむ 再建に着手して早10年…… 崩れた廃墟でしかなかったこの国が…… このように立派な姿に慣れたのは…… おぬしたち北の都に囚われていた者たちが力を貸してくれたお陰じゃよ」 クルム「いえ 我々にとってD・Sは新しい故郷です! 10年前……帰る場所のなかった我々を迎えてくれた…… この国が良い国となったのも…… すべてあの方の……」 すっかり成長したトロンが、屋根の上から街並みを見下ろしている。 団長「王っ!! そんな所におられると危ないですぞ! 」 トロン「ああっ じっちゃん クルム! おいしそうでしょ メープルナッツタルトも用意したのよ ウ……ウッ」 トロン「コ……」 突如、怪物化するコルネット。 とにかくいつものヤツを!! 」 トロン「 えーい とにかくシーザースラッシュー!! なんでオレ こんなのと一緒になったんだろ…… 」 団長「はあ まあ…… やれやれ……しかし…… あの方たちは……どうしておるのか……」 アンセムの村 「 だんな様 だんな様!! お産まれになられました!! 」 「 本当かい〜!! 」 「はいっ かわいらしい女の子でございます」 家の中に飛び込むライエル。 ベッドの上で、サイザーが可愛らしい赤ん坊を抱いている。 ライエル「 サイザー ああっサイザー ああっ ありがとうサイザー! ああっ この子が……」 サイザー「見てホラ……! 」 サイザー「じゃあ一緒に…… せーの」 2人「 オ カ リ ナ」 2人が見つめ合い、笑いあう。 ライエル「フッ」 サイザー「フフフッ」 オリン「あーっ サイザーさん…… めしはまだかえ〜」 オリンじいさんは サイザーたちと同居していた…… ライエル「おじいさん さっき食べたでしょ? 」 オリン「めしはまだ……かえ? 」 サイザー「 さっき食ったといったろうが!! 」 ライエル「……」 オリン「めしはまだ……」 サイザー「 えーい食ったといっとろうがあ!! 」 サイザーがオリン目掛けて鎌を振るう。 ライエル「 サイザーさん! 産後に急激な運動は!! 」 しかも ボケていた パンドラ「ついに産まれたのね……」 サイザー「 お母さん!! 」 パンドラも 同居していた…… 赤ん坊を抱き上げるパンドラ。 パンドラ「かわいらしい…… 赤ちゃん…… サイザーの赤ちゃんだった頃に そっくりね……」 赤ん坊を優しく抱きしめるパンドラを、ライエルとサイザーが微笑ましく見つめる。 パンドラ「この子が将来スクスク育って…… 大きくなって…… やがて美しい女の子に なった時……」 突然、パンドラがライエルの首を締め上げる。 パンドラ「 おまえ裏切るんだろう!? 知ってるんだぞ コンチキショー!! こんなハーメルンの赤い魔女なんかといっしょにならなきゃよかったと後悔してるんだろー? ええっ? こんな鳥女なんかよー 捨てようと思ってんだろう ゲスがぁ」 サイザー「母さん! ライエルはそんなこと思ってないぞ!! 」 オリン「め……めしは……」 そしてちょっと 母さん パンドラに対しての 認識を改めていた サイザーだった…… そして…… スタカット村 楽器を携えた9人の子供たち。 子供たち「 母さん 早くぅー!! 」 そして、指揮棒を手にしたフルート。 」「なんだこの曲は!? 」 屋根の上でバイオリンを奏でるハーメルを見、フルートがひっくり返る。 」 ハーメル「 ハハハハ ハハハハ どうだ! ハーメル「こーやって弾くともっとかっこいいぞ」 子供たち「へーっ」 フルート「あわわ もー何やってるのよ あなた!! 」 ハーメル「よぉフルート 懐かしいだろう」 フルート でも…… そうよね…… そうやってあなた…… バイオリンと共に…… 初めて 私と…… フルートがハーメルに出会ったときの想い出…… フルート「もーいいから降りて来なさいっ! 子供たちがマネするでしょ バカね! 」 ハーメル「バカッ! バカだと 貴様あー! 」 屋根から降りてきたハーメルが、子供たちに耳打ちする。 ハーメル「ちェっ 母さんな あんなこといってるけど 昔は変な着ぐるみいっぱい着ていたんだぞ サルとかカメとかF1とか」 子供「F1? バイオリンとベンチで互いを殴り合う。 」 フルート「 このー」 ハーメル「 コラー! 」 ハーメル「 なんだコラー! 」 ハーメルの家の窓から覗く部屋の中。 机の上にパンドラの箱。 傍ら、鳥の姿に戻ったオーボウがスヤスヤと眠っている。 いつかハーメルがフルートに買ってあげた人形が置かれている。

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