尼崎 事件 今日。 『家族喰い』 尼崎連続変死事件の真相

尼崎連続変死事件 26歳の被害女性に対する凄惨な虐待内容

尼崎 事件 今日

作者:村山満明、大倉得史、稲葉光行 出版社:現代人文社 発売日:2016-01-05• 尼崎事件は兵庫県尼崎市を中心に複数の家族が監禁・虐待され、死へ追いやられた連続殺人事件である。 首謀者の角田美代子は、長年に渡り、様々な家族を乗っ取り、金を脅し取ったうえで、崩壊させていった。 その過程では、少なくとも9人が死へ追いやられており、しかも角田美代子が直接手を下すのではなく、取り込んだ家族を意のままに操り、家族同士で暴力を振るわせ壊滅させたことが特徴とされる。 逮捕から約1年後の2012年12月12日、角田美代子は留置場で自殺した。 そのため本事件の真相が永遠に解明されない可能性は高い。 だがそれを、巻き込まれた一人の人物の視点へ着目することによって、この事件がどのように起こりえたのか解明しようと試みたのが、本書『尼崎事件 支配・服従の心理分析』だ。 著者は、被告人Aの弁護団から依頼され情状鑑定を引き受けた、心理学者および情報科学研究者のグループ。 実際に、裁判で提出した情状鑑定の報告書を加筆・修正したうえで、刊行された。 被告人Aとは、2006年から尼崎事件の主犯であった角田美代子と同居し、尼崎事件として総称される事件の一部へ関与した岡島泰夫(仮名)。 岡島は2件の殺人のほか、監禁、死体遺棄など4件の事件で起訴され、懲役15年の判決が下されている。 それにしても、暴力団等の組織に属していたわけでもない一人の中年女性に、これほど多くの家族が巻き込まれ、壊滅させられてしまったというのは、一体どういうことなのか。 これまでほとんど類例がなかったと思われる事件の謎を、心理学的なバックボーンから紐解いていく。 ちなみに、ここで使用される心理学とは主に「ミルグラムの実験」と「スタンフォード監獄実験」の2つを指す。 「ミルグラムの実験」は、ごく普通の一般人たちが、科学の発展に資する実験の実行者という役割を与えられ、研究者の指示にきちんと従うよう要請されただけで、通常自分からは決して行わないような残虐な行為をいとも簡単に実行してしまった実験のことである。 一方、ジルバルドーの「スタンフォード監獄実験」は、スタンフォード大学に模擬刑務所を造り、心身ともに健康な男子学生の被験者24名を無作為に囚人役と看守役に分けて、看守に囚人の監視をさせたものである。 開始後数日のうちに、看守役が行動をエスカレートさせ、囚人役に病的兆候を示すものが出てきたため、わずか6日で実験中止になったことでも知られている。 これら2つの実験から導かれるのは、「個人の人格」よりも「状況の力」が優位に立つことにより、権力構造の中では、いとも簡単に特殊な心理状態へ移行するという事実である。 しばしば人の行動を決めるのは、その人がどういう人物かではなく、どういう状況に置かれるかということに依存するのだ。 事実、岡島のパーソナリティ分析の結果からも、大きな偏りはなかったことが明らかになったという。 本書の恐ろしさは、3度に分かれてやってくる。 まず最初に訪れるのは、本書に描かれた凄惨な記述による畏怖だ。 尼崎事件に関しては、あまりにも事件の全貌が複雑すぎて、理解するだけでも難しい。 しかし巻き込まれた加害者・岡島康夫の視点にフォーカスを絞ることで、様々なターニングポイントがクリアになってくる。 夜を徹して家族会議を行い、なぜか角田美代子への忠誠を誓い合う。 命じられるままに、他人の見ている前で夫婦がセックスをする。 逃げても逃げても、毎回必ず連れ戻される。 家族同士で殴り合いをさせられ、やがて殺し合いへと発展する。 その後は死体の解体作業までもを、表情一つ変えずに行う。 思わず目を背けたくなるような情景が、学術的なトーンで淡々と綴られていく。 次に訪れるのは、このような服従のテクニックに対して、世の中があまりにも無知で無防備であるということへの恐怖感である。 いわば「サイコパス」と称されたり、「社会の闇」と形容されることで片付けられがちであるが、この凄惨きわまりない行為が「状況の力」や「服従の心理」に精通すれば、スキルとして身につけられる類のものであることが見えてくる。 最後は、これだけ状況の力が支配的であるならば、もし自分が同じ立場になった時にも同様の行為を実行するかもしれないという恐怖である。 パーツ、パーツだけを眺めていけば、荒唐無稽な行為をしているようにしか思えないが、それは日常という高みから眺めているからにすぎない。 この悪魔の階段は、途中まで階段とは気づかぬほど緩やかで、気づいたときには既に逃れることが難しい。 本書の後半では、岡島の置かれた状況を時系列に並べながら、その時々における岡島の心理状況が分析されていく。 キーワードは、「無力化」と「断絶化」である。 始まりは、たった20万円の借金からであった。 角田美代子がまず恩を着せ、貸しを作る。 タイミングを見て難癖をつけ、恫喝する。 さらに親分的な役割に徹し、社会生活の場から切り離していく。 その後は異常な執拗さで、何度も迫る。 誰も気づかないところで無力化と断絶化のプロセスが開始し、徐々に相手に対する優越性が確立されていく。 これを著者は、以下のような図式にまとめている。 その積み重ねから、やがてロボットのような存在に成り下がり、美代子の犯罪行為を幇助する羽目へと陥っていく。 家庭内暴力、カルト宗教、強制収容所、刑務所、軍隊等で用いられる、人間を奴隷化するための方策は、古今東西を問わず非常に似通っているのだという。 昨今メディアを賑わす、野球賭博、ブラック企業、覚せい剤やテロといった大きな事件であっても、最初は実に小さな一歩から始まったことだろう。 本書に書かれている内容は、同じような状態に置かれた際、誰にでも起こりうることとして理解すべきであり、しかも出来るだけ早い段階で気付くことにしか防ぐ手段はない。 人間を人間たらしめているのは、社会の中で生きてこそだ。 他者との関係において存在する「自己」の感覚が粉砕されてからでは、もう遅い。

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尼崎連続変死事件 26歳の被害女性に対する凄惨な虐待内容

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兵庫県尼崎市の連続変死・行方不明事件で、男女3人への殺人や詐欺などの罪に問われた角田美代子元被告=自殺、当時(64)=の義妹、角田三枝子被告(62)。 一連の事件の関係者の中でも、〝ファミリー〟を率いた首謀者とされる元被告のそばに約40年間、寄り添い続けた「事件のキーマン」とも言える人物だ。 風俗で稼いだ約3億円もの金を「疑似家族」の家計に回し、お腹を痛めて産んだ息子まで差し出す…。 これまでの公判で明らかになったのは、ときに元被告への「殺意」を胸に秘めながらも、想像を絶する忠誠ぶりを示してきた悲惨で壮絶な人生だった。 (佐藤祐介) 決定づけられた主従関係 2人の出会いは、幼少期のころまでさかのぼる。 昨年11月21日に開かれた元被告の次男、優太郎受刑者(28)=殺人罪などで懲役17年の判決確定=の公判に証人出廷した際の三枝子被告の証言などによると、三枝子被告の家族が、元被告の母親の家を間借りしたことが2人の特殊な関係の始まりだった。 「物事は白か黒、好きか嫌いか、イエスかノーか」。 若い頃から口癖のように話し、中途半端なことを極端に嫌ってきた元被告。 三枝子被告は18歳から共同生活を始めたがなじめず、約1年後、両親のもとに戻った。 その後、元被告から両親とともにののしられ続けた。 元被告の激しい怒りをおさめるには、共同生活に戻るしかなかった。 これを機に2人の主従関係が決定づけられた。 それから人生の歯車が大きく狂い始める。

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家族乗っ取りの連続…尼崎事件の複雑すぎる相関図

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2011年11月に兵庫県の倉庫で女性の遺体が見つかったことがキッカケで発覚した『』。 主犯格とされる角田美代子元被告(64=当時)を中心とした集団に複数の家族が長期間虐待を受け、死亡するなどの事態が明らかとなった。 しかし美代子元被告は逮捕後、留置場で自殺。 以降は主犯が不在のまま関係者らの公判が神戸地方裁判所で開かれている。 9月16日には、美代子元被告の内縁の夫である鄭頼太郎(65)、義妹の角田三枝子(62)、長男の健太郎(33)の3被告に対する裁判員裁判の判決が101号法廷で開かれ、ともに懲役21年が言い渡されたが、8月から続いている美代子元被告の義理のいとこ、李正則被告(41)についての裁判員裁判も行われており、17日まで201号法廷で被告人質問が続けられた。 劣悪な環境の中で排泄制限も 李被告は男女5人に対する殺人や傷害致死など計10の罪に問われているが、この大半を否認している。 複雑な事案であるためか、裁判は被害者ごとに事件が分けられ、中間論告を挟みながら続けられており、この期間は、仲島茉莉子さん(26=当時)と安藤みつゑさん(67=同)に関する事件についての審理。 中間論告までが行われたが、被告人質問では茉莉子さん事件についての、凄惨な虐待内容が公にされた。 茉莉子さんは、美代子ファミリーが住んでいた尼崎市のマンションのベランダにある物置に、5カ月にわたり監禁され、2008年12月に死亡したのだが、監禁は劣悪な環境の中『食事制限』『排泄制限』も加え、続けられていたという。 「食事を抜かれたり、たくさん食べさせられたり、モノマネさせて……歌を歌ったりすることがありました」(李被告) 食事は基本、茶碗1杯の卵かけごはん、カップラーメン、おかず1品が、1日に1度出るときもあれば、数日に1度のときもあり、証人出廷した医師は「足りません」と断言。 死亡したのは冬だが、このときも半袖Tシャツに七分丈のパンツという真夏ばりの軽装。 美代子元被告らの指示で時折、正座や直立など決まった姿勢を強制されることがあった。 物置にはカメラが備え付けられ、茉莉子さんの様子はリビングから見ることができたという。 検察官「洗濯バサミの虐待は?」 李被告「あります。 洗濯バサミよりかは強力なやつ……私とヤス(共犯の仲島康司)が万引きしてきたものです……茉莉子さんのほっぺたや耳たぶ、まぶた、唇、二の腕の薄いとこ挟んで引っ張ったりもしてました。 私は『おもろいなー』とか笑かしたりしてました」 検察官「『ガマン大会』という言葉、使ったことありますね。 便を我慢させて苦しんでいる様子を見て笑っていましたか?」 李被告「写真見て、思い出しました」 検察官「具体的には?」 李被告「ごはん、いっぱい食べさして、トイレ行きたい、って茉莉子さんが言ったんですが、美代子が『我慢せい』と、ギリギリまで我慢させて、その様子を見て笑ってました」 検察官「モノマネとは具体的には?」 李被告「『笑っていいとも!』のタモリの真似したり、キャバクラで……客に酒飲ますときの、煽るマネとか、歌を歌ったり……」 検察官「リビングからあなたは『おーい、受けてたぞー』と言ったりしていたんですよね。 何のため?」 李被告「率直にいうと、皆面白がっている。 いうたら、またやってくれよー、という」 美代子ファミリーでは、精神的な虐待ともいえる行為が日々繰り返されていたようだ。 美代子元被告の意志を受け、物置に監禁されることになった茉莉子さんだが、先にも記した通り、美代子ファミリーにおいて、美代子元被告の怒りに触れた者が物置で監禁される事は日常茶飯事でもあった。 同時に美代子元被告の意向で、ある日突然物置生活からリビングに戻れるようにもなる。 李被告は、茉莉子さんに対する監禁は「クリスマスぐらいには終わるやろうと思ってた」と語っている。 美代子元被告が、監禁中の茉莉子さんについてどう考えていたと思うか、と問われた李被告は「どうやって終わらせるかと考えていたと思う……」と語り出した。 李被告「美代子は怒ってますので、その人に『もう許したるわ〜』という、見せつけ……ありますので、優太郎(美代子元被告の息子)が『もう許したってや』と言うとか、そういう名目が必要……」 弁護人「それ以外に、そう思った理由はありますか?」 李被告「美代子は怒ってるときはその人間に『あいつ』とか『おのれ』とかそういう呼び方するんですが、許す前は名前で呼びだす。 その頃も『茉莉ちゃん』と言ってたので、もうすぐおわるんやろな、と。 角田家ではクリスマスとかそういうイベントを大事にする。 茉莉子さんも輪の中に入れて普通にすると思ってました」 呼び名が変わるのを敏感に察知し、監禁を終わらせる為のキッカケ作りをする、のが恒例だったようだ。 自身の、美代子ファミリーにおける役割については、こう語った。 李被告「揉め事、警察沙汰、それから今回お亡くなりになりました皆さんの遺体処理などさせていただきました。 そういう意味では汚れ役になります」 弁護人「暴力も?美代子が『誰々を殴れ』と?」 李被告「とは言わない。 法廷で見る姿は中肉中背だが、逮捕前は100キロを超す巨漢だったという。 著者プロフィール ライター 高橋ユキ 福岡県生まれ。 2005年、女性4人の裁判傍聴グループ「霞っ子クラブ」を結成。 著作『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』(新潮社)などを発表。 近著に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』(徳間書店) 外部サイト.

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