細胞内膜系。 KAKEN — Research Projects

吉森研究室

細胞内膜系

図1.電位依存性カリウムチャネルの構造 pdb:2R9R 紫の球はカリウムイオン。 イオンチャネルは、形質膜や細胞内膜系に存在する膜タンパク質である。 イオンは脂質二重膜をほとんど透過しないため、細胞内外にイオンを輸送するためにイオンチャネルが必要になる。 イオン透過路を有し、濃度と電位の勾配に従ってイオンを流出入させる機能を持つ。 イオン透過路は通常ゲートを有し、やなどの刺激により開閉する。 透過させるイオンの種類や、ゲートの種類、トポロジー 何回膜を貫通しているか などによって分類される。 におけるの発生、筋収縮、の放出、ホルモン等の分泌、感覚など、イオンが関わるありとあらゆる生理現象を担う重要な膜タンパク質である。 イオンチャネル研究の歴史 1950年代に発表されたと(1963年)による一連ののを使った実験により、活動電位が起こる際に細胞膜のナトリウムイオン透過性が高まり、活動電位が静まる際にはカリウムイオン透過性が高まることが明らかにされた。 これによりゲート、イオン選択性を有するイオンチャネルの存在が示唆された。 1970年代になり、と(1991年ノーベル医学生理学賞)によって開発された法により、単一イオンチャネルの電流が初めて計測され、ガラス電極内に単離できる実体としてのイオンチャネルの存在が証明された。 1980年代に入り遺伝子クローニングの時代に入ると、、野田らによるやのクローニング、らによるのcDNAクローニングを皮切りにつぎつぎとイオンチャネルのcDNAがクローニングされていった。 1988年、豊島とUnwinがでのニコチン性アセチルコリン受容体の構造を明らかにしたのが、イオンチャネルの立体構造研究のはしりである。 1998年には(2003年)らにより、はじめてのイオンチャネルのとして、由来のカリウムチャネルであるの構造が明らかにされた。 現在までに明らかにされたイオンチャネルの結晶構造の多くは比較的分子量の小さいカリウムチャネルが中心であるが、ゲーティングやイオン透過機構など各種イオンチャネルに普遍的な機構が次々に明らかになりつつある。 イオンチャネルの構造とファミリー イオンチャネルは、通すイオンの種類やリガンドの種類などによって命名・分類されている。 また分子構造(トポロジー)などからも分類される。 電位依存性チャネルファミリー 電位依存性カリウムチャネル 図2. 詳細は「」を参照 電位依存性カリウムチャネルは6回膜貫通型の膜タンパク質である 図2。 六つの膜貫通セグメント S1~S6 のうち最初の四つ S1~S4 はドメインと呼ばれ、細胞膜内外の電位差を感じるセンサーとして機能する。 特にS4セグメントには正電荷を持つアミノ酸 主に が3アミノ酸おきに配置されており、この正電荷のクラスターが膜電位センサーとしての中心的な役割を果たしている。 残りの二つのセグメント S5~S6 はポアドメインと呼ばれ、四つのサブユニットが集まってイオン透過路を構成する。 S5-S6の間のループは特にPループと呼ばれ、イオン選択性フィルターとしてカリウムイオンを選択的に透過させる機能を持っている。 またS6セグメントは開閉のゲートとして働いていると考えられている。 膜電位が脱分極すると、それを感知したS4セグメントが細胞外側に向かってスライドするような構造変化を起こす。 その変化がS4-S5リンカーを通じてポアドメインに伝わり、S6セグメントのゲートが開くと考えられている。 分子としては40種類程度の遺伝子が存在し、イオンチャネルの中でも最も大きなファミリーの一つである。 Hodgkin-Huxleyの時代からもっともよく研究されているイオンチャネルファミリーの一つであり、結晶構造もすでに明らかにされている。 電位依存性ナトリウムチャネル 図3. さまざまなトポロジーのイオンチャネル 詳細は「」を参照 電位依存性ナトリウムチャネルは上述の電依存性カリウムチャネルと似た構造を持っているが、カリウムチャネルの3つ 4つではないでしょうか?)のサブユニットが直列につながったような、24回膜貫通型のタンパク質である 図3。 それぞれドメインI~IVと呼ばれ、それぞれに膜電位センサードメインとポアドメインが含まれる。 1~1. 活動電位を起こす機能が有名で、Hodgkin-Huxleyの時代からよく研究されているチャネルファミリーの一つである。 膜電位がすると、電位依存性カリウムチャネルと同様にS4セグメントが細胞外側に動くと考えられる。 続いてゲートが開いてナトリウムイオンを流入させ、細胞を脱分極させる。 特徴的なのは、その後すぐに不活性化という状態に入ってしまい、その後一定時間活性化しなくなることである。 この不活性化は活動電位をに沿って一方向に進めるために重要な性質である。 として有名なテトロドトキシン TTX は電位依存性ナトリウムチャネルの阻害剤である。 電位依存性カルシウムチャネル 詳細は「」を参照 電依依存性ナトリウムチャネルと同様、24回膜貫通型のタンパク質であり、さらにCa V1~3まで3種類のサブファミリーに分類される ヒトの遺伝子としては10種類。 脱分極により開き、イオンを選択的に透過する。 カルシウムイオンの生理的重要性ゆえに、神経伝達物質の放出、心筋や骨格筋の収縮、ホルモン分泌などさまざまな生理現象にとって非常に重要なイオンチャネルである。 カルシウム活性化型カリウムチャネル 詳細は「」を参照 細胞内のカルシウムイオン濃度に依存して活性化するカリウムチャネルである。 カルシウム活性化型カリウムチャネルはシングルチャネルコンダクタンスの大きさに従って, , と分類される。 基本的には電位依存性カリウムチャネルと同様の構造であるが、BKチャネルにはS1の前にS0と呼ばれる膜貫通セグメントが存在し、タンパク質のN末端が細胞外に出ている。 BKチャネルのみ膜電位によっても活性化される。 したがってBKチャネルは膜電位と細胞内カルシウムイオン濃度の二つのパラメータに依存して活性化するイオンチャネルということになる。 HCNチャネルとCNGチャネル Hyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated HCN チャネルは、細胞膜が過分極することで開く非選択的陽イオンチャネルである。 他の電位依存性チャネルと同様脱分極によってS4セグメントが細胞外に向けて動くが、ゲートとのカップリングが他の電位依存性チャネルとは逆になっており、過分極で電位センサーが下がった位置に来るとゲートが開く仕組みになっている。 同じファミリーに属するcyclic nucleotide-gated CNG チャネルは、S4セグメントを持つにも関わらず電位依存性をほとんど失っているが、細胞内の 、 で活性化される。 同様にHCNチャネルも環状ヌクレオチドで活性化される。 TRPチャネル Transient receptor potential TRP チャネルは6回膜貫通型の四量体チャネルである。 ナトリウム、カリウム、カルシウムを透過する非選択的陽イオンチャネルである。 膜電位センサー様の構造を持つが、膜電位感受性は弱いか、または失われている。 28種類ものTRP遺伝子が存在し、それぞれ細胞内外の様々なシグナル、リガンドで活性化される。 いくつかは強い温度感受性を有し、の成分でも活性化される高温感受性のや、や低温で活性化されるが有名である。 電位依存性プロトンチャネル 2006年に発見された電位依存性プロトンチャネルは、電位依存性カリウムチャネルの膜電位センサードメイン S1~S4 のみでポアドメイン S5~S6 を欠いたような構造の4回膜貫通型タンパク質である 図3。 単体でプロトンを透過することができるが、二量体で機能していると考えられている。 イオンチャネルとして初めて構造が明らかになったKcsAチャネルも2回膜貫通型のカリウムチャネルである。 ファミリーには古典的な内向き性チャネルであるKir1, 2, 4, 5, 7と、で活性化されるGIRK Kir3 、感受性カリウムチャネルを構成するKir6に大別される。 の維持など、神経細胞やなどで重要な役割を果たしている。 Kir6はでと複合体を構成し、細胞内センサーとしての放出に重要である。 Kir2をはじめとする内向き整流性カリウムチャネルは、膜電位センサーに相当するドメインを有していないが、細胞内のやなどのによって、細胞の内側から膜電位依存的にブロックされる。 この機構により過分極時にはカリウムイオンを細胞外から細胞内に向けて流すが、脱分極時にはこれらのブロックにより細胞外へのカリウムイオンの流出を抑える。 GIRK1 Kir3. 1 とKir2. 2の結晶構造がこれまでに明らかになっている。 Two poreチャネル Two-poreチャネルは2回膜貫通型のイオンチャネルが2つ直列につながったような、4回膜貫通型のイオンチャネルである 図3。 2つのPループを持つことからTwo-poreチャネルと呼ばれるが、二量体で構成されるこのイオンチャネルは一つのイオン透過路を持つ。 リークチャネルとも呼ばれ、静止膜電位の形成などに寄与していると考えられる。 最近結晶構造も明らかになった。 酸感受性イオンチャネルと上皮型ナトリウムチャネル Acid-sensing ion channel; ASIC は細胞外のpHが小さくなると開く非選択性の陽イオンチャネルである。 同じファミリーに属し、どちらも2回膜貫通型のイオンチャネルである。 塩素チャネル はクロライドイオンを通すイオンチャネルで、二量体のイオンチャネルだが、それぞれのサブユニットにイオン透過路があるので、1つのイオンチャネルに2つのポアが存在することになる。 はをすることで作動するで、の原因遺伝子として有名である。 構造上はに属する。 リガンド依存性チャネル Cys-loop受容体 5量体のリガンド依存性チャネルファミリーの一種である。 非選択的に陽イオンを透過するニコチン型アセチルコリン受容体や[[5-HT 3受容体]]、陰イオンを透過する、 GABA A, GABA C などが含まれる。 グルタミン酸受容体 中枢神経系の興奮性シナプスで極めて重要な働きを持つ、、はイオンチャネル型である。 4量体で構成される。 P2X受容体 P2X受容体は細胞外のATPをリガンドとして活性化されるリガンド依存性チャネルである。 2回膜貫通型で、3量体で構成される。 ナトリウムイオン等を透過させる非選択性陽イオンチャネルであるが、ATPで長時間活性化させるとNMDGなどの大きな陽イオンも透過させることができるようにポアサイズが大きくなるという、特異なポアの性質を持つ。 詳細はのページ参照。 細胞内膜系イオンチャネル リアノジン受容体 はカルシウムストアとして機能する上のカルシウムチャネルである。 細胞質中のカルシウムイオン濃度が上がると開き、小胞体中のカルシウムイオンを放出し、細胞内カルシウムシグナルを増幅する。 筋細胞の収縮において重要な役割を果たしている。 IP 3受容体 リアノジン受容体と同様小胞体上に発現するカルシウムイオン放出チャネルである。 細胞内のシグナル伝達物質の一種である IP 3 によって活性化される。 受精時のカルシウム動態をはじめ、生理・発生現象の様々な場面において重要な働きを担う。 TRICチャネル 上記2種のカルシウム放出チャネルによってカルシウムイオンが小胞体から放出される際、カウンターイオンとして小胞体に陽イオンが流入する必要がある。 そのカウンターイオンを流入させる一過の陽イオン透過性のイオンチャネルであり、小胞体やに発現している。 コネキシン 細胞間にはイオンや低分子物質を透過させるとよばれる構造が存在するが、そのギャップジャンクションを構成するイオンチャネル。 それぞれの細胞ではという6量体構造として存在し、隣り合った細胞のコネクソン同士がつながることで、ギャップジャンクションが構成される。 関連項目• 参考文献• Toyoshima, C. 1988. Ion channel of acetylcholine receptor reconstructed from images of postsynaptic membranes. Nature, 336 6196 , 247-50. [] [] []• Doyle, D. , Morais Cabral, J. , Pfuetzner, R. , Kuo, A. , Gulbis, J. , Cohen, S. 1998. Science New York, N. , 280 5360 , 69-77. [] [] []• , Elinder, F. 2002. Voltage-sensing mechanism is conserved among ion channels gated by opposite voltages. Nature, 419 6909 , 837-41. [] [] []• Sasaki, M. , Takagi, M. 2006. A voltage sensor-domain protein is a voltage-gated proton channel. Science New York, N. , 312 5773 , 589-92. [] [] []• Ramsey, I. , Moran, M. , Chong, J. 2006. A voltage-gated proton-selective channel lacking the pore domain. Nature, 440 7088 , 1213-6. [] [] [] []• Nishida, M. 2002. Structural basis of inward rectification: cytoplasmic pore of the G protein-gated inward rectifier GIRK1 at 1. 8 A resolution. Cell, 111 7 , 957-65. [] [] []• Tao, X. , Avalos, J. , Chen, J. 2009. 2 at 3. 1 A resolution. Science New York, N. , 326 5960 , 1668-74. 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高校生物です

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それぞれの特徴、手順、費用は以下の「詳しい資料」の8ページで紹介しています。 9ページのチャートを辿っていくと自分に適している方法が簡単にわかります。 費用 自己月経血由来子宮内膜再生増殖法 当院に凍結胚がある方、または、月経血採取日から過去1年以内に当院にて採卵もしくは胚移植をしている方は、価格表Aをご覧ください。 そのほかの方は価格表Bをご覧ください。 書式は問いませんので、検査結果票や電子カルテの検査一覧の印刷でも結構です。 *1年以内の結果がない項目については1項目から当院にて検査ができます。 2020年6月出産予定。 流産率:同一患者において【自己月経血由来ERP注入周期(期間:2019年1月~2020年1月)】と【非注入周期(期間:2017年1月~2020年1月)】の4BC以上良好胚盤胞の凍結融解胚移植の流産率を比較したところ、 注入周期において流産率の低下が認められました。 対象者数 平均採卵回数 平均胚移植回数 平均妊娠回数 平均流産回数 平均出産回数 32~34歳 2人 3. 5回 7回 1回 1回 0回 35~37歳 10人 5. 9回 4. 8回 0. 7回 0. 7回 0. 1回 38~40歳 19人 4. 5回 3. 4回 0. 5回 0. 5回 0. 1回 41~43歳 24人 9. 9回 6. 5回 0. 6回 0. 6回 0回 44~50歳 10人 19. 6回 8. 4回 1. 8回 1. 6回 0. 2回 合計 65人 *不妊原因は該当が多い順に、高年齢、子宮筋腫、排卵障害、ポリープ、男性因子、原因不明、PCOS、卵管因子、黄体機能不全、子宮内膜症、子宮奇形、腺筋症、アッシャーマン症候群、子宮頚部上皮内癌円錐切除後、橋本病• 自己月経血由来ERPのプロセス別実施数 自己月経血由来ERPを行うためには、次の(1)~(4)のプロセスをすべて完了する必要があります。 次にそれぞれのプロセス別実施数を表記します。 1 月経血採取周期数:123 月経血採取を試みた周期数です。 年齢別周期数は、29~31歳:2、32~34歳:5、35~37歳:23、38~40歳:37、41~43歳:32、44~50歳:24 2 月経血0. 5CC以上採取周期数:103 20周期において月経血が0. 5CC以上採取できず中止となりました。 9周期においては幹細胞培養完了できなかったため幹細胞培養上清液の生成ができませんでした。 原因は、カンジダなど膣内常在菌混入:4、採取月経血内幹細胞不足:2、採取月経血酸化:2、ラボ内作業時細菌汚染:1 4 自己月経血由来幹細胞培養上清液注入周期:98 285本の自己月経血由来幹細胞培養上清液のうち、注入されたのは98本・98周期(4BC以上良好胚盤胞の凍結融解胚移植周期89、それ以外の周期9)です。 主に次の3つの方におすすめしています。 質のよい胚盤胞を2回以上移植しても着床しない方• 着床しても妊娠が続かず早期流産してしまう方• 薬を使っても子宮内膜が厚くならない方 1. は着床する際に必要なサイトカインの量が、自身の子宮内膜から十分に分泌できていないことが原因の一つとして考えられます。 は受精卵の栄養外胚葉と子宮内膜の融合過程において、胎盤形成が進まない場合にも起こります。 は自身の子宮内膜基底層の幹細胞が減少しているため、薬を使っても反応が乏しいことが原因です。 ~ 3. そして上清液の成分により自身の子宮内膜にある幹細胞を刺激することで、自身の子宮内膜機能を正常化させましょう。 ベストな方法としては、胚移植の度に注入されることをお薦めします。 データを見ますと、注入をした周期で妊娠が成立しなかったり流産した場合において、その翌周期と翌々周期に注入をせずに胚移植・タイミング・人工授精を行った場合に妊娠がでています。 このことから、注入から3周期後までは少なからず効果は続いているものと考えられます。

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受容体と細胞内情報伝達系(1)|細胞の基本機能

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ここからは、もう少し具体的なお話に移ろう。 はじめに、基本最小単位である細胞についてみていこう。 第6章の冒頭に掲げた顕微鏡写真は、たまねぎの表皮の細胞である。 明視野の光学顕微鏡では、核と大型の粒子が見える程度であるが、染色法の工夫や顕微鏡の改良により、染色体やミトコンドリア、小胞体なども観察できるようになる。 さらに電子顕微鏡の発明により、飛躍的に拡大した像を見ることができるようになった。 こうした知識を総合して動物細胞の模式図を描くと次の図のようになるだろう。 すでに生物界の階層性のところで述べたように、細胞の内部にはさらに多くの構造物で埋め尽くされている(下の図参照)。 これらの構造を細胞小器官( organella )と言い、それぞれの細胞小器官は細胞の活動に必要な特定の機能を持っている。 細胞小器官の名前 機能 核( nucleus ) 遺伝子貯蔵所 ・核膜( nuclear envelope ) ・核質を細胞質基質から分ける ・染色質( chromatin ) ・染色体が脱凝集した無定形の構造 ・核小体( nucleolus ) ・リボソーム形成に必要な原料を供給 小胞体( endoplasmic reticulum ) 細胞内に発達した膜系で ・粗面小胞体( rough ER ) ・細胞外へ分泌されるタンパクの合成 ・滑面小胞体( smooth ER ) ・ステロイド合成など リボソーム( ribosome ) 遺伝情報をもとにタンパク質合成 ゴルジ装置( Golgi apparatus ) 細胞外へ分泌されるタンパク質をパックする ミトコンドリア( mitochondoria ) エネルギー源である ATP 産生 細胞骨格( cytoskelton ) 細胞の形を整え、細胞の運動を司る 中心体( centriole ) 細胞分裂時に紡錘体となる リソソーム( lysosome )等 細胞内での消化 細胞膜( cell membrane ) 細胞と外界との境界面 植物細胞では細胞膜の外側を硬い細胞壁が覆っていること、葉緑体を細胞内に含んでいることが、動物細胞と異なる点である。 動物細胞と植物細胞は真核細胞と呼ばれ、核膜によって核と細胞質が分けられている。 真核細胞からなる生物を真核生物( eukaryote )と呼んでいる。 一方、モネラ界に属する生物すなわち原核生物( prokaryote )の細胞は原核細胞と呼ばれ、核膜による仕切りがなく、細胞小器官もリボソーム以外は発達していない。 これまでの話で分かるように、細胞は核とそれ以外の細胞質( cytoplasm )からなり、細胞質の一番外側には細胞膜があり、内部は細胞小器官で満たされている。 と言っても、液体の部分がないわけではない。 細胞小器官が浮かんでいる液体の部分を細胞質基質あるいはサイトゾール( cytosol )と呼んでいる(下の右図水色の部分)。 サイトゾールにはカリウムイオンなどのイオン類のほか、多くのタンパク質やその原料であるアミノ酸、ブドウ糖などが溶け込んでいる。 それでは、動物細胞の内部の構造、特に細胞小器官の構造とはたらきについてみていこう。 1)核の構造 核の中には染色体があると書いたが、核を観察すればいつでも染色体が見えるわけではない。 染色体が見えるようになるのは細胞分裂のときだけである。 それ以外の時には、電子顕微鏡で観察しても、核の内部には核小体以外には、特定の構造が見えない。 ヘマトキシリン法で染色すると、核内に染色される部分があるので、これを染色質( chromatin )と名づけた。 その後、この部分は DNA とヒストンと言うタンパク質の複合体であることが分かり、現在ではクロマチンと言うと、 DNA とヒストンとの複合体の意味で使うことが多い。 電子顕微鏡で観察すると、染色質は濃い黒色に見える。 核の中にはヘマトキシリンで強く染まる小球体があり、核小体(仁)と言う。 核小体ではリボソームの原料を作っている。 膵臓のヘマトキシリン・エオシン染色像(丸い紫色が核) 核の電子顕微鏡像 核小体と核膜の一部拡大像 核を包んでいる核膜( nuclear envelope )は二重の膜で、たくさんの核膜孔( nuclear pore )が開いていて、核の内部とサイトゾールとをつないでいる。 遺伝子は DNA であり表現型はタンパク質に対応すると書いた(第 5 章)が、遺伝子は核の内部に染色質という形で納められていて、その情報は核膜孔を通ってサイトゾールに運ばれ、これをもとにタンパク質の合成がリボソームでおこなわれるのである。 ふだんの核はそうは見えないが、クロマチンのあちらこちらで細胞の通常の活動に必要な遺伝子から遺伝情報が読み取られ、サイトゾールへ送られている。 ( 核の概観 ) ( クロマチンについて ) 2)染色体 ふだんは脱凝集して核の中全体に広がっていたクロマチンは、細胞分裂が始まると凝集を始め、染色体という明瞭な構造になる。 DNA は直径 2nm の細い糸のようなものなので、このままでは絡まってしまって収拾がつかなくなる。 そのためまとめて扱いやすい形にする必要がある。 糸を糸巻きに巻いて裁縫箱に整理しておくのと同じである。 DNA の糸は、4種類のヒストンが2つずつ集まった八量体のタンパク質(糸巻き)に巻きついている。 糸巻き1つにヌクレオチド 146 個の DNA が図のように巻きついていて、一つの単位となっている。 これをヌクレオソーム( nucleosome )と呼んでいる(直径 11nm )。 ヌクレオソームを左側は横から、右側は上から見た図。 上段はヒストン八量体を、下段は DNA をワイヤーフレームで表示してある。 ヌクレオソームは、リンカーと呼ぶ DNA の糸で次のヌクレオソームとつながり、全体として数珠のような構造になっている。 このヌクレオソームは凝集して直径 30nm のクロマチン繊維となる。 細胞分裂が始まると、クロマチン繊維は、足場となるタンパク質にループ状になって貼り付けられて直径 300nm の繊維となり、さらにこの繊維がラセンを作って直径 700nm の紐となる。 これが染色体( chromosome )である。 細胞分裂の中期(後述)の染色体は複製されるので、動原体のところでくっついた Y 字状の構造をとる。 染色体の数は種によって決まっている。 ヒトの染色体の数は 46 本( 23 対)で、そのうち半数は父親から、半数は母親から受けついでいる。 1本の染色体は一続きの DNA 分子なので、 46 本の DNA 分子が、ふだんはクロマチン繊維の形で核の中に分散していて、細胞分裂の時には凝集して染色体という形をとることになる。 なお DNA =遺伝子ではない。 この点については後述する。 1)小胞体の構造 真核生物の細胞の内部には、これから述べる小胞体や次に述べるゴルジ装置のような、非常によく発達した膜系が存在する。 小胞体( endoplasmic reticulum 、略して ER )は、名前の示すように細胞質内の網状構造で、粗面小胞体( rER )と滑面小胞体( sER)の2種類 がある。 粗面小胞体という名は、平たい袋状に拡がった小胞体の2枚の膜表面にリボソーム顆粒が付着していて、電子顕微鏡で観察すると表面が粗く見えるからである。 滑面小胞体にはリボソームの付着はなく、平たい膜ではなくむしろ管状構造をしている。 両者の小胞体の管腔は連続している。 r ER は細胞におけるタンパク質の生合成に中心的な役割を演じているので、分泌性タンパク質をさかんに合成する消化酵素をつくる細胞や、内分泌腺の細胞でよく発達している。 二重の核膜の外側の膜と小胞体の膜は連続している。 2)リボソームの構造 リボソームは、右下図に見られるように電子顕微鏡では黒い粒子である。 さらに拡大してみると、ダルマのように大顆粒( large subunit )と小顆粒( small subunit )が重なった構造をしている事がわかる。 リボソームは RNA とタンパク質の複合体で、核小体部で作られた RNA とサイトゾールで作られ核に送り込まれたタンパク質からつくられ、再びサイトゾールに送り返される。 3)小胞体とリボソームの機能 リボソームはタンパク質合成の場所である。 遊離のリボソームでは細胞内で日常的に使われる( house-keeping )タンパク質が合成され、小胞体に結合したリボソームでは細胞外へ分泌されるタンパク質あるいは膜に埋め込まれる膜タンパク質を合成されている。 後者の2種のタンパク質は小胞体腔へ入り、管腔を通って処理され、ゴルジ装置へ送られる。 1)ゴルジ装置の構造と機能 ゴルジ装置(ゴルジ体とも言う)は、平たい袋状の構造が積み重なったような構造をしている。 やはり分泌活動のさかんな細胞で発達している。 ゴルジ装置の機能は、分泌性タンパク質をまとめて小包にして送り出す働きをしている。 小胞体に結合したリボソームで合成されて小胞体腔へ送り込まれたタンパク質は、小胞体から輸送小胞の形で送り出され、ゴルジ装置の膜と融合してゴルジ装置へ取り込まれる。 ゴルジ装置では糖が付加されて糖タンパク質になり、ふたたび膜に包まれた小胞(分泌顆粒)となる。 ゴルジ装置には方向性があり、粗面小胞体から小胞を 受け入れる面( cis 面)と、送り出す面( trans 面)が区別できる。 ゴルジ体からサイトゾールへ送り出された輸送小胞(分泌顆粒)は細胞内に留まり、必要に応じて細胞膜へ移動して細胞膜と融合し、顆粒内部に貯蔵された糖タンパク質を細胞 の外へ分泌する(開口分泌、 exocytosis )。 膜タンパク質は小胞の膜に埋め込まれたまま細胞膜と融合し、小胞膜内側が細胞膜外側となることによって細胞膜に埋め込まれる。 1)ミトコンドリアの構造 ミトコンドリアはこれまで述べてきた核膜、小胞体、ゴルジ体を構成する細胞内膜系と異なり、独立した構造をもった細胞内小器官である。 ミトコンドリアはラグビーボールのような回転楕円体からもっと長く伸びた棒状のものまで、いろいろな形を取るが、いずれも内外2枚の膜からなり、内膜はミトコンドリア内に棒状あるいはヒダ状に張り出していて、この部分をクリステと呼んでいる。 2枚の膜でできているので、ミトコンドリアの腔所は2つあり、一つは外膜と内膜の間の膜間腔( intermembrane space )、もう一つは内膜に囲まれた基質(礎質とも言う、 matrix )である。 ミトコンドリアの基質には、ミトコンドリア独自の DNA とリボソームが含まれている。 この DNA とリボソームを使って、ミトコンドリアは自立的に分裂して数を増やすことができる。 2)ミトコンドリアの機能 ミトコンドリアは細胞の活動に必要なエネルギーを供給するパワープラントである。 エネルギーは ATP という分子の形で産生され、必要な場所で使われる。 1)細胞骨格の種類 細胞が一定の形を保つことができたり、分泌顆粒を分泌したり、食胞によって取り込んだり、あるいは原形質流動と呼ばれる細胞内の細胞小器官の動きを作ったりするのは、すべて細胞骨格の働きである。 細胞骨格と言っても骨のように本当に固い構造をしているのではない。 いずれもタンパク質の繊維であり、繊維は単位となるタンパク質が会合してできている。 繊維の太さや構造によって次の3つの種類がある。 1)微小管(マイクロチュービュール)、アクチンフィラメント(微小繊維)、中間径フィラメントである。 細胞内にはダイニンやキネシンといったモータータンパク質があり、これらのモータータンパク質は微小管の上を滑っていくことができる。 モータータンパク質は微小管の線路の上を走るトロッコのような働きをして、細胞小器官や小胞などを動かすことができる。 この他、細胞分裂のときに染色体を動かす原動力となる。 また繊毛や鞭毛の構成要素となり、細胞運動を司る。 アクチンフィラメントは細胞の表面にたくさんあって、細胞表面の形を変えたり、原形質流動を起こしたり、細胞のアメーバ運動を司る。 細胞分裂のときの細胞質分裂をおこなう。 中間径フィラメントは主として細胞の形を保つのに重要である。 また核膜の内側にあって核の形を保っている。 筋肉の収縮は、アクチンフィラメントとモータータンパク質の一種であるミオシンとの相互作用によっておこる。 1)細胞膜の構造 細胞膜は、細胞内部を外部から区画して保護するとともに、外部との物質の出入り口となる ため、細胞にとってきわめて重要である。 しかしながら、核の節に掲げた膵臓のヘマトキシリン・エオシン染色像を見て分かるように、細胞の境界らしきものを判別することはできるが、膜の構造までは分からない。 電子顕微鏡で拡大すると、細胞の境界には確かに黒い一本の線があることがわかる。 そこでさらに拡大をすると、下の図のように細胞膜は一本の黒い線ではなく2本の黒い線が白い線を挟んだような構造をしていることが分かる。 これまで述べてきた細胞内膜系の膜も細胞膜と同じ構造をしているので、このような細胞内の膜構造を単位膜 ( unit membrane )と呼んでいる。 単位膜の構造については、その後さまざまな推定がおこなわれたが、現在では、上の模式図のような構造をしていると考えられている。 すなわち2本足のマッチ棒のように描いてあるリン脂質が足を内側にして2層に並んで膜を形成し(脂質二重膜、 lipid bilayer)、この膜に膜タンパク質が埋め込まれた構造である。 所々に見えるコレステロールは、膜に硬さを与えている。 細胞の外側に面した部分には糖鎖が多くあるが、内側面にはほとんどは無い。 これらの糖鎖は、膜タンパク質あるいはリン脂質に付加されている。 膜タンパク質にはさまざまな種類があり、上の図に描かれているように細胞骨格と結合して細胞の形を保つように働くもの以外に、物質の出入りを調節する膜タンパク質、信号を受取る膜タンパク質などがある。 細胞膜の機能は、細胞膜に埋め込まれたこれらのタンパク質が担っているのである。 2)細胞膜の機能 上で述べたように、細胞膜の機能は細胞を取り巻いて内部を保護するとともに細胞の形を維持し、細胞内外の物質の出入りを調節している。 特に重要なのは、細胞膜が脂質二重膜であるためにイオンや電荷を持った物質は細胞膜を通過することができないことである。 そのため、特定のイオンや電荷を持った物質を通過させることができる膜タンパク質が細胞膜に埋め込まれれば、その細胞にそのような機能を持たせることができる点である。 さらに詳しくは下記のサイトを参照してください。 この章のpdfファイルをダウンロードするには、左の「Adobe」のアイコンを右クリックして、ファイルを保存を選んで、自分のパソコンにダウンロードしてください。 ブロードバンド接続の場合で、ワードのファイルを望む人は、「W」のアイコンを右クリックしてください。

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